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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
一章
46/150

46、ゆきウサさん爆誕

更新がずっと不定期になってます。。。

申し訳ありません_:(´ཀ`」 ∠):

 

 するりと自ら燐光を発するふわふわに呑み込まれていく紅く小さな木の実を三人で見守る。


 そして一瞬その場の空気が揺れたかと思うと、ふわふわとしていたソレが光に解けるように溶け始め、ルーナエレンの小さな手のひらの中心には、ころりと紅い木の実だったものだけが残される。


「‥‥‥」


 それ以上の変化を待って、暫し幼い愛娘の可愛い手のひらに注目をしていた二組の瞳は、互いに視線を合わせる。どういう事だと。


 そこへ、ルーナエレンが小首を傾げながらぽつりと鈴を転がした様な高い幼い声で呟きを零す。


「たりない‥‥?」

「「え?」」


 先程クローゼットの複合立体魔術式からは、まだ他にも様々な何かがルーナエレンの前に顕れる気配を感じたが、保護者二人が一定数で防波堤となり、出てこない様に留める動きをしていたのを理解出来ていたルーナエレンは、一応可愛い困り顔でこてりと小首を傾げて聞いてみる。


「クローゼット、もうだめ?」

「くっ、か、かわ‥‥」


 へにゃりと眉を下げてほんの少し潤んだ大きな紫水晶の瞳が見上げてくる様に悶えつつも、まさか素材が足りなくなるとは思っていなかった保護者達は、クローゼットから補完出来る何かしらは出て来ると予測はするものの、これ以上危険な(意訳)物体に顕現して欲しくない気持ちの方が大きく、あまり乗り気では無い。


 それに、あのふわふわの正体を大体把握しているレオナルドとしても、無理にあれを外に引き出すのはあまり状況的に見ても良くないと感じる。

 あれは本来この大地を潤し庇護する存在を構成する因子の大元の筈なのに、それが寄る辺なく漂った挙句、『彼女』のルーナエレンに対する過剰な加護を通じて集まって来たのだろう。結果この地の状況が、対極の状況の悪化の証明に他ならない。

 早急に、メルヴィンに己の片割れの正確な状況を一度、確認させる必要があるのではないだろうか。


 束の間の沈黙にその場の空気が沈み、考え込んでしまったレオナルドの様子から流石にアレンハワードも、同じ素材は何とは無しに追加するのは厳しいのだろうと思い至る。


 だが、ルーナエレンにとっての初めての鞄、そして愛娘(ルーナエレン)を甘やかしたい気持ちだけはとてもとても強いレオナルドとしても、どうにもし難いのも事実なのだ。

 返答に至らない沈黙の裏を察したアレンハワードは僅かに迷いながら、口を開く。


「レオナルド、質問なんだけど‥‥その、クローゼットから顕れたあのふわふわしたモノは、漂白された高密度の魔素が形取った一つの姿のようなもの、という認識でいいのかな?」

「ああ、まぁそうだな、大体そんな雰囲気で合ってるな」


 それを聞いて、顎に手をやり少しアイスブルーの瞳を思案気に下げ、手のひらの上の紅い木の実に視線を落とした愛娘を上から見つめる。


「それならば、例えば‥‥私の髪に篭る魔力と比較した場合、密度に埋められない程の差は?例えば、代用は可能?」

「‥‥‥やめろ、お前の肉体的な因子は解呪の目処がつくまでは、物質に籠めたり魔道具の素材や術式の媒体にするのは、本気で色んな意味で反動の心配があるだろうが」


 鼻の頭に細かい皺を寄せながら紡がれるレオナルドの声色には、何処か苦い感情が滲んでいる。

 アレンハワードとしては深く考えてはいなかっただろうが、何処となく普通に生きるには苦しい境遇の彼が言うと、形見としての意味合いまで含まれそうで咄嗟に拒絶とも取れる否定を返してしまう。


 彼の血筋の色濃い魔力を多分に含んだ魔術具であったり魔道具であれば、各地に点在しているであろう『呪い』にかなり好かれてしまうに違いない。

 そういった部分でも、ルーナエレンに持たせられる代物とは言い難くなるだろう。


 と、その場のレオナルドとアレンハワードのやや重い思案に沈んだ空気に、場違いな程の明るい幼な子の声が響いた。


「あ!じゃあ、じゃあね」


 良い事を思い付いた!とばかりに顔を上げたルーナエレンは、満面の笑みを浮かべて目の前のレオナルドに抱き着くと、弾んだ声で珍しくおねだりを口にする。


「レオナのしっぽのさき、ちょっとだけちょうだい?そしたらきっと、かわいいゆきうささんになるとおもうの!」

「ふはっ!」


 本来世界の調停者であり、あらゆる破壊を司る神という存在のレオナルドは、銀の雫の姫の無謀なおねだりをこれまた満面の笑みで受け入れ、アレンハワードは吹き出してしまった事も含め、お詫びと称して毛艶を良くする食事を可及的速やかに開発し、提供しようと心の中で固く誓ったのだった。





