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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
一章
79/150

79、小瓶

投稿が遅くなってしまいましたー!_:(´ཀ`」 ∠):

申し訳ありません。。。

 

 正直メルヴィンで同様のやらかしをされた場合であればとても笑えない二人だったが、コニーとセットと考えた時のメイヴィスの天然さは、暫く経験してこなかったからりとした笑いを齎した。


 とは言え双子というだけあって個性は多少違えども、中々の濃さを持っているのは確かだ。


 アレンハワードは未だ少々の不安を感じている様子だったが、鋭いコニーのツッコミを目の当たりにしたので一先ずそちらに今後の指導を任せてみる気になったらしい。


 白き弾丸と化した後、コニーは再度捕獲したメイヴィスを引き摺る様に裏庭に面していたウッドデッキのテラスから、厨房裏口方面へと連行して行った。

 基本的に感情や自立した思考が無い魔導人形だった筈なのだが、レオナルドの眷属となった所以か所々でキレのある挙動をしてくれるし、細やかな気配りと拘りを感じる事も多々あるので、メイヴィスを程よく指導してくれる事だろう。


「あのタイミングで突っ込んだという事は、取り敢えずコニたんに衣装から修正されるんだろうな」

「まぁ、エレンの前であの姿は‥‥」

「晒せないなぁ‥‥何がしたかったんだアイツ」

「‥‥あまり知りたく無いかな、私は」

「笑えたけどな!」


 からりと最後に付け加えられた言葉にアレンハワードは軽く息を吐き、纏う空気をほんの少し和らげて、その場に残されていたメルヴィンにアイスブルーの眼を向ける。


「君の姉君はこちらで預かるよ。ああ、そうだ。君たちは直接連絡が取れたりするのかな?」

『あ、ええと、不束な姉ですが、宜しくお願い致します!連絡は、ほんの一呼吸くらいの時間のズレは出ますが‥‥外なら植物経由で可能です。こちらの空間では、どうでしょう‥‥メイヴィスなら何らかの方法を使えると思いますが』

「そう、折角長い間分かたれていた片割れに会えたのに、すまないね。ただ、基本的には君の姉君から君に渡った情報は、漏らしてはいけないのは理解出来ているね?」


 済まなさそうに綺麗な眉をやや下げて言ってはいるが、その言葉には若干物騒な響きを持っている。恐らく情報を漏洩してしまった場合は、いち早く動くであろうレオナルドが止まらないと言いたいのだろう。


 とは言え、内容によっては(アレンハワード)自体が止める気が無い状態なのだろうと想像が付く辺り、メルヴィンも少しは彼等に馴れたのかも知れない。


「メルヴィン、お前に屋敷の一階供用フロアのみ()()()()立ち入る許可を出してやろう。ただし、用もなく来る様な場合はコニーによって排除されると心得よ」

「前庭や東側は基本的にメイヴィスに任せようと考えているから、君も入り浸りさえしなければ姉君と面会くらい咎めない。サボりの理由にした場合は、一発退場になると思うから気を付けて」

『っ!!このご温情に報いるべく、誠意努力致します!』


 びしりと姿勢も正して応えているものの、誠意と言われて何となく残念な返事に聞こえてしまったレオナルドとアレンハワードではあるが、既に調教済みと隣の人物が口にしていたのでそれなりの態度で受け流す。


「帰ってよし!じゃあな!」

『え?!もう?!ああっ!!!』


 急な退場を言い渡されて強制退去の転移をかけられたメルヴィンは、小さく手を振るアレンハワードに縋る様に手を伸ばしたが、無情にもそのまま自分の本体の菩提樹の根元に手を伸ばした姿勢のまま一人で立ち尽くしていた。







 * * * * *






 撤収させられたメイヴィスとお昼寝組の初めての対面はコニーの対応次第になる為、愛娘が起き出した頃に先に伝達だけする事にした。


 そして最近では成長によりお昼寝の時間がかなり短縮されていた愛娘だが、高めの体温を持ったもふもふ抱き枕を得た事で、再び微睡む時間が長くなっている。


 常日頃なら半刻は早いお目覚めの筈なのだがそろそろ一刻と半分が過ぎ、おやつの時間を少し過ぎた頃。


 二階の供用スペースの暖炉前で、子供達の寝顔を見ながらソファーに座り、レオナルドと共に図書室から持ち出した資料を読んでいたアレンハワードは、愛娘がそろそろ起きる気配を感じて資料を閉じた。


