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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
一章
91/150

91、密談(報連相)其の4

先週は更新を飛ばしてしまい、申し訳ありませんでした_:(´ཀ`」 ∠):


こっそりと三年振りの家庭訪問に、てんやわんやです。。。

 

 義理の親子間での端的な問答の遣り取りの中で雛が見せたルーナエレンに対する執着は、レオナルドの記憶の奥底にあるアレと確かに似た傾向を感じさせるモノであり、今後次第では危険を感じさせる性質が垣間見えるのだが、レオナルドはそれに対して不快だとは全く感じなかった。


 この場に居て雛に対して同様の問答をしたのがアレンハワードであったならばまた違った判断を下しただろうが、或る者には幸いにも、また或る者にとっては不幸な事に、此処には雛とレオナルドしか存在していない。


 もうこの雛は紛れもなく自分(レオナルド)の眷属なのだからその所為なのかも知れないが、原初の頃から意識だけは既に存在していた目の前の古龍の雛と、ネヴァンや他国の興りで多くの混乱と無秩序な不幸を大量に生み出した、欲望自己完結型のアレとでは本質的に違うし明らかに別個体。


 何よりもルーナエレンを慈しむという意味で、多くの加護を惜しみなく注ぐ『彼女』の存在がある。


 そして自分もこの世代では箱庭に降り立ち、サリヴァン親娘の側に居るのだから、そう簡単にはこれからより輝きを増すであろう幼い少女の心身の成長を諦めたりはしないし、諦めさせはしない。


 ただ、ルーナエレンが何もかもを厭い投げ出してしまうかも知れない、そう遠く無いであろう大きな喪失に対してだけは、愛娘(ルーナエレン)の哀しみをどれだけ予想しても備える事は到底無理なのだ。


 少しずつではあるが、自分(レオナルド)以外でルーナエレンの格に釣り合いが取れる成長見込みの守護者も協力者も増えた。


 アレンハワードとレオナルドだけでひっそりと隠す様に、大切に囲い込んで慈しんでいた時期とはもう違う。


 この先のサリヴァン親娘がどの様な道を辿るとしても、今のレオナルドが出来る最大限の選択肢を用意すべく、雛へと青の視線を投げかける。


「お前の今後の努力次第ではあるんだろうが、お前の身をエレンの為に無償で捧げる場合の褒賞は一応必要だよな?何を望む?」

『‥‥‥では、ちちうえがボクに『な』を、つけてください』

「良いのか?オレが名付けたとなると、名乗りに障りが出る可能性があるぞ?」

『そうなのですか?』

「まだお前自身、安定していないからな。‥‥いや、寧ろこの先の成長の可能性の道筋を与える為に、きっちりしたのをつけるべきか‥‥?」


 レオナルドの予想では、この雛は自分の名付けをルーナエレンに願うのではと思っていたのだが、本能というべきなのか計算なのか、この自分(レオナルド)に名付けを望むとは。


「良いだろう。お前の本質の『古龍』の部分をオレが名付けてやろう」

『っ!ありがとうございます!』


 もふもふした大きい毛玉が全身で喜色を顕にするのを見ていると、レオナルド自身も満更でも無い気分になる。


「当たり前だが土が一番強いな‥‥他の適正は水、火、おぉ時空間属性も生えてんのか。これは、オレの影響‥‥っていうより元からっぽいのか?」

『ちちうえ、あの、ボク‥‥たぶん、やみもかなりあるとおもいます』


 雛の本質をじっくりと吟味するレオナルドに、おずおずと雛が申告する。


「ああ、環境からして元から適正あるだろうな。オレとも繋がってるから余計に」

『ちちうえも、やみぞくせいが?』


 心無しか弾んだ雛の声音にくすりと小さく笑った後、今の会話から少しの可能性を確認すべくちょっとした実験を試みる提案をしてみた。


 大きくもふもふな雛の口元へ、レオナルドは指先から紅くててらてらと発光する様に輝く小さな結晶を出して含ませると、青い瞳でじっと雛を見つめる。

 しばしそのまま観察をして状態を吟味し、改めてキョトンとしたままの雛へ話し始める。


「お前の特性として、属性の獲得はある程度その属性に染まった魔素を吸収すれば得られると推測される。元からの属性の適正の有無に左右される可能性も捨て切れないから、詳しくは物質的な身体に戻ってからになるだろうが、後々の実験にエレンやアレンが関われば、かなりの確率で多くのものが得られるんじゃ無いかと思う」

