31話:機械人形
「――おい、あれって」
「――機械人形じゃないか!?」
露わになるもう一つの証拠。
その瞬間、鳥型仮面は何も喋らなくなる。
俺は続けた。
「機械人形……それが条件付き魔法を発動するためのもう一つのトリガーだ。普通、条件付き魔法には魔力に応じて回数制限が設けられている。その分、強力な魔法が多いが、大きな弱点だ。だがそれなら、魔力を半永久的に蓄積させることが出来る。人間と比べれば、衝撃にも強い。この場でインチキをするにはもってこいの〝器〟だ」
追い打ちをかけるように。
俺がそういうと、鳥型仮面は一歩後ずさりする。
「――おい、どうなってんだ!」
「――ふざけるな! このインチキ野郎!」
周りからの罵声が一気に集まる。
だが鳥型仮面はやけに冷静だった。
初めは狼狽えていたが……。
「ふっ、まぁいいでしょう。今回は魔力蓄積値の計測のみとのことでしたが、戦闘テストもしてみましょうか」
鳥型仮面は剥き出しになった機械人形に片手を添えると。
「やれ」
そう一言、放つと。
機械人形の挙動が一気に変化。
溢れ出る魔力が広場に充満し始めた。
「マズイ! みんな逃げろ!」
だが俺が一声かけた瞬間、機械人形は群衆めがけて跳躍する。
「――な、なんだよ。どうなってんだよ!」
「――逃げろ、逃げろぉ!」
逃げ行く人たちに機械人形は刃を向ける。
その跳躍力を活かし、最初にターゲットにしたのは一人の小さな少女だった。
「ちっ……!」
地面を蹴り上げ、一気に加速。
柄に手に当て、抜刀の準備に入る。
「――GGGGGGGGYUU!」
不気味な機械音をあげ、切りかかる。
しかしその刹那の瞬間に俺に相棒が割って入った。
「下衆が……」
俺はそのまま押し切り、鍔迫り合いを制すると、そのまま奥の住宅壁へと吹っ飛ばした。
「大丈夫!?」
後からフィオナもやってきた。
剣を構え、俺の隣に立った。
「俺なら平気だ。それよりも近くの住人を早く避難させてやってくれ。こんな人が多いところで暴れられたら……」
「そっちはもう近くの王宮騎士たちに任せてきたわ。ついでに王宮から護衛も依頼しておいた。もう来るはずよ」
「手際がいいな」
「ま、ここはアタシの庭みたいなものだから!」
ふふんっと得意げな顔をするフィオナ。
王都が自分の庭だなんて、一度でもいいから言ってみたいものだ。
「お前も戦うのか?」
「もちろんよ。こんな王都のど真ん中で喧嘩を売られたんだもの。買うしかないでしょ?」
「せっかくの服が汚れることになるぞ」
「別に服なんて、また買えばいいし。それに二人の方が早く倒せるでしょ?」
「まぁ……それでいいなら」
俺的にはその服気に入っていたから、あまり汚してほしくない……というのは、恥ずかしいから言わないでおこう。
「なら、被害が出来る前に片付けるぞ」
「分かった!」
「ちょっと待ってくれ!」
人気が一気になくなった広場で。
ただ一人、大剣を備えた大男が俺たちの元へと走ってきた。
だがさっきと様子が違う。
全身には先ほどまで身に着けていなかった鎧が装備されていた。
男は息を切らしながら、俺たちの顔を見つめると。
「俺にも、やらせてくれっ! さっきのリベンジを果たしてぇんだ!」
物凄い目力を向けて、そう言った。
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