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22話:手合わせ2


「やぁぁぁぁっ!」


「……っ」


 木刀がぶつかり合う音が訓練場内に響き渡る。


「中々いい剣筋だ。普段から鍛えているだけはある」


「うふふっ、そうでしょ? でも、アタシの力はこんなもんじゃないわ!」


 怒涛の連撃。

 勝負前の手加減なし宣言の通り、彼女の戦い方には本気が込められていた。


 彼女の剣術は速さで相手を圧倒するものだった。

 いわば、パワー型というよりもスピード型。

 

 手数で相手を押し通し、隙を作らせたところで攻撃を畳みかける。

 まだ数分しか手合わせしていないが、恐らくこのスタイルだろう。


 確かに無駄がなく、いい動きをしている。

 長い間、じっくりと鍛錬を重ねた成果が目に見えて分かった。


 だが……


「攻撃が一辺倒だな」


「……!?」


 一撃を捉え、攻撃をパリィする。

 そのまま態勢を崩すのを見計らうと、


「きゃぁっ!」


 脇腹を剣体で殴り、吹っ飛ばした。

 フィオナは何とか受け身を取ろうとするが、勢いが上回ったか、そのまま地面に叩きつけられる。


「うっ、うぅ……」


「大丈夫か?」


 結構強く叩きつけられたように見えたのですぐに駆け寄ると、フィオナはすぐに立ち上がった。


「へ、平気よ。少し受け身が出来なかっただけ」


 そして再び木刀を向けてくる。


「さっきのはやられたわ。まさかあの状況からひっくり返されるなんて……」


「攻撃自体は悪くはなかった。隙もなく、相手からしたらやりにくい立ち回りは出来ていたぞ」


 これは本当のこと。


 ぶっちゃけ、その辺の騎士と比べればよっぽど彼女は強い。

 攻撃を数回受けただけで、それは十分に分かった。


「でも、分かりやすいんだ」


「分かりやすい?」


「ああ。次にどうくるかが、大体予想出来てしまう。大雑把に言えば、一つ一つの攻撃が極端なんだ」


 ここからは剣術というよりかは、戦い方の話。

 戦闘の場において、ただ単に剣が達者なだけではダメだ。

 

 思考を張り巡らせ、状況にあった戦い方を選ばなければ、相手に隙を突かれてしまう。


「どんな猛者でも、時と場合にあった戦い方をしなければベストは尽くせない。魔法も術式を発動させるために頭を使うように、剣術もただ闇雲に剣を振り回すだけでは駄目なんだ」


 身体を使いながら、頭も使う。

 当たり前なことだと思うかもしれないが、これが両方無駄なく完璧に出来てこそ、更に上の強さを得られる。


 だが人間とは不便な生き物でどちら一方に力を入れればもう一方の能力を等しく発揮することは難しい。

 

 個人差はあれど、必ずどちらかの能力に思考が誘導されてしまうものだ。


 それこそ、どちらの能力も同時に限界まで発揮できるなんてことは相当な鍛錬を積まない限り、無理だ。


 俺も結構な修行を積み重ねてきたつもりだが、未だにその辺りは完璧とは言い難い。


「要はアタシの攻撃は読まれやすいって言いたいのね?」


「そういうことだ」


「じゃあ、今度は考える暇もないくらいの剣撃を浴びせてやるわ」


「やる気満々だな」


「当然よ! まだ勝負はついていないもの!」


「さっきの攻撃で結構なダメージを負ったように見えたが、大丈夫なのか?」


「心配要らないわ。アタシ、こう見えても結構頑丈なの。そこはお父様譲りかしら」


「確かにこの前の一件でも相当身体を張っていたもんな」


 あの数の魔物相手に一人でティアナを守り切ったのだ。

 身体が人並み以上に丈夫というのは本当のことなのだろう。


「じゃあ、今度はさっきよりも強めで行こう。覚悟はいいな?」


「望むところよ!」


 勝ち負けに貪欲なその眼。

 この少女は思った以上に伸びしろがある。


(これは、非常に教え甲斐がありそう子に出会えたな……)

 

 そう思いながら。

 俺は再び彼女に木刀を向けるのだった。

お読みいただき、ありがとうございます!

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宜しくお願い致します。

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