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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
124/150

124、帰省

やや遅刻うぅ_:(´ཀ`」 ∠):


毎度毎度、申し訳ありませんんんn囧rz

 

 帝都の地下洞窟奥深く、青水晶の大精霊の座所である群生地は、地下深い場所にある洞窟ながらも高い天井を覆う夥しい光を帯びた鉱石により、視界は程良い光度と明度を保った状態に保たれている。


 どういう仕組みか気になったグランジエールが強制休眠させる前の青ひよこに尋ねたところ、ある一定の格の高さを保持する精霊や妖精がこの空間にて存在するだけで、空間を満たす魔素の質が上がり天井の特殊な鉱石が反応をして光を蓄えるのだという。


『それは、すんでいるとずっとあかるいまま?』

『あ、影響を与える魔力の持ち主であれば、切り替えは可能なのですピヨ』

「ほう、面白い鉱石だな。少々融通出来るなら、アレンに持ち帰ってやりたいものだ」

『構いませんピヨ!ええと、すぐご用意致しますので、少々お待ち下さいピヨ〜』


 ぽててててっと青ひよこは、本体である青水晶の元へ短い足で走り去った。


 青ひよこが戻って来たら出発するつもりなので、レオナルドはやや離れた場所にて自主練をさせているチェリー姐さんに向かって良く通る声をかけた。


「さぼんなよ〜?週明けにはここに戻るから、オレが直々にチェックするからな?」

「ヒィっ、か、畏まりましたぁ!」


 一体どんな体験とお話をしたら、色素が変化し口調もここまで変わるのだろうと思わなくもないが、義父のにこやかな威圧を感じる整った貌を見て何となく空気を読む。


 もちろん年の功なのか、ギデオンも不用意な発言をここで差し込んでくるような事は無い。


 何れにせよ精霊としての格がまだ青水晶の大精霊とは釣り合いが取れていない事をチェリー姐さん本人が自覚をし、今後義父による特訓メニューによって釣り合えるようになるならばあるいは。


 素材と移動手段と温泉以外にも何か付加価値が生まれるかも知れない。

 例えば、今は数があまり無い外界に顕現する精霊や妖精族が増えるきっかけの一つにもなるかも知れない。


 そんな事を考える自分を薄情だと思わなくも無いが、これからまだ同じような課題で随行者候補は増えるに違いないので、本人に頑張ってもらわねばどうしようもないのだ。


 巡り合わせもあるだろうが、こればかりはどうしようもない。


 良い出逢いがある事を願うばかりである。


 やや離れた青水晶の一つ、一番大きな結晶からぽてててっと軽い小さな足音がこちらに駆けてくる音がして、要望の品物の受け渡しが行われるのを眺めながら、ふと浮かんだ疑問を義父に向ける。


『ちちうえ、ギデオンはこのまますぐおうちに?』


 極端に立ち入る事を制限しているので、そのままギデオンは向かえるのかどうかが少々心配になる。

 確かカーターに関しては魔導具を鍵としていたと記憶している為、初めて空間魔法(おうち)に向かえるにあたり何かしら必要な証のようなものを用意しているのかと思ったのだ。


「おう、そうだった。今回はオレが直々に連れてってやるから平気だが、面接後にアレン達と相談して相応しいモノを用意してやる」

『あ、まだめんせつがあった』

「な!すっかり忘れてた」


 義親子二人が忘れていたという面接について、ギデオンからしてみれば結構なプレッシャーなのだが、彼らの微塵も受け入れられない場合を想定していない様子が、どうにも側に居て居心地が悪いらしい。

