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29話:期待外れ


 まさに刹那の出来事だった。

 完全優勢だったガウが一気に敗北まで追いやられたのである。


「――な、何が起きたんだ……?」


「――わ、分からん……」


 驚く観客たち。

 だが一番驚いていたのは、ガウ本人だった。


「う、ウソだろ……この俺が……?」


 競技台の外で仰向けに倒れながら、そう呟く。


 誰もがガウの勝利を確信したのに、まさかの展開。

 会場は一気に静かになる。


「勝者が決まりました! 勝ったのは騎士リーベル!」


 その均衡を破るかのように鳥型仮面が高らかに告げると。


「――おぉ、流石は名家リーベルの騎士だ!」


「――あの決闘破りを遂に打ち砕いたぞ!」


 盛り上がる観客たち。

 

 だが、この結果に納得がいっていない者が一人。

 競技台に上がってきた。


 ガウだ。


「おい、貴様っ! 今何かズルをしただろう!」


 声を張り上げ、怒号を飛ばすガウに会場はまた静かになった。


「おやおや、それはどういう意味ですかな?」


「さっきのはどう見てもおかしかっただろ! 俺が剣を弾いた瞬間、よく分からん衝撃波が俺を襲った。あれは魔法だろう!」


 言い分を鳥型仮面に訴えるガウに観客たちもソワソワとし始めた。


「――衝撃波?」


「――でも確かになんか起こったような……」


 皆、口々にあったような……と言うが。


「それは言いがかりですな、ガウ殿。いくら負けたのが悔しかったとはいえ、適当な理由をつけて敗北をなかったことにするなんてソードマンシップに反する行為ですぞ」


「ふざけんなっ! 俺には分かるんだよ。明らかに不自然な衝撃波が俺を襲ったんだ! 皆も見ていただろう?」


 そう言って観客に反応を仰ぐが、皆微妙な反応を示していた。

 そればかりか……


「――でも実際に勝負に負けたのは事実だしな」


「――ズルをしているっていう証拠がないんじゃ……」


「お、お前ら……」


 観客の反応にガウは苦渋の表情を浮かべる。


「ガウ殿、見苦しいですぞ。貴方も同じ騎士家系の人間なら、潔く負けを認めたらどうですか?」


「んだとっ!?」


 鳥型仮面はガウを軽く挑発すると。


「ま、どうしても信用できないというのなら証拠を見せてもらわないと。我々がズルをしている証拠をね」


「ちっ……!」


 こう言われると、ガウの表情は更に険しくなった。

 

 それを外側から見ていた俺は、ただただ溜息しか出なかった。


「まったく、期待していたのに残念だ」


 俺には分かっていた。

 さっきの不自然な衝撃波のことを。


 そして、あのガウという男が言っていることは正しいということを。


「残念って。あんたは何か分かったの?」


「まぁな」


 というか、見た瞬間に分かっていた。

 あそこまで不自然なものを見せられれば流石に分かる。


 そしてその小細工も目星がついていた。


「せっかく初めての伝統行事にワクワクしていたというのに、くだらんことをしやがって……」


「ちょ、あんたどこ行くのよ!」


 人をかき分け進む俺にフィオナが引き留めてくる。

 俺は一言で理由を済ませた。


「ちょっと説教をしてくるだけだ。待っていてくれ」


 さっきの行為は伝統のみならず、騎士の在り方そのものを冒涜する行為だ。

 部外者とはいえ、正々堂々の戦いにそのような行いをする者は見逃せない。


 少なくとも、俺は。


「ガウ殿。証拠がないなら早速、敗戦額の支払いを――」


「ちょっと待ってくれ」


 鳥型仮面の言葉を遮ると、俺は観客たちをかき分け、競技台の前まで出た。


「な、なんだね君は!」


 鳥型仮面と周りにいた観客たちの視線は一気に俺へと集中する。


「さっきの勝負には確かに曲事的なものがあった。その者が言っていることは正しいぞ」


「なるほど。ガウ殿を擁護しに来たということですか」


「いや、別にそのつもりはない。ただ俺は勝負に不当があったと言っているだけだ」


「ならば、証拠を出してもらいましょうか。証拠がないなら――」


「証拠ならある」


「なに?」

 

 俺はスッと右腕を上げる。

 そしてローブ騎士が手に持っている物をそっと指差した。


「……剣だ」

お読みいただき、ありがとうございます!

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宜しくお願い致します。

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