123、強面接
もうダメぽ_:(´ཀ`」 ∠):
ちびっ子の自由研究が終わらないのに夏休みが終わってしまう囧rz
そして毎度の遅刻で申し訳ございませんンンンン!!!
早朝レオナルドが参戦して来てから、怒涛の逆急流降り敢行ツアーは絶叫を伴う血肉湧き踊り(一部の人物に限る)手に汗握る、総じて深く心に残ること必須な時間を約五名で共有する結果となった。
ギデオンでは見つけ切れなかった逆流専用のルートをレオナルドが発見し、嬉々として搭乗している船を突っ込ませたものの、あわやチェリー姐さんが壁に激突かという事態が幾度かあったのだが、直前ギリギリでレオナルドが巧みに水流を操ったり船にそんな機能は無いにも関わらず潜水させたりと、本人が安全安心と豪語していた通り事故は一切起きなかった。
ただ、何度も予測不可能な動きや急旋回や様々な回避方法を容赦なく取り入れてくれた為、グランジエールとレオナルド以外は午前中だというのに既に這々の体である。
再び帝都地下洞窟の青水晶の群生地へ戻った頃には、元気ではない三名中一番の巨体を誇るチェリー姐さんは、ハラハラと涙を流してレオナルドに向かって頭を下げ、何故か小声で何度も赦しを乞うていた。
「先に残留組の面接を行う。ギデオンは最後なので、適当に素材の採集でもして待っていてくれ。では大型新人はこっちへ」
今や恐怖の余り心無しか血色の悪い火の精霊であるチェリー姐さんの大きさでは、敢えてその身を小さくする等考えてこなかったのだろう事が伺える。
そして『龍の背骨』の山脈は、北側であってもほぼ敵らしい敵はおらず、比較的のんびりと温泉ライフを送っていたのと想像に難くない。
今後グランジエールの側に侍るとしても、質量を小型に変じる事すら出来ない様では使い勝手も悪かろうと思われるので、義息子や青ひよこ同様これから課題を与えて修行を積ませるべきだろう。
サリヴァン親娘との対面に関しては、青ひよこは今現在ほぼグランジエールの内部に取り込まれている為、対面時は内部で休眠一択だが、この大型新人の力量は実戦不足のメイヴィスより極僅か上メルヴィンの半分程度。
比較対象が妖精な時点で、精霊としてちょっとイレギュラーではあるが。
精神生命体の体を辛うじて持っているが、ほぼほぼ物質生命体に自ら生体を寄せているチェリー姐さんは、レオナルドにとって実質生きた素材扱いであり、同時に可愛い義息子に確実に火の魔力を定着させる要因とする用途でしかない。
今からその扱いがどうなるか面談の内容次第なのだが、本人の連行時の状況では期待はするべきでは無いかも知れない。
ちょっとだけ青ひよこや青水晶と面白い遣り取りが合った過去を垣間見た事と、温泉への並々ならぬ情熱と、稀少な素材以上に今後価値が生まれるならば良い拾い物だと考えただけなので、修行次第で扱いも変わるだろう。
青水晶の群生地の中央まで歩を進め、トボトボと所在なさげに付き従って来た大鹿にレオナルドは振り返る。
「さて、まずはうちの可愛い義息子に首を垂れた心情から、お聞かせ願おうか?」
艶やかな黒髪の美丈夫の身長はチェリー姐さんの胸元にやや満たない。
だが、不敵で見惚れてしまうような笑みは、大鹿で火の上位精霊であるチェリー姐さんの心を鷲掴みにし魅了する反面、地獄に片足を突っ込んだかのような錯覚を覚えずにはいられないものだった。
* * * * *
レオナルドとの面談を終えたチェリー姐さんは、艶やかだった緋色味の強い茶の毛皮がすっかりと茶が薄くなってしまっていて、腹から胸にかけた薄い色合いだった毛がすっかりと白くなってしまっていた。
そして外見にもう一つ、額に小さな傷が出来ている。
義父に連れられてぐったり萎れて戻って来たチェリー姐さんを迎えたグランジエールは、それらに気付いて花緑青の瞳をパチクリと瞬き、義父を見上げる。
『ちちうえ?どんなおはなしをなさったんですか?』
もしや、本当に圧迫面接だったのだろうか。
そう思えるほど、チェリー姐さんの強面接の前後で激変した姿だったのだ。
