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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
一章
51/150

51、元侍従長

毎度毎度、更新が遅くなっており本当に申し訳ございません_:(´ཀ`」 ∠):

やばい毎回吐血絵文字使ってる。。。


 

 浄化の魔道具に携わるモルガンの者として選ばれた人物は、レオナルドから見た観点のみではあるがアレンハワードとの相性はほぼ良いと判断出来た。ただ、何処まで彼を関わる事を赦すかという部分では、最愛であるルーナエレンがカーターに対してどの程度の人見知り具合を発揮するのかに尽きる。


 幸い齢六十を超えているカーターの外見は、長身痩躯でありながら背筋の伸びた、とても落ち着いた老紳士といった風情である。また彼が代々辺境伯当主家の侍従の筆頭という家柄の生まれ所以もあるのだろう、彼自身の所作や物腰、言葉遣いや気の配り方から判断しても、比較的早い段階で警戒解除がなされるのではないかと予想された。


 そして何よりも、彼の穏やかそうな柔らかい表情が相対する者に何処となく警戒心を抱かせない雰囲気を持たせているのが、かなりの高得点と言える。


 レオナルドの勝手な脳内予想では、穏やかな老執事(仮)とふわふわうさたんに甲斐甲斐しくお世話を焼かれるルーナエレンイコール笑顔!つまり可愛いは正義!という公式が導き出されており、アレンハワードと老執事(仮)も研究者と技術者としても全体的にマイナスな部分はほぼ見当たらない。

 敢えていうなら、二人とも研究に熱中し過ぎないかという一抹の不安がありはするが、長年侍従長をしていた者ならばきっと自制は効くだろうと想定する事にした。


「よし、じゃあ先にちょっとお前の研鑽してきたであろう(魔力の)稼働範囲を、今の適正に引っ張ってやる」

『ふぁっ!?ど、どういう事でしょう?!』

「あ"ぁ?」


 サリヴァン親娘の空間魔法(おうち)への入場券発行の為、カーターの長年の努力に正しい報いを与える為、満足気に零されたレオナルドの言葉に、メルヴィンが咄嗟に素っ頓狂な声を発する。

 折角稀に見る逸材だと気分が上昇していたレオナルドは、やる気に水を刺されて若干不機嫌を鼻の頭に皺を刻むことで滲ませ濁音で敢えて返す。


『おおおぉぉ恐れながら!!私などが持つ知識では、貴方様の仰られる可動範囲と適正に引っ張るという事態が、理解出来兼ねるのでございますぅぅぅ!!!愚かな私に何卒、ご教授下さいませぇぇ』

「‥‥‥おいおい、箱庭の妖精も精霊も、本当に怠慢が過ぎるんじゃないか?」


 カーターは、目の前でかつては至高と思っていた深緑の大妖精がギャン泣きをし、艶やかで神々しい黒い獣へ額付いて土下座をして騒がしく謙っている姿を、何処か達観した心持ちで見守る。

 跪いていた自分よりも、更に身を低くして滂沱の涙を流して土下座する大妖精は、ちょっと現当主には見せられないし絶対に知られてはならないと固く固く心に刻んだのだが、当地の大妖精と大精霊ひよこバージョンと当主本人の面談を知らないカーターなので、そもそもその決意は取り越し苦労ではあるのだが。


「説明は、我等が姫次第だ。カーターが確実にオレ達と今後共に在れるかどうか、判断するのはまだ早いだろう」


 そう告げた後に零された、そうそう何度もアレンに黙って決めて怒られるの嫌だし、という小さな呟きは、幸い誰にも拾われる事はなかった。







 * * * * *





 毎度氷の魔王を顕現させ叱られて来たレオナルドは流石に学習したので、一先ずカーターを連れて菩提樹の若木まで移動をした後、アレンハワードと対面をさせるべく先に空間魔法(おうち)へ連絡をした。ルーナエレンは、コニたんと一緒にお留守番をしてもらっている。


 そして今現在、カーターとアレンハワードの対面が叶った訳なのだが、思っていた以上にアレンハワードの表情が柔らかい。


「ああ、貴方が辺境伯家ご令息のあのカフス釦を加工した方でしたか。成程、お会い出来て嬉しいです。自己流と伺いましたが、市販の魔道具から派生させながらも既存の仕組みや術式の効率化の工夫、そして小さなご令息に合わせた強度や軽量化など、とても素晴らしい品でした」


 職人ではなく研究者的な立ち位置ではあるが、アレンハワードなりにとても親しみが持てたのが理解出来る、とても穏やかな声音だった。


「ああ、名乗りもしないまま大変失礼を。私は旅の魔術師として、先日迄『龍の背骨』の要塞砦に逗留させて頂いておりました。アレンハワード=サリヴァンです」


 先程までの大妖精と黒い獣のやり取りを見てどんな相手と自分は対面しなくてはならないのかと、内心戦々恐々としていたカーターだったが、今自分と対峙している長身の美しい青年の容貌の麗しさに加え、穏やかそのものといった態度に、しばし呆然としてしまった。