 * * * * *





 ほんの少し毛先を切るか尻尾を剃るかでドタバタとしたものの、結果として枝毛を数本ちまっと切るかの如き手間で、無事に得たレオナルドの魔力と魔素を加え、ルーナエレンの手のひらの上にあった小さな木の実に注がれた魔力は飽和状態になる。


 そして、レオナルドの指示の元、持ち主として更にルーナエレンに魔力を注ぎながら完成した姿を思い浮かべるよう導いた結果、無事に可愛い雪兎仕様のミニサイズポシェットが爆誕した。


 耳の先はレオナルドの艶やかな黒い毛並み由来と思われる同じ色合いが少しあり、その他の部分は虹色の光沢を湛えた白いふわふわな、指に吸い付く様な極上の手触りの毛皮に覆われている。くりくりとした目の部分はあの木の実を思い出す様な濡れた光沢を放つ紅玉で、愛らしいピンク色の鼻先はそんなうさぎの様子を描いた絵本をルーナエレンが読んだ為ではないかと思われる。


 そしてそのポシェット本体は、本物の仔ウサギ程度の大きさで、ちょっと本物よりもぽってりとした頬とふくよかボディで、胴体の腹部に子供の手が入る程度のポケットが付いており、そこからの物の出し入れを想定しているようだ。


 見目は明らかに写実的というよりも全体的に可愛らしく抽象的であり、兎に有り得ない有袋類的な様も気にならないと保護者達も真面目に思っている。


 誓約を持たせ、自らの魔力もたっぷりと登録してある上に保護者たちの想定した動きを取らせる第二形態もこっそり追加されているのはレオナルドの仕業であるが、まだそれが日の目を見る事はない。


 今夜ルーナエレンが眠った後にでも保護者会(謎)を開いて、更なる第三形態まで確認しようと先ほど完成を喜ぶ愛娘の頭上で視線を交わしてある。


 そう、第三形態。


 それは、ルーナエレンが完成した雪うささんのぬいぐるみポシェットを抱き締め、嬉しげに名前をつけた為に生じた真の姿だった。


「コニー、コニーでどうかな?」


 そう言ってギュッとポシェットを抱き締めアレンハワードに振り返った際、レオナルドは内包された筈の木の実に見えた宝珠に揺らぎを感じ、正式に無機質ながらも彼女を護る一つの『魔導具』が更なる存在へと昇華された瞬間をその眼で視た。


 本来、魔力を持つ者が極端に減少した箱庭の地上にて、最も一般に普及しているのは『魔道具』である。

 術式を一つか二つ、籠められる部品を道具に足した物だったり、表面に比較的簡素な魔術式を魔力で書き込んだりして作成するのが一般的で、魔力保有者が扱う場合には自身の魔力を極僅かに流す事で使用出来る。また逆に魔力を持たない者が利用する場合は、小さな水晶の欠片が埋め込まれた同等の魔道具があり、その取り付けられた小さな水晶の欠片から大気中の僅かな魔素を取り込み、起動出来る仕組みが施されており、使用出来る用途にもよるが比較的簡素で安価な物が流通している。

 そして魔道具に篭められる魔術の殆どが、生活魔術と言われる比較的初級の魔術を応用した生活に特化させた魔術式だというのも、一つの特徴と言える。


 それに対して『魔術具』とは、利用者の殆どが魔力を保有する貴族階級や騎士や一部の衛士、魔術師等であり、補助の魔術や初級中級程度の魔術式を自力でも扱える範囲内で使用するものであり、戦闘や守護、補助の為に開発された武器や装備品に登録若しくは刻み込みんだものを指す。

 ただ、その術式に籠められる魔力量や魔力操作によって、ある程度同じ術式でも威力が変わってくる事と、保有する己の魔力の属性にかなり左右される為、使い所や汎用性の少ない魔術は術式の知識が地域や身分によっては学べる機会が少ない事もあり、余り特殊な物は市場に出回る事がない。

 故に『魔術具』を作り出せる知識と環境と技術を持つ者でなければ制作出来ない事もあり、利用者の人口もあり一般的に普及してはいない。


 だがアレンハワードに関して言えば、元より環境も知識も技術も魔力もあり、実際自らの装備の多くは彼自作の『魔術具』といえるのだが、複数の魔術式を多く組んだ上で利便性も求めてついでとばかりに『魔道具』の要素も詰め込んだりもしている。


 だからこそ、今回のポシェットには複数の魔術とポシェットという魔道具を掛け合わせた一般的には国宝とも同等の『魔導具』となる予測は出来ていたのだが、諸々の素材の質が破格過ぎたのだろう、レオナルドの意図をも超えて『魔導人形』ならぬ『魔導ゆきうささん』が爆誕してしまったのだ。


 一応、籠められた誓約がルーナエレンの身心と願いも護る、と刻まれている。


 きっと凶悪な存在にはなるまい、と保護者二人は願わずには居られなかった。







お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


ゆるふわポジションの従者みたいなのが作りたかったんですが、ちょっと雲行きが自分でも分からない有様です_:(´ཀ`」 ∠):

全く話が進まない!!!!!!


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