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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
一章
55/150

55、激おこスパイラル


大幅に更新の時間が遅刻してしまい申し訳ございませんでしたぁ!_:(´ཀ`」 ∠):

連続でこんな駄目な文章ここに書いてるぅ‥‥囧


 

 カーターが図書室で数多の書籍に没頭していた頃、珍しくルーナエレンが寝愚図った結果。

 ぎゅうぅっとアレンハワードの首にしがみ付いたままの愛娘の長い睫毛が乾くまで、悠に半刻程度かかってしまっていた。


「勝手に繋げたのは悪かった。アレンがそこまで動揺するとは、オレ考えてなかった‥‥ほんと、すまん」

「‥‥‥‥」


 言いたい事は山程あるが、色々と衝撃が強過ぎて上手くレオナルドの謝罪に応える事が出来ない。


 鳥籠を象った温室は、サリヴァン家の直系つまり呪いの強い者にしか明かされない、今は失われているとある象徴をそのまま再現した姿であり、その奥にあった隠し部屋と工房が祖国のあの場所と繋がっていたのだ。


 厳密に言えばあの場所の上位階層と繋がっているのであって、彼の国側からはアレンハワードと同クラスの能力が無ければ気付く事は勿論、この空間魔法(おうち)には渡って来られない。

 そしてちらりとだけその隠された部屋や工房を見たアレンハワードは、自分が幼い日に亡き母と最後にそこに立ち入った状態と、何一つ変化が見られなかった事に無意識にショックを受けていた。


 立ち入れる資格がある者が居れば、元より学者気質が色濃い家系。多少なりとも素材なり作成中の棚なり変化がある筈だが、そこに存在する空気も含めた全ての物が、かつての記憶のまま時間(とき)を停めてしまっているかのようだった。


 それは、自分の後あの場所へ立ち入る資格を有する者が、今現在のあの家に存在しないという事実でもある。

 そんな状況下で自分の存命や、より濃い血を保持するルーナエレンの存在が知れてしまったら。


 サリヴァンの事情を知る王家や極一部の上層部が、きちんと情報統制と黒い思惑を制御出来ていれば良いが、あの国だとて、魔力が豊富でしかも始祖に程近い濃い血筋はどうしたって保持していたいだろう。


 歴代の記憶を一部魂の記憶領域に引き継ぎ続けている一族とはいえ、祖国を出奔する前のアレンハワードはまだ成人には程遠く、碌な対抗手段や対処が出来ずに絡め取られかけたのだから。


 それらの諸々の複雑な感情が無意識下に滲み出していたのか、滅多に寝愚図らないルーナエレンが珍しくアレンハワードを求めて激しく泣き出し、レオナルド含め過保護な保護者二人が文字通り飛んで邸宅の子供部屋に帰り今に至る。


 そしてスンスンと鼻を啜りぎゅうっと懸命にアレンハワードの首に引っ付いているルーナエレンは、お怒りモードが未だ冷めやらぬ様で、保護者達が子供部屋に飛び込んで来てから一度もレオナルドだけを頑として見ようとせず、ぷりぷりとしたほっぺを膨らませ尖らせた可愛い唇も若干への字で固定してしまっている。


 アレンハワードを視界に入れたルーナエレンが弾かれたように飛びついて来た様には本当に驚いたのだが、先程からようやく父親にだけポツポツとレオナルドへの恨み節を伝言ゲームにように零し始め、結果として自覚の無い部分で思いの外過去のトラウマを刺激されていたらしい事実が明らかになり、その押し込められていた鬱屈や負の感情をルーナエレンが敏感に拾ってしまった為、不安と心配で思わずギャン泣きしてしまったという流れであった。


「レオナが、とうさまいじめたから、エレンおこってるのっていって!」

「いや、その、いじめるつもりは無くてだな、その」

「つもりじゃなくても、かなしくてくるしいってきもち、いっぱいいっぱい、いっぱいだったんだから!」

「ああ、ご‥‥ごめんてエレン」

「エレンは!レオナとおはなししないんだから!」

「許してエレン!ほんとにごめんなさい!!」

「ごめんなさいは、エレンじゃないの!おはなし、しないっていってるの!!」

「ええ‥‥う、許してくださいぃ‥‥」

「いやぁ!!」


 常に無い頑なな態度で怒りを体現している幼いルーナエレンの一見可愛らしい剣幕だが、言葉の端々から純真な愛情と温もりを心身ともに深く実感出来て、アレンハワードは自分以外の二人が極真剣にやり取りしているにも関わらず、とても温かく穏やかな気持ちに全身を満たされる。


 そしてそっぽを向いて話さないと言いつつ結局直接容赦なく口撃している愛娘と、少女姿なのでまだ見られるものの何時もの尊大そうな青い瞳を潤ませて、本当に泣いてしまいそうになっている超越者の馴染まない様に自然と口から忍び笑いが漏れてしまった。


