32話:策
「あんたは挑戦者の……」
「ガウってもんだ。俺も共に戦わせてほしい」
機械人形の暴走で逃げる民衆の渦から。
全身を鎧で纏い、頭身ほどの巨大盾を持った大男が俺たちの前に姿を見せた。
「いいのか?」
「ああ! あの詐欺野郎には一発ぶん殴ってやらないと気が済まねぇ。伝統ある決闘を穢した制裁をこの手で加えたいんだ」
大男は本気のようだった。
それは眼を見れば一目瞭然。
言葉だけじゃない、身体にも現れていた。
「分かった。宜しく頼む、ガウさん」
「気軽にガウで構わねぇ。来るぞ!」
相手の標的は完全に俺たち三人へと定められる。
機械人形は瓦礫の山から勢いよく飛び出すと、その俊敏性で一気に距離を詰めてきた。
「任せろ!」
その速さにガウは盾で対抗する。
機械人形の一撃はガウの盾に阻まれ、態勢を崩す。
俺はその隙を見逃さず、横から一刀。
奴の左腕を切り裂いた。
「GGGG!?」
吹き飛ぶ左腕。
機械人形は一度を置くと、右手を左腕に翳した。
「ちっ、そんなこともできるのか」
「腕が……再生した?」
機械人形の腕は魔法でみるみる元通りになっていく。
時間にしてほんの数秒のことだった。
「どうやら、部位破壊じゃあいつは止まってくれないみたいだな」
「なら、次は核を狙わないといけないってことだな」
「核?」
「機械人形のエネルギーの元になっているところよ。魔法核と言って、左胸に魔力を溜めた小さな球体があるの」
聞き慣れない言葉を発するガウに、横からフィオナが補足してくれた。
「要はそこさえ破壊すれば、あいつは止まるのか?」
「多分ね」
「多分?」
「ちょっと今回はイレギュラーなのよ」
「確かに。俺もあんなタイプは見たことがない」
イレギュラー?
普通は違うってことなのか?
ガウも同じ反応を見せていた。
二人とも、何か引っかかることがあるらしい。
俺は機械人形という存在は知っていても、詳しくは知らない。
何せ、書物でしか見たことがないからな。
実を言うと実物を見るのはこれが初めてだ。
とはいえ、今の状況でそれらを探ることは適確な判断とは言えない。
フィオナたちが言う通り、その核が弱点だって言うなら……
「とりあえず、その核とやらをやるぞ。今はあいつを早く止めなければ、必要のない被害が増えるだけだ」
「そうね。でも、あの動きの速さで核を狙うのは至難の業よ」
「そうなのか?」
「核つっても、魔物たちが持つような魔晶核とは違ってけた違いに小さい。それこそ、豆粒レベルの大きさで狙って破壊するには相当な技量が必要だ」
「なるほど。要は技量さえあればいいんだな?」
「要はって……あの動きから核を正確に捉えられるのか? ちなみに言っておくが、魔法の類は奴らには効かないぞ。耐性を持つよう作られているはずだからな」
「いや、魔法なんて使う必要はない。これさえあれば十分だ」
俺は自身の相棒に手を当てた。
「だが、二人には協力してほしいことがある」
「協力?」
二人が視線を向けてくると、殺意を向けてくる奴を横目に俺は答えた。
「奴の動きを1秒……いや、0.5秒でもいい。一瞬だけ隙を作ってほしい。その隙に俺が奴の核を切り裂く」
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