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自身の醜さ

 その日は通常通りに進む。

 他のクラスメイトから漏れ聞く内容には、及川のクラスは相当荒れているらしい。

 なんでも、及川が友人と担任の先生に喰ってかかっているとか。

「へえ、それはそれは……」

 顔に感情が出ることを抑えられない。

 最初に浮かんだ感情は喜悦――次に僕自身に対する失望。

 及川とその取り巻きとの間で内紛が起こっていることは好ましい。

 いい気味だと思う。

 ひとしきり心の中で喝采を送った後、及川の黒城さんに対する想いの深さに愕然とする。

 そうか、及川にとってはクラスで味方を喪う危険性が冒しても黒城さんとの繋がりを手に入れたいのか。

 まあ、想像かもしれないけど及川からすれば誰かを謀略で嵌めるという間違った行為を許せない理由もあるだろう。

 どちらにせよ、僕には無理だ。

 カンニング疑惑をかけられ、僕が最も苦しい時に見捨てた友人達とはいえ、まだ繋がっている状態で、姫神さんのためにその繋がりを切れるかどうかと問われれば首を振ってしまう。

 そこまでの冒険は冒せない。

 薄情な友人たちとの関係を維持しつつ、姫神さんとの関係を模索するだろう。

 何かを喪おうとも己が欲するもののために行動できる及川と。

 己が欲しても何かを喪うことに耐えられない僕。

 うん、及川に負けて当然だな。

 姫神さんが振り向かなくて当然だな。

 もう何度目かになるかわからないぐらい、及川と自分を比べて嫌になる。

(南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経)

 胸中唱題して弱気になっていた自分を叱咤する。

「終わったことだ」

 僕は首を振る。

 なら、次にやらなければならないのは反省。

 姫神さんに確認しよう。

 僕を振ったのはそれが理由なのかと聞こう。

 振られた時のことを思い出すたびに傷口を抉られるような不快感がこみ上げるが、確認しないことには始まらない。

 僕は時間を確認する。

「今は三時限と四時限との間の休みか」

 ちょうどよい時間帯。

 よし、昼休みに姫神さんのところへ行こう。

 と、その前に僕は黒城さんのもとに行く。

「ごめん、今日の昼は一人で食べて」

 そう断り入れておいた。

 黒城さんなら何も言わずとも察せられるだろうけど、それとこれとは別問題。

 余計なトラブルは持ち込まない。

「『一人で食べて』なんて。あらあら、せっかく手に入れた私を他の誰にも渡したくないのかしら?」

 が、黒城さんの言葉に落ち込む僕。

「いや……そんなつもりはないんだよ……?」

 我ながら言ってて情けない。

 確かに、今の言葉だと僕以外の誰とも一緒に食べるなと受け取られかねない。

 もう少しましな言葉はなかったのかと落ち込む僕。

「フフフ、冗談よ。だからそんなに落ち込まないで」

「だったらもう少しマイルドな言葉にしてほしいな」

 黒城さんの言葉は冗談だろうけど、僕に多大なダメージを与えてきた。


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