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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
131/150

131、閑話・お留守番(ルーナエレンの場合)

98話のちょっと前のお話になります。


今回はとっても短めです_(:3 」∠)_

 

 冬の移動を取り止めて空間魔法(おうち)で春が来るまでゆっくりしようと纏まったので、ルーナエレンはせっせとグランジエールの介抱をしてすっかり幼い同士仲睦まじくなっている。


 会話は成立しないけれど、それでも魔力の馴染みや相性が同年代としては破格に釣り合っていた事もあり、意思の疎通は何とはなしに測れていたし、レオナルドが猫化するよりもサイズも互いに負担を感じない程度だったので、おままごととまでは行かないが二人はすっかりベッタリだった。


 そんな幼い二人を過保護な保護者達はやや心配していたようだが、ルディの再教育の手筈をレオナルドが整えて戻ってきた頃にはグランジエールの仄暗い部分はかなり鳴りを顰めていた様子が見てとれた。


 その頃には初冬の月最後の週になっており、レオナルドが不意に意味不明な事を宣言したのだ。


「オレは獅子なので、来週から義息子(グランジエール)を千尋の谷に突き落とそうと思いまっす!」

「なんて?」


 事前に大人達で打ち合わせだとか予定のすり合わせをしていなかったのが如実に分かるアレンハワードの冷たい声音に、ルーナエレンも腕の中にいた仔猫をぎゅっと抱きしめる。


 そしてそんな愛娘の小さな動きと心の機微を敏感に拾い上げた氷の魔王が、仁王立ちして胸を張り宣言したレオナルドの後頭部をがっしりと掴み、すっとカーターへ視線を投げてから固まってしまっている愛娘にふわりと微笑む。


「エレン、ちょっと待ってて。ちゃあんと話を聞いてくるから」

「う、うん」


 普段から『報告連絡相談』を事ある毎に教え込んではいるが、たまに大暴投をするレオナルドなので事情や思惑をしっかりと確認し、その上で納得行く流れであればサリヴァン親娘は口を挟めない。


 実際あの爆弾シュートの後遺症はすっかり癒えているし、甘えてはいるものの体調も意識にも問題はない。


 寧ろ元気いっぱいであり、室内や屋敷の敷地内的な場所では運動量が足りていない可能性も考えていたルーナエレンは、少し不安気に腕の中の白練色の毛艶をした仔猫を眉を下げて見つめてしまう。


 何とも言えないへにゃりとした表情のルーナエレンにカーターがすっと歩み寄り、優しく語りかける。


「さあ、エレンお嬢様。お二人のあのご様子では、今すぐどうにかという話ではないでしょう。ここはアレンハワード様にお任せして、お休みください。メイヴィスさん、お着替えを」

『はぁい!ささ、姫さま〜お部屋に参りましょうぅ』

「‥‥とうさま、あとでくる?」


 レオナルドを連行した時の様子できっと話し合いが長引くと経験則から感じたルーナエレンは、しょんぼりとした様子で自分より背の高い、それでも子供の範囲を全く出ていない緑の女王ことメイヴィスに上目遣いで尋ねる。


 おうちは寒さが緩和された快適空間であるものの、最近毎夜抱っこして眠るグランジエールの魅惑の温もりともふもふ具合がいなくなるのが寂しくてしょうがないというのが、偽らざる本音でもあった。


『きっと上手く調整して下さいますとも。さささ、参りましょう〜!』


 優しく背中を押されて階段へ足を動かし始めたものの浮かない表情のままのルーナエレン。

 その腕に抱っこされたグランジエールは、腕から抜け出さない程度にしなやかな身体を伸ばし、大好きな女の子のまろい柔らかな頬をペロリと舐めた後自らの頬を擦り合わせる。


 アレンハワードに甘える際に自分も良くする行動をグランジエールにされ、ルーナエレンは思わずふふっと小さく息を溢して笑ってしまう。


 今はここに居るのだから元気を出して欲しいというような気持ちが、柔らかい感触を通して伝わってくる。


「おやすみなさい、カーターさん」

「はい、おやすみなさいませお嬢様」


 他ならぬアレンハワードがレオナルドを捕まえて話をしているのだ。

 きっと、自分が悲しむ結果には、誰もしない。


 春には再び皆で外に出て移動するのは既に決まっているのだから、残す処一ヶ月ちょっとだけ。


 きっと、アレンハワードが飽きっぽいレオナルドを上手く誘導してくれる。


 そうしたら離れたとしても、一月程度。


 ぬくぬくとお布団で仔猫と一緒にまぁるくなる頃には、ルーナエレンの動揺していた気持ちは落ち着いていた。





お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


ほっこりバージョンのお留守番。

次回のお留守番担当は、チェリー姐さんdeath!

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