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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
117/150

117、ファーストコンタクト

じょ、常習犯Σ('◉⌓◉’)

遅刻してごめんなさいぃ_:(´ཀ`」 ∠):


そして今回ちょっと短めです。

 

 二重の意味で怯え切った青ひよこは結局グランジエールとの作戦会議の後、迅速に仕舞われるに至った訳だが、便利な事にグランジエールが飲み込んだ核と絆が確立した恩恵なのか、意思の疎通も外の様子を見る事も全て過不足なく行えた。


 ただ、主従関係が厳しい契約である所以なのか、グランジエールの心一つで外部への影響力は立ち所に無くなるらしい。


 大精霊としてこの箱庭に生まれ出でてから幾百年、決して低くはない矜持を持っていた筈だったが、思い返せば「齧られる」という行為に最初から因縁があったかも知れない。


 若干落ち込んだ気分のまま徒然とそんな事を考えていた青ひよこだったが、因縁と考えた瞬間にハッと気付いて慌ててゆったりとした足取りで目標へ歩むグランジエールに内部から呼びかける。


『若さま!若さまぁ!』

『なに?おおじかのじゃくてんかなにか、おもいだした?』

『寧ろ教えろ下さいお願いしますピヨ!!じゃ、なくて!!!』


 即座に切り返した強めの願望を自らツッコむ忙しさを見せながら、青ひよこは絆を得て核も一体となった自分の『念話』スキルを利用し、大鹿との対話が可能に出来ると訴える。


『そっか!かだいのクリアではないけれど、こんかいのたいわだけならたしかにもんだいないね』

『ですです!いきなりの拳のぶつかり合いも有り寄りの有りですピヨ!でも、敢えて奴同様な問答無用っぷりでねじ伏せて、また更に変な執着を見せられたりしたら‥‥‥』

『ボク、もしかしてかじられる‥‥?』


 くりんとした花緑青の大きな瞳を瞬かせて少しだけ髭を下げたグランジエールだが、そういう親密な触れ合い(スキンシップ)?は最愛とする事だと強く思っているので是非とも避けたい道筋である。


 青ひよこの爺さまと言われる先代の青水晶の大精霊が、どんな姿をしていたのかは知らないし、大鹿についても実際の姿も見た訳でもない。


 なので、どんな趣味嗜好によって二世代に渡る青水晶の大精霊を追い回したのか、現段階では予想がつかない事だらけだ。


 今からの邂逅で、相手からどんな反応が返ってくるのかも分からない。


『若さまが本来土属性の権化である生まれですから、無くはないと思うのですピヨ』

『なにそれ』


 青ひよこと軽口を交わしながらグランジエールはそれでもなるべく前方の小さな湖へと意識を向け、客観的に相手を観察しつつゆっくりと気配を潜め魔力を抑え、山を徐々に降ってゆく。


 国境の山脈を越えると気温は緩やかに本来の北寄りの地方の山腹の温度となる筈が、火の大鹿精霊が逗留する地なだけあって然程寒さは感じない。


 此方が風上になる可能性も考えて自らに『隔離』を使用するのも忘れない。


 青ひよこの鼓動が緊張か苦手意識からなのか、少しずつ早いリズムになるのが伝わり、自然と苦笑いが浮かんでしまったが、距離を詰めて様子見が出来る程大鹿に近付いた頃にはすっかりと朝日が差し始めていた。









 * * * * *





 朝日に照らされた湯煙と浮かび上がる朧げな影の動きがグランジエールの居る場所からは視認出来るが、相手側からはまだ気付かれて居ない様子だった。


 自分の魔力で視力を補うのではなく、薄く大地や周辺に自然に拡がっている魔素を感知して離れた場所の状況を把握していく。


『若さま、こんな感知の方法とか何方(どなた)に師事されたのですピヨ?』

『しじ‥‥はしていない、かな?ちちうえはおしえるというより、みてなれろ、じっせんでつかめ!って』

『おぅふ』


 青ひよこは外に出ている訳でもないのに緊張から現実逃避を始めたのか、思い付きで行動中のグランジエールの魔力操作と周辺の感知する方法に尋ねてみたのだが、思ったよりスパルタでしかもそれで対応出来ているという恐ろしい義親子の様子を垣間見る事になってしまった。