 そして直接ではないが、領都から使者としてランドルフの実弟ラドルファスと筆頭執務官のコナーが失態を犯し、目前の彼の機嫌を著しく損なったという経緯も耳に入っており、それらを踏まえてもここで自分が更なる不興を買う訳にはいかない。


 そう思い、湧き上がる不安を押し殺して心を鎮め、出来る限り穏やかに声を絞り出した。


「初めましてサリヴァン様。わたくしめはカーター=ベイリーと申します。モルガン家の元侍従長にございます」


 そう自己紹介を自らの口に上らせてから、漸く目の前の美しい青年がカフス釦の事を口にしていたのに気付く。

 そうしてそろりと青年へと視線を滑らせ、失礼がない程度に彼の身に着けている自分が見た事もない多種多様な幾つもの魔術具や魔道具に目を奪われる。

 緊張はしていたが、それだけで次の言葉をどのように紡ぐかなど、考えるまでもなくカーターはするりと柔らかな声音で続けていた。


「サリヴァン様は、さぞご高明な魔術師様なのですね。わたくしめでは想像もつかないような、とても高度な魔術具や魔道具をご存知のご様子」


 そこまで口に出してしまえば、もう何とは無しに互いにちょっとした()()だとピンと来てしまう。


「ふふ、対面するだけで理解出来てしまうのですね。ベイリー殿とは趣味の話が合いそうで、とても喜ばしい事です。レオナルド」

「はいはい、後はお姫様次第だねー」


 艶やかな黒い毛並みを昼の日差しに煌めかせながら、呼ばれたレオナルドがアレンハワードへ歩み寄り、差し出された左手の上にあった小指の先程度の小さな若草色の石にチョンと鼻面を押し付けすぐに離す。


「相性の問題があるから、ちょっと逃げ道も作っておいた方が良いかな‥‥レオナルド、ベイリー殿と縁の強そうなこの土地の上級な素材、手持ちにあるかな」

「そんなもの、アイツ(メルヴィン)で良いんじゃね?もし仕立てた後で邪魔になったら、その要素オレが燃やすし」

『いやぁっ!なんか怖いですからぁっ!!』


 レオナルドの軽口に若干涙目になりつつ己の身を掻き抱いて叫ぶドライアドを穏やかな表情で見守りながらも、アレンハワードはしばし考える素振りをして、ふとベイリーの全身に視線を向ける。

 愛娘に合格が貰えるまでは暫く空間魔法(おうち)に彼が滞在出来るよう、何か日頃から普段使い出来る何かを魔道具に仕立て、それを資格を有している証としてしまえば良い。


 本当の意味でカーターが自分達の事情を理解し、それでも故郷も国も離れて本心から仕え支えてくれるので在れば、その時は自然と彼自身の実力も資格も底上げされているだろうし、足りなければレオナルドの様子からも足るまでの手助けはするだろう。


「ベイリー殿、大変失礼ですが‥‥魔術具を作成する際、細部を作る補助に何かご利用になってますか?」

「いえ、でもそうですね。そろそろ寄る年並みには敵わず、すっかり弱っております」

「成程。レオナルド、それで行こう。フェイトリネアの大河の中洲で採れた砂、あれで硝子作ってたよね?」


 それだけでどんな魔道具を作るのか、何を組み込むべきかについて二人は高速で思考を巡らせる。


「ベイリー殿、何か要望などはございませんか?」

「そうですね、まだ足腰はまだまだしっかりしておりますが‥‥どうにも目の衰えだけは、鍛える事も難しいものがありまして」

「ふふ、ではやはりモノクルにしておきましょうか。真鍮と琥珀と蔓の部分は菩提樹の古い気根で、良く魔素が馴染んでいるものがいいかな」

「いいんじゃないか?きっと似合う」


 まだまだ眼鏡もレンズも技術的にかなり高級な部類に入るにも関わらず、本職の職人でもなかったカーターの為に、自らモノクルを作成してくれるという目の前の二人のやり取りに痛く感じ入った。

 そして何よりも、アレンハワードの口振りから察するに、道具の部品の作成から細工も術式の付与も組み立てまで、全てこの年若い青年がこなしていると理解出来て、年甲斐もなく凄腕の技術を持った彼のすぐ側にて新しく学べる機会を得られた事に、カーターの心は浮き立ってしまうのが止められなかった。






お読み頂き、有難う御座います٩( 'ω' )و


個人的な好みでイケオジを仲間に入れたくなりました(ぇ

きっと保護者の良識として素敵な活躍をしてくれると期待してますカーターさん!


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