『つまり、ボクには‥‥きゅうしゅうとへんしつのとくせいがある、と?』

「恐らく。この屋敷はアレンの強い想いと大量のアイツの血肉がベースになっている。そこに、その血筋を元より深く慈しむ存在の祝福と、アレンとエレン個々に対する深い加護がそれこそ大量に作用しているから、空間に存在する事を赦されているお前は、どの程度の手間が必要かは定かではないが力を得る機会も手段も恵まれる。精々励め?」

『はい!!』


 本来の始祖がどんな経緯で固有の能力や属性を得ていたのか、嘗てのレオナルドには興味の欠片も無かった為に、詳しくは知らない。

 だが、自分が執着し大切にしている親娘の今後に深く関わる存在の根幹や本質の形成に、自らが深く関わる事が出来る今。


 自重という言葉など、遥か彼方に置き去りにしてしまった。







 * * * * *






 実験は戻ってからと決まった為、その後話し合いが必要な部分としては雛の今後の姿に対する、本人の要望や展望があるかという聞き取りがあったのだが。


 溶けた経緯で普段の姿として、鋭い牙や爪、そしてゴツゴツとした鱗などはどうやら上手く保てない可能性に行き当たってしまった。


 そして、レオナルドから齎されたルーナエレンの嗜好の一部から、ある程度の魔獣や魔物に関しても忌諱感は無いと判じたものの、どちらかといえば小動物、とりわけふわふわもこもこした存在を好む傾向が強いと知らされた雛は、己の誇りと由来である『龍』の部分を簡単に封じてしまった。


「いや、きっと目の前に居たら居たで、エレンは愛でると思うが?」


 と言い切ったレオナルドだったが、小動物は無理でもふわふわもこもこな姿を如何に叶えるかに絞られる。


「わんこ枠は、ルディだろ?こにたんが兎とぬいぐるみ枠。あと空いてるふわふわ‥‥」

『ネコかは、ちちうえ‥‥ですよね?』

「うーん、あんまり譲りたくないのが本音」

『そうです、よね‥‥』


 見るからにしょんぼりと落ち込む雛の姿に、何処かの雪国で見かけたまんまるくて白く小さな鳥類を思い出すが、風の属性を雛に与えられるか定かでない為、その姿を取る事になった場合、スマートな飛行は無理な予感がしてついレオナルドは笑ってしまう。


 何よりこの大き目なクッションくらいの質量が、あの可愛らしい小鳥のフォルムを取った場合のシビアなアンバランスさが、もう笑いにしかならないだろう。


「仕方ねえな。鳥類も良いんじゃないかと思ったが、それじゃ今とそんなに変わらないクッションだからなぁ。オレの息子として、仔猫枠を許可してやろうじゃないか。黒猫はどうせ、オレだけだろうし」

『よいのですか?!』

「仕方ないだろ?お前嘴まで封じてるんだから。その点、爪も出し入れ可能だわ牙はあるわ、ふわふわふかふかな猫科のあらゆる格好良い姿を、ルーナエレンはオレを通して知っている訳だからな!」


 得意気に鼻息荒く言い切ると、レオナルドはサリヴァンの蔵書にあったあらゆる動物や魔物や魔獣、妖精や精霊や聖獣の姿を、もふもふな雛の額と自分の額を触れ合わせて共有させた。


 そしてその上で、一旦雛を下ろしてから『本来』のレオナルドの姿を極々一瞬だけ解放し、すぐ様それを封じる。


 世界から隔絶した状態だとはいえ、本来その姿を解放するのは禁忌と言える。


 だがレオナルドはある種の確信を以って、己の眷属に、義子となった古龍の雛に姿を晒した。


「お前の養父(ちち)の本当の姿だ、良く覚えておけよ?」


 全てが閉じられ停められた空間の中、微かに震えながらも雛は無意識にこくこくと必死に頷いて見せる。


「良し!じゃあ、さっきのイメージや知識から、自分に合った姿をお前自身で創れよ?」

『はい、わかりました、ちちうえ』


 その返事にはほんの少しだけ怯えた様子は見てとれるものの、雛と義父(レオナルド)との秘密の会議は無事、終える事が出来たのだった。




お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


シマエナガ、可愛いですよね!

でも可愛い小鳥が急にクパァ!ってやったら、ちょっとクリオネショックが起きそうだったので、義理の親子として仔猫解禁する事にしました。

『龍』何処行った?!

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