33話:撃退
――GGGGGGGGGGGGGGG!
三次元的動きを見せる機械人形。
そのスピードは捉えるには至難の業。
だが……
「嬢ちゃん! 行ったぞ!」
「貰った……っ!」
背後に回るフィオナが一撃、機械人形の背中にくらわせる。
「よっしゃ、次はこっちだぜ!」
怯むその隙を見逃さず、ガウが正面から斬りかかった。
効果は覿面、だがダメージとしては深手を負わせるにはまだ足りなかった。
機械人形は攻撃を喰らいながらも、即座に体勢を立て直す。
「ちっ、なんて耐久力だ。この俺の一撃をくらってまだ動けるとは……」
「思ったより切り替えも早いわね。でも、アイツの言っていたことは本当だったみたいね」
「ああ。この短時間でよくもまぁ見抜けたもんだ」
二人には予め、指示を出していた。
相手の行動パターンを把握した動きをするようにと。
「もう一度行くぞ、嬢ちゃん!」
「ええ! 今度こそ成功させてみせるわ」
二人は相手を囲むように走っていく。
機械人形は二人の方を向くと、右側に視点を向けた。
フィオナに目標を合わせたのだ。
「来たわね……」
ニヤリと笑みを浮かべると、フィオナはその場で立ち止まる。
そして剣を構えると、空高く飛翔した。
機械人形も合わせるように跳躍する。
「GGGGGGGGGGGY!」
機械人形は剣先をフィオナに向けると、即座に斬りかかる。
フィオナは空中で巧みなバランスを取りながらも躱し、相手を翻弄する。
「そう……今はアタシだけを見てなさい!」
ブンブンと降りかかる剣技の雨を物ともせず。
空中で避け続けるフィオナは余裕の笑みを見せていた。
だがその余裕が慢心を呼んだか、一瞬の隙を見せてしまうと、機械人形はそこに付け入るように反撃をする。
(マズイ、あれは直撃コース……!)
そう思ったが。
「なんの!」
フィオナは身体全体の筋肉を稼働させ、常人を越えるスピードでその攻撃に対応する。
本当にギリギリのタイミングで、しかも瞬時に態勢を立て直した。
(朝の模擬試合もそうだったが、やはり彼女は……)
隙が彼女の意識を引き締めさせたか、その後はフィオナのターンだった。
そして、策は次の段階に移る。
「いつまでもアタシの相手をしていていいの? と言っても、もう遅いけど」
「GGGY?」
「おりゃぁぁ! 次はこっちだぜぇ!」
斬りまくる機械人形の背後から、一人の大男が姿を現す。
大男の振る一刀は跳躍した時の遠心力で力と速さが増していた。
だが流石は機械人形。
咄嗟に剣体をガウの方に向けて、何とか防ぎきった。
「ほう、やるじゃねぇか。でも……」
彼らの目的は倒すことではない。
全ては一つの目的を達成するための過程に過ぎない。
「後は任せたぜ、青年!」
ガウの放った一撃は防がれた。
だがそれを逆手に取り、ガウはスッと剣を引いた。
「GGG……!?」
その力の凹凸に機械人形の体勢は一気に崩れる。
そして。
その瞬間を、俺は一秒たりとも見逃さなかった。
「決める……!」
一瞬で機械人形の真正面まで詰める。
そして左胸に集中する魔力を流れを掴むと、抜刀。
左胸をめがけて一撃を放った。
「GYYYGGGGG!?」
奇妙な音を挙げ、機械人形は地面へと真っ逆さまに堕ちていく。
ドカンと激しい音を轟かせると、機械人形は完全に機能を停止した。
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