 立ち上がって足音に気をつけながら、毛足の長い絨毯の上で沢山のクッションと毛玉に囲まれたルーナエレンの愛らしい寝顔を覗き込む。


「う、ん‥‥」

「おはようお姫様」

「あ、とうさまだぁ‥‥えへへ、おはよう」


 まだ眠そうなとろりとした紫水晶の瞳が柔らかく細められ、血色の良いまろい頬にふにゃりと笑みを浮かべる。

 普段であれば小さな両手を伸ばして抱擁を求めてくるものの、今彼女の腕の中には雛がいる。


 そっと愛娘の柔らかな前髪を撫でるようにかき揚げ、形の良い額にそっと口付けた。


「とうさま、なんだかちょっと‥‥あまいにおいするの」


 コニーが用意しているであろう焼き菓子の匂いに気付いたのかと思ったが、アレンハワードが近付いてから発した言葉だったので違うようだ。


「お菓子の匂いじゃ無いのかい?」

「ううん、すこしちがう、かな?でも、やさしくて、あまいにおい」


 そう言ってルーナエレンは父親(アレンハワード)の首元に自分の顔を擦り付ける様に甘えながら、小さくすんすんと匂いを嗅ぐように鼻を鳴らす。


「ふふ、エレン仔犬みたいだね」

「ええ〜ちがうもん」


 くすくすと笑い合う微笑ましい親娘のやり取りを少し離れた場所でレオナルドも見守っていたが、コニーが用意したお茶とおやつを持ってカーターが二階にやって来たタイミングを見計らって、彼女の背後から話し掛ける。


「エレン、コニーの準備次第だがエレンとそいつのお世話係が新規加入してきたぞ〜。あの緑のと近しいから、かなり面白い毛色をしているから、お楽しみにな!」

「うん‥‥でも何か疑問に思ったり嫌だったら、すぐにレオナルドでも私でも伝えると約束して」

「まぁコニーが間違いなく防波堤になるから、そこまで気にしなくても大丈夫だって」

「‥‥うん、わかった」


 次第に意識がしっかりしてきたのか、少しだけ眉尻を下げたアレンハワードの言葉に続いたレオナルドの軽い返しに、一瞬の間を開けて応えた幼ない声がほんの少し平坦になったので、すぐさま保護者二人のアイスブルーと青の視線が交差する。


「あ、あとエレン、その、ごめんな?」

「‥‥‥」

「ほら!エレンの機転のお陰で万事いい方向に行った訳だし‥‥揶揄ったつもりは、無かったんだけど‥‥ほんとごめんなさい!」

「‥‥‥‥‥」


 父親にくっついて後ろのレオナルドの方を振り向かないルーナエレンの沈黙に、そっとアレンハワードが愛娘の背中を摩ってやる。

 優しく謝罪を受け入れる様促されて、漸くちらりと顔を少し後ろに向ける様がまた愛らしくて、それでもここで笑ってしまうと同じ事の繰り返しになると学習したレオナルドは、必死ににやけそうになるのを堪えて待った。


「‥‥うん、エレンも、すねちゃって‥‥ごめんね?」

「くぅ!全然問題なしデス!仲直りしてくれて有難ううぅ!!」

「‥‥うん」


 微笑ましい仲直りを見ながらすぐにカーターがお茶の用意を整え、仔犬ルークと雛を暖炉前のクッションに残して側にあるローテーブルに移動する。


 アレンハワードが自分の膝にルーナエレンを抱えて座り、正面にレオナルドが陣取ると発芽からの流れをなるべく簡素に伝えていく。


「脱線しやすそうだったから、チャージした半分以上が余剰と判断してオレが素材としてお取上げしてあります」

「この小瓶に一杯あるね‥‥」

「わぁ、ちいさくてかわいい!」


 テーブルの上に置かれた小瓶の中には、小振な花の砂糖漬けにも見えるコロリとした結晶が沢山詰まっている。単色ではなく黄色から乳白色と濃淡が有り、極稀に小さくキラキラと銀色の輝きが混ざっていて見ているだけでもルーナエレンは楽しくて仕方ないようだ。


 女の子らしいそんな様子を保護者達が見守る中、嬉しげにルーナエレンが小瓶をその小さな手に取った時、何の前触れも無くポンっと音を立てて小瓶が分裂した。


「えっ!?」

「は?」

「うわ‥‥‥」


 可愛らしい高く澄んだ幼女の声とアレンハワードの状況が良く理解出来ず驚く声の後、レオナルドは若干の呆れた声を漏らす。


 小瓶は色の濃い物とキラキラと光る小花の砂糖菓子とに分裂し、色の濃い方の小瓶はころりと毛足の長い絨毯に転がって行ったのだった。





お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


ちょっとずつ執筆速度が落ちていて、少し気合い入れ直さなくては_:(´ཀ`」 ∠):

そろそろ雛に、名前をちゃんとつけたい今日この頃です。


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