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第26話 悪竜デボア討伐戦 タイタン

 タイタンはフェリスを担ぎながら、空を縦横無尽に疾駆し悪竜デボア(木偶の坊)が口から吐く炎やら、尻尾などを避けつつも、その柔らかい腹部に滅びの黒土を突き立てる。

 耳障りなデボアの絶叫が反響し、血しぶきが土砂降りのように大地に降り注ぐ。


『おのれぇ! 羽虫の分際でぇ!!』


 滅びの土の槍を無数に空中に顕現し、怨嗟の声を上げるデボアの口に向けて高速で放つ。

 滅びの土の黒槍は、デボアの吐く炎すら塵に変え、巨大な下顎に突き刺さり、滅びを与える。


『はっ! これでもう無駄口は叩けないだろ!』


 下顎を失ったデボアの眼球が怪しく光り、無数の黒色の球体が出現すると、タイタンに一斉に殺到する。

 舌打ちをしながら、空を飛翔し回避しようとするが、黒色の球体はタイタンたちを追尾してくる。

 滅びの効果を有する土の盾を形成し、ガードしようとするが、


(少し、遅れた!)


 ガードが僅かに間に合わず、その隙間から数個の黒色の球体がタイタンたちに向けて高速追尾するが、眼前に突如生じた透明な青色の膜のようなものにより阻まれ、一瞬押し戻される。


「今のうちネ!」


 地上で黒髪を御団子頭にした褐色の肌の少女を先頭とする、黒装束たちが両手で印を結んでいた。

 おそらく、あの者どもによる術式による防壁だろう。所詮、人の成した術。あっさり、黒色の球体に食い破られるが、楽々滅びの盾の形成が間に合う。黒色の球体は滅びの盾に当たると泡のように消える。そして、空に漂う残存する黒色の球体も土の黒槍により、全て撃ち落とす。


「ヒヤッとしたのじゃ。もっと、あ奴らと連携をとって倒すのが定石じゃろう」


 当初、タイタンの高速疾駆に小娘は背中で悲鳴を上げていたが、ようやく慣れたのだろう。現在、喧しく喚くのを止めて、言わずもがなである指示を出してくる。


『ええ、わかっています』


 あの人間どもとの共闘はあの御方の指示。背くなど愚者を通り越してただの阿呆だ。

 以前だったら、吐き気すら覚えていた人との共闘も今は、全く抵抗すら感じない。当然だろう。この娘(フェリス)に従うのは、あの超越者たちの集団を束ねる御方のご意向なのだ。逆らえば、タイタンなど一瞬でこの世界から消滅する。あの状況で生存を許されただけでも、飛び上がって喜ぶ事態なのだから。

 それに――。


(圧倒的だ! これがあの御方の元に参列するということかっ!)


 この身体中に溢れる力。そして、この破滅的な能力。あの御方の配下の眷属となっただけで、存在の強度自体が以前とは別ものとなっている。というか、これはもはや生まれ変わりに等しい。

 あの異世界からの竜も今までのタイタンなら、逃走一択だったはず。それが大して脅威にすら感じない。きっと先ほどの黒色の球体もタイタンだけなら、真面にくらっても致命傷など受けやしまい。


『おい、人間ども! これはあの御方の命だ! 苦戦すら許されぬ! 共に奴を屠るぞ!』


 地面で見上げる人間どもに、向けて声を張り上げる。

 既にタイタンはあの御方の怒りに触れてしまっている。自らの手であの御方の信頼を取り戻さねば、未来はない。

 大地の砂を無数に巻き上げて、黒色の杭を無数に作成していく。


『ぼごげっ!!』


 両眼を憤怒で血走らせながら、デボアがタイタンに向けて空を一矢のごとく迫るが、


「【妖精樹の蔓】」


 緑色のローブの集団から、魔法陣が浮かび上がり、デボアの進行方向の空中に無数の蔓が顕現し、その全身を絡めとる。

 同時に、無数の鳥をかたどった炎が空からデボアに落下し、地面にその巨体を衝突させた。

 どうやら、予想以上、この人間どもは使えるようだ。


『終わりだ』


 タイタンの人差し指と中指が下を向く。刹那、宙に浮かんだ幾多の漆黒の杭が落下し、デボアに突き刺さり、劈くような絶叫を上げる。


「突撃っ!!」


 紅のぶかぶかの服を着用した金髪の優男が、長剣を掲げてあらん限りの声で叫ぶと、人間どもは一斉にデボアに向けて突進していった。


時間がかかってしまいもうしわけありません。ようやく、誤字修正が終わりました。少しずつなろうでも投稿を開始していきます。


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