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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
127/150

127、二人きりの小さな冒険

投稿予約をミスって一週間すっ飛ばしてしまいました。

申し訳ありませんんん_:(´ཀ`」 ∠):


ちょっと調子に乗ってた馬鹿野郎です。。。。

 

 大人達の話合いの場から離れたルーナエレンは、グランジエールを抱っこしたまま一度二階の自室へ足を向ける。


 そこで、いつの間にか待ち構えていたコニーに外出用の暖かそうなフード付きポンチョを着せられ、後に小さなマフラーも受け取る。

 そして受け取ったマフラーをグランジエールの顔の前に持ってくると、白練色の毛並みの華奢な首にそっと巻く。


「‥‥これね、エレンがあんだの」


 少し照れたように微笑みながら部屋にある鏡台のスツールの上にグランジエールを下ろし、動いてもすぐには外れてしまわないよう長さも含めて調整する。


 鏡の中に映る自分はふわふわのマフラーを巻いていて、そのマフラーの色合いはグランジエールの瞳の彩より少しだけ淡いエメラルドグリーンと、中心から両端に向かって白くなるグラデーションになっていて、総じてそのマフラーが自分(グランジエール)専用に考えられて作られたのだと誰の目にも明らかで。


 それだけで、心に染み入るような温もりをくれた。


 ゴロゴロと喉が鳴るのはもう無意識だったが、気付いても恐らく止められない位上機嫌になる。


「レオナがね、ドワーフさんがくるからって、はりきっておそとにあたらしいこうどう?つくっちゃったらしいの。いっしょにみにいく?」


 じっと見上げてくるグランジエールがきちんと話を聴いているのが分かっているので、ルーナエレンは留守中の変化について案内するつもりらしい。


「なぅ」


 口振りと装いから、そこまで離れた場所への外出ではないのだろう。

 肯定の気持ちを込めて短く鳴き、歩き出すルーナエレンに身を任せる。


 後ろからコニーも少し離れて付いて来ているので、過保護な保護者が止めに来ない限りは安全だろうと想像が出来た。


 一階へ降り、図書室横にある裏庭に続く廊下を抜けて外に出ると、少しだけ午後の外気は冷たく感じる。


 天然毛皮装備のグランジエールからすれば全く寒くない上に、ルーナエレンお手製らしきマフラーまであるので心の芯までほっかほかなのだが、雰囲気的に身を寄せ合う状況なのが益々好ましく気分が高揚する。


 モルガン領への移動願いが叶った氷狐さん親子が住んでいた水辺に近い北側の洞窟ではなく、鳥籠の温室よりやや南西に今まで無かった構造物(もの)があった。


 それはマルティエ帝国内をこの短期間とはいえ隈無く見て廻ったグランジエールが見た事がない建築様式でありながら、やや風化し廃墟となり崩れかけた遺跡のようにも見える。


 風化した柱や崩れた壁がその広く口を開けた遺跡の入り口付近に無作為に転がっている様は、レオナルドが意図的に創り上げたというより何処かの情景を映し取ったように感じる。


 自分は知らない情景だがルーナエレンはどうだろうと思って顎を上げて見上げると、本人も実際にこの場所に足を運んだのは初めてなのか、綺麗な紫水晶の大きな瞳がキラキラと輝いているのが見えた。


「すごいね、いつくらいのものなのかな?くずれてるけど、レリーフのもようがおうまさん?」


 そろりそろりと足を運びつつ崩れ落ちた壁の破片や柱の一部だった石や岩も観察しているようで、グランジエールも一緒になって観察をする。


 アーチ状になっていたと思われる遺跡へ続く崩れた柱に、共通したモチーフを探しながら入り口へと進んで行くと、思っていたよりも雄大な遺跡であると気付かされる。


 そして入り口に近付けば近付く程、待ち構える入り口がとても大きいと分かる。


 見上げていると首を痛めそうな程の高さがある遺跡の入り口を暫し呆然と眺めていたが、ルーナエレンは更に入り口に向かって足を進めた。









 * * * * *







 ほんの一瞬、入り口を潜ると肌で感じる魔素の濃さに()()を感じたグランジエールは、ルーナエレンの腕に抱かれたまま小さく首を傾げた。


 守護が幾重にも掛かった濃密で高純度な魔素と慈愛に満ち満ちた空間から、それらが一段隔たった云うなれば下層に降りたような感覚。


 自力では叶わない、レオナルドやアレンハワードが行う転移とも若干異なる、より物質本位という意味での下層とでもいうような、初めて。


 廃墟と化した遺跡の入り口を潜り抜けたと思ったのに、先程の不思議な感覚と共に視界が薄暗く感じた。


 それでも怖いと感じなかったのはレオナルドの作り出した空間である安心感と、其処ら中の地面やら壁になった岩肌やらが淡くぼやけて光って見える、幻想的な風景が広がっていたからだった。