本来自分も主となるのだから、面接には立ち会おうと思っていたグランジエールだが、何故か義父に待てを申し付けられギデオンの採集に付き合って『収納』をフル活用していた為、思ったままに疑問を義父にぶつける事になった。
「ああ、まぁ何だ、オレにとっても可愛い義息子に侍る存在だからな。きちんとお話をしたまでよ。後はそいつの覚悟とか可能性とか野望とか、諸々を見極めようとだな」
『やぼう?』
「ひよことか温泉?」
『ああ‥‥』
意外と俗っぽい願望というか報酬の話もしたのかも知れない。
『ひよこにもどういがないと、ボクはみとめませんよ?』
「そんなもん、ずっと先で構わんだろ」
『たしかに』
グランジエールの内側から、小さな悲鳴が聞こえた気がしたが敢えてスルーをして同意を示す。
「お前の想像と同じだと思うが、ギデオンのみ週末の帰省の同行を許す。ひよこは強制休眠状態で内側に無い無いだ。鹿は独自トレーニングを課している」
ちょっとだけあの額に出来ていた傷が気になっていたグランジエールは、小首を傾げて義父の話の続きを促す。
「オレの眷属はそう簡単に増やす訳にはいかないが、お前はこれからも色々手勢を増やさなければならないだろ?使えるなら仕える時間の長さが有利になる仕組みがあれば、やる気も能力も上がる。アレンの実家から最近頼まれてた書籍に、そんな方法が載ってたんでお試ししてみた」
『わぁ‥‥ボクのじゅうしゃでじっけん』
「いやいや、野良で長い年月をかけても自力で進化するには厳しい世の中なんだから、オレ優しいと思うんだけど?」
『‥‥どなたのまりょくをあたえたんです』
「安心しろ?空間魔法の庭の果樹で火の属性値の高い結晶が成ったんだ。メイヴィスに無害判定はきちんと確認を取ってる」
あの次元の高めの空間魔法に込められた魔力をベースにして、緑の女王が監修した希少種の果樹の火の属性の結晶と聞かされ、グランジエールは黙り込む。
確かに目の前の義父の魔力であったり、サリヴァン親娘の魔力が関わっていたらどんな魔改造ならぬ超進化を起こすのか恐ろしくて試す気にはならないけれど、と考えた所で思い出す。
確かあの空間魔法自体が、アレンハワードの血肉や魔力をベースにしていたと。
『ちちうえ‥‥おうちにかかわっているだんかいで、もうダメだとおもいますけど』
「ええ?‥‥‥まぁ、これも一つの篩だと考えたらアリかとオレは思うんだが‥‥」
高密度高濃度で上質な魔素を分不相応な身に宿したとなると、程度の低い相手なら負荷に耐えられずそのうち自我も物質体も崩壊する可能性があるのは確かだ。
それを篩と言われると、飲まざるを得ない。
「何にしても、この週末の帰省の間でへばるようじゃ、お前の従者は務まらん。戻ってきた時の状態の確認をして、やっと従者(仮)って事」
『なるほど‥‥‥』
義父と面接を終えてかなり燃え尽きている様子のチェリー姐さんを遠目に見ながら、グランジエールは楽しみにしていた週末を終えた後がちょっぴり怖くなった。
何となく強キャラなチェリー姐さんが失格になる印象よりも、今より更にパワフルなキャラになっていたらどう接したものかという心配だったりするのだが、温泉への情熱よりも素材のグレードアップがあれば尚良しと考えてしまっている辺り、義理とはいえ思考がかなりレオナルドとすっかり似てしまっていた。
話し合いが一区切りついた所でレオナルドが採集を終えて待っていたギデオンに振り返り、端正な口の端をにやりと持ち上げて見せる。
「さて、そろそろ行こうか」
待ってましたとばかりにぴょんとレオナルドの腕の中に飛び込むグランジエールを見て、慌ててギデオンはレオナルドの元へ近付いた。
お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و
お留守番中:おや?チェリー姐さんの様子が‥‥?
みたいな事になるかどうか。
次回ギデオンさんのお宅訪問(違う