 ギデオンは微妙な苦笑いを浮かべ、二人を見ている。


「心配すんな、会えば分かるし分かり合える」

「はぁ‥‥」


 レオナルドやグランジエールとの出逢いが既に有り得ないびっくり体験だったギデオンにとって、これ以上が日常となると取れる話の流れが既に心臓に悪い。


 グランジエールは青ひよこを内部に仕舞い眠らせて『隔離』すると、レオナルドを見上げる。


『じゅんびできました』

「おし、じゃあ行くぞ!」


 レオナルドが最後にやや離れた場所で課題に取り組むチェリー姐さんを一瞥し、大鹿の巨体が一瞬震えていたが。

 次の瞬間には、もう他に誰も居なかった。







 * * * * *





 生まれて初めて体験する転位の後、ギデオンは自分を取り囲む環境に息苦しさを覚えた。


 例えるならば空気の濃度が異様に高いと言えば良いのか、呼吸するにもうまく酸素を取り込めないような錯覚を覚える。


『ちちうえ、ギデオンくるしそう』

「あっ悪い悪い!」


 不調を自覚する前にグランジエールが気付いてくれたので、すぐにレオナルドがギデオンの額に長い優美な指を触れさせた。


 それだけで、途端に呼吸がスムーズになりあれ程濃度に馴染めないと思っていた空気に違和感が薄くなる。


「ここはちょっと特殊な場所でな。空間の階層が違うのと、とある魔導師の魔力と血肉がベースになってる」


 軽い調子で話しているが、内容は聞いた事もない常識外の話だった。


「あれだ、大精霊の住処の内側と似たようなもんだって言えば、少しは理解が出来るか?」

「‥‥‥とある魔導師とやらが、大精霊‥‥なわけはないか」

「あ〜、何と言うかまぁ、もう人間辞めてる部分はある」

『まおうさまなとき、あるよね‥‥』

「しっ!」


 話をしながら低木の垣根にある扉を開け、ずんずんと自然の中に佇む大きな邸宅へ向かって行く。


 今丁度邸宅の裏の森の境目側から、側面のテラスのウッドデッキがある方へ歩を進めていると、レオナルドの腕の中にいた仔猫がぴくりとまろい耳を震わせ、飛び降りて勢い良く駆け出した。


「おぉ、お出迎えだ」


 少しまだ距離があるが、グランジエールがテラスに出て来た小さな女の子に元気良く飛び付き、高く済んだ愛らしい笑い声が耳に届く。


 呆然と周囲の美しさと微笑ましい光景を見ながら、ギデオンはポツリと溢す。


「なんだここは‥‥精霊の隠れ里か何かなのか」

「確かに精霊も妖精もここは多い。隠れ里というには、家はここだけだがな」

「??」


 言われて初めて、豊かな自然と整えられた庭園部分やガラスがふんだんに使われた、鳥籠のような造形の立派な温室と、他に建物といえば幼い女の子が出てきた邸宅しか見当たらない。


 気温もマルティエが温暖と言っても、ここは冬枯れた雰囲気などあまり感じられない未だ秋程度の心地良さだ。


 庭に見える草花や森の木々まで、季節関係なく濃い息吹を感じさせているし、よくよく観察すると植生の地域が区分けされているものの入り混じっていておかしいと気付いてしまう。


「本当に、大精霊の住処ってやつなのか?」

「あぁ‥‥ええと、まぁ会ってみれば分かる‥‥かな」


 駆け出してしまったグランジエールをゆっくりとした歩みで追ううちに、テラスに長身の青年が出てくるのが見える。


 その姿を見てギデオンは足を動かすのを忘れ、呆然と立ち尽くした。


「待ってくれ‥‥精霊樹の、聖域の聖木の髪色だと?」


 掠れた声が震えてしまうが、こちらに気付いて歩み寄ってくる青年の持つ『彩』を見て、ギデオンは祖国の何処かに在るという女神の聖域と言われる精霊樹の森の彩を連想する。


「一応まだ人族だぞ?ちゃんと話も通じるし」

「レオナルド、もしかして悪口言ってる?」

「い、いやぁ??」


 有り難くないレオナルドの解説を呆けたように見上げて聞いていたギデオンは、思ったより近くで青年の揶揄するような声を聞いてハッとする。


「ようこそギデオンさん。私はアレンハワード。一応人族です?」

「‥‥‥‥お初にお目にかかる、ドワーフ族のギデオン、と申す」


 目の前までやってきて握手を求める青銀の髪をした美貌の青年が微笑んで、思わず見惚れ一瞬名乗りの言葉が出て来ない。


 そんな初対面の挨拶のすぐ横で、レオナルドはアレンハワードに対する軽口をきっちり聞かれていた事にきゅっと口を噤んで直立不動になっていたが、ギデオンは全く気付いていなかった。






お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


久々のぱっぱです。

そしてギデオンさんと帰省!

次回は面接という名の意気投合?

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