「え?こうどうじゃない‥‥の?」


 聞いたフレーズはドワーフの職人の為の素材採集場を新しく用意したという感じの言葉だったのだが、ルーナエレンはイメージだけですっかり何処かの坑道みたいな作りの坑道採掘を想像していたらしい。


 自分たちの身の安全に関しては不安に思っていないものの、ルーナエレンは周囲をキョロキョロと見回し、そろりと通った筈の入り口も振り返る。


 二人の背後に在ったのは大きな古い樽に鶴嘴(つるはし)や掘削用の大きな杭や槌や円匙(えんし)が幾つも無造作に突っ込まれ、傍には牽引用のロープを繋く運搬用の丈夫そうな木箱も積み上げられていた。


 その奥の壁には、大型の馬でも行き違える程大きく緩やかな坂道が続くトンネルの入り口が見え、その入り口は太く立派な石柱で補強されている。


 トンネルの形状から、ここがどうやら大規模で浅めな穴の底部分であり、所謂露天掘りの採掘場なのかも知れないとふと思い当たる。


 図書室での資料や様々な記憶の中からそれらしい情報を拾い上げるけれど、明らかに通常の露天掘りで得られる燃料や鉱石ではない、様々な輝きが其処彼処に転がっているのはレオナルドという存在の介入があるからだろう。


 恐らく空間魔法(おうち)内から層を跨いで繋がった外界の何処かの、更に物質的に濃い階層を儲けたのだと理解する。


「すごいねぇ‥‥きしょうきんぞくがころがってる」

「にゃ」


 青水晶の群生地も圧巻だったが、これはもっと濃密で多種多様な採掘が出来そうだ。


「どこのけしきだろうね?みたことある?」


 腕の中の仔猫に尋ねても、可愛らしく小首を傾げるだけなのでマルティエには無い景色なのだろう。


 ただ、ドワーフであるギデオンがこの場所に案内された時の様子を想像すると、ちょっと笑ってしまいそうになる。


 周囲に生き物らしき反応も無く、安全であると認識した為かグランジエールはぴょいとルーナエレンの腕の中から飛び降り、足元にある鉱石や宝石の原石を爪先で転がしたり突ついたりしてから振り返った。


「なぁに?もってかえるの?」

「なぅん」


 小さく軽やかな足音で追って来たルーナエレンに甘えた声で肯定を返すと、彼女は笑って先程の足元で転がしていた幾つかを拾い上げてコニーに渡して行く。


「エレン、もっといろいろおしえてもらう!クローゼットじゃなくてこっちのをエレンがじぶんでえらんでつくるのも、たのしそう!」

「にぃ!」


 グランジエールからしてみれば、クローゼットの豊富な素材は直接見た事が無いので分からないが、きっと素材を自分が選んだり直接見る事で創作意欲が刺激されるであろう事も想像がつくので元気に返しておく。


 そして互いに幾つか気に入った鉱石や原石を暫く探した後満足気にトンネルの入り口を潜ると、あの廃墟の様な遺跡の外にいつの間にか出て来ていた。


 季節的にまだあまり外に出られていなかったルーナエレンも、外界の何処かと思われる場所を安全に垣間見る事が出来た上、ちょっとした記念品的なお土産も手に入れられた事が凄く嬉しい。


 特に、何時も過保護な大人達に囲まれての行動しか経験した事が無かった中、子供同士だけのちょっとした冒険を無事に終えられた擽ったさが、淡く色付いたまろい頬を自然と緩めさせる。


 短時間ではあったけれど共有した冒険に、心なしかグランジエールとルーナエレンの距離感は縮まっていた。







お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


グランジエールは青ひよこによるインチキ念話で会話がしたくないという謎の漢気で、にゃんこのままです。

本人は早くエレンといっぱいお話がしたい今日この頃。

こっそりおうちにレオナルド作の不思議施設が増えました〜_(:3 」∠)_

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