「くっ、ふふ‥‥あっは、笑っちゃダメだけど‥‥ごめんレオナ。エレンも、本当に有難う。エレンの気持ちで、父様はすっかり元気だから。ほら、エレンなら分かるよね?」

「むぅ」

「ほらほら、このままだとレオナ、本気で泣いちゃうよ?仲直り、みんなでしよう?」

「‥‥みんなで?」


 目の前の本気泣き数秒前で自分に救援シグナルをビシバシと送ってきていたレオナルドは取り敢えず置いておいて、ほっこりした心持ちのまま愛娘に提案をしてみると。

 ルーナエレンは言われた通りアレンハワードの心がすっかり持ち直しているのを察知し、少し怒りを解き始めて可愛らしく小首を傾げて尋ねて来る。


「そう、レオナルドは父様がこんなにびっくりしてしまうと思っていなかっただけ。悪気があった訳では無かったって言ってたのも、本心でしょ?父様は、自分でも気付かない内にエレンにまで悲しい思いと心配をさせてしまったから、それについてエレンにごめんなさいって気持ち。後はエレンも、レオナルド泣いちゃうくらいエレンの言葉で悲しいって思ってる。これもエレンなら分かるでしょ?」

「うん‥‥‥」

「だから、三人で一緒にそれぞれごめんなさい、でどうかな?」

「わかった。レオナ‥‥ごめんなさい」

「!!!」

「父様からもエレンに、ごめんなさい。こんなに父様の心に敏感で、こんなにも寄り添ってくれる。エレンは父様にとって大事で大切な、愛しくて可愛い宝物だよ」

「あうぅ、エレンもアレンも‥‥ごめんなさいぃ」


 そしてレオナルドが涙声で謝罪をした後、測った様にコニたんがそっと子供部屋にお茶の用意を整えたところで、人知れず無事に仲直り大会は幕を閉じた。






 * * * * *





 お昼寝明けの一幕の影響で、哀れいじられ役メルヴィンの受難は既に確定していたのだが、自ら墓穴を掘って埋まりに行くスタイルなのがメルヴィンという存在であると、アレンハワードは図らずもこの短期間の付き合いの中で、大いに察して余りあるという結論を導き出している。


 伝言といいつつ引き抜きの事後承諾のお使いと、カーターの鍵用素材の調達を申し付けられていた筈のメルヴィンだが、奴は頼んでもいない存在までも引き連れて戻ってきた。


 とはいえ、アレンハワードやレオナルドの許可を得なくてはメルヴィン自身も空間魔法(おうち)に勝手に出入り出来ない以上、他者を更に勝手に連れて立ち入る事は無理なのだが、あろう事か敢えて不意をついてまで要塞砦を脱してきたのにも関わらず、その原因を作った当人であるモルガン辺境伯当主の実弟ラドルファスを、菩提樹の若木の元まで引き連れてやって来たのだ。


 しかも、ラドルファスは実直な武人(脳筋)でありながら、ある意味大変お育ちの良い上級貴族らしい側面が強い様子なのが以前対面した際に強く感じられた訳で。


 ラドルファス本人も、黒髪の少女と魔術師当人と対面し力量の一端は見たものの、メルヴィン自身が彼らを如何に恐れているのかまでは正しく理解出来無かったのだろう。

 若しくは、何の繋がりもないにも関わらず率先して魔獣の討伐に尽力してくれた、善良なお人好しとでも無意識で捉えているのかも知れない。


 関わりを持つのも厄介だと判断され拒否されたと理解も出来無かったが故に、どうしてもアレンハワード達に直接謝罪を伝えたいからと、執拗にメルヴィンと同行したい旨を実兄に取り縋ったそうだ。


 更には、未だ目覚めていないとはいえ人工的に先祖返りの状態になったルディを目の当たりにし、それを成したのが旅の魔術師一行だと、領主一族でもあり領の騎士団長という立場上耳にした彼の山吹色の眼には、とても謝罪だけで同行したとは言い難い期待が見え隠れしていて、黙ってそこにいるだけで激しくレオナルドの機嫌を下げて行く。


 あの日の会食中という短い時間だけとはいえ、アレンハワードの言動やその能力から旅の魔術師と自己紹介を受けたとしても、ラドルファスが冷静に(アレンハワード)の実力に至る背景や身の熟しから様々な事が正確に推し量れていれば、幾ら上級貴族とはいえ命を削ってまで他国の貴族出身者にそれを無理強いしていい道理は無いのだと、理解出来ていただろうに。


 彼の実兄であるモルガン辺境伯閣下が、詳細な事情をメルヴィンから知らされて尚弟が此処まで乗り込んでくる事を許可したのか、はたまたメルヴィンの独断なのか。


 来訪者を察知した少女姿のレオナルドが菩提樹の若木の元に現れてから、みるみる間に機嫌を降下させて行く様に青褪めるメルヴィンは、自分の背後にいるルークが憑依した状態のルディの更に後ろに立つラドルファスとレオナルドとの望まぬ二度目の邂逅を、どう釈明したものか死相を浮かべて必死に考えていた。







 


お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


そろそろメルヴィンさんの深緑の髪の毛は、コイン型にツルッと逝くかもしんない(ぇ


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