『りろんも、ちゃんとほんよんでるからね?ほんとだよ?』

『そんな教本なんてあるんですピヨね‥‥』

『うん、すごいとしょしつなんだ』

『この辺りでは聞いた事ないですピヨ。まるでアレですね、北の魔道王国の学舎みたいな』

『そうだね、でもまだキミはつれていくきょか、もらっていないからボクのなかでたぶんきょうせいてきにおやすみなさいってなるとおもうよ』

『やっぱり、そうですピヨねぇ〜』


 今週末には一応義父にその辺りの事を確認しようと思っているけれど、まずは目の前の課題からである。

 念話で内部の青ひよこと会話をしつつも、グランジエールは視線を湖からぴたりと動かさず歩んでいく。


 やがてやや太く小節の効いた気持ちよさそうな低い歌声を、丸くなった耳が拾う。


『ねぇ、アレであってる?』

『‥‥‥あってるですピヨ』


 青ひよこからの説明の中に雌雄に関する事柄は無かったが、声の雰囲気は雌にしては低く雄と言っても通りそうな雰囲気に感じる。


 だが、湯煙に浮かぶ影はグランジエールが図書室で見た鹿の図解や絵柄のものとは違い、何というか。

 全体的に大柄で骨太な気がする。


 ()鹿とは、確かに言い得て妙、である。


 少しだけ歩む速度が無意識に落ちるが、此方に気付いていない大鹿は気持ち良さそうな調子で器用に小節を回し一番のサビを独り盛り上げながら、ザバザバと湖から上がって来た。


 そして、歌の最後を気持ちよく歌い上げると立派な角を振り上げて、首を逸らして決めポーズを取った。


『‥‥たべないよボクはぜったい』

『‥‥‥‥』


 密かな決意表明を告げている間に、少し離れた湖岸で派手なクシャミが響いた後。

 大鹿は全身を小刻みに震わせて、身体の水気を振い飛ばした。


 ふと野生って何だろうと考え、そして相手が火の精霊である事を思い出す二人。


 もう一度、派手なクシャミが湖畔に響き渡った直後、大鹿が突如ボッと燃え上がる。


『まって‥‥おふろあがり、ざつすぎない?』

『‥‥‥‥‥』


 先程から青ひよこはグランジエールの内心でのツッコミに何も返せない。


『これはかだいこれはかだいこれはかだい‥‥』

『‥‥‥‥‥‥ファイトなのですピヨ‥‥若さま』


 少々不安はあるにはあるが、グランジエールはきゅっと口を真一文字に引き結び、ファーストコンタクトを図るべく知らず緩めていた歩調を戻す。


 そして相手に気取られぬまま真後ろへ回り込むと、一度すうと深く息を吸ってから青ひよこの『念話』の能力を利用して話しかけた。


『やぁ、こんにちは。キミをしたがえろとかだいをだされて、あいにきたんだ』

「!!!!!」


 突然背後から可愛らしい念話が届いたのだから、警戒するのは当然だろう。

 大鹿は盛大にビクゥッと身体を震わせ、すぐさま凄まじい脚力で跳躍すると距離を取って振り返る。


「は、な、なな‥‥‥んあ"?」


 大鹿は不意打ちの可愛らしい挨拶を寄越した主に、一瞬状況が読めずに僅かに狼狽えたものの、相手がまだ子供の猫科の獣であった事に濁点付きの声が漏れた。


 とても切り替えが早いのだろう。

 漏れた声がグランジエールの耳に届いた直後、見えない程の速さで突進して来たかと思うと太く立派な角を振りかぶって頭突きをしてくる。


 早朝の湯煙烟る静かな湖畔に、鋭く硬質な音が響き渡った。






お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


鹿さんのキャラ決めました。

グランジエールくんの近従、キワモノ臭が‥‥。

採用内定中のギデオンさん、ファイト!!

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