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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
113/150

113、東への出立

遅刻常習犯となってきました_:(´ཀ`」 ∠):

遅くなってしまい、申し訳ありません〜〜〜!!!(/ _ ; )


 

 帰還し再度出発する翌朝迄、レオナルドと今後の動線の確認とアレンハワードへの資料の提出以外、ほぼルーナエレンに抱っこされた状態で英気を養ったグランジエールは、空が白み始めるよりも早朝くに起き出した。


 この屋敷がある場所は空間魔法の中であり、天候や気温等はある程度調節されているものの、時間そのものの経過は外界のそれと同じというちょっとグランジエールには理解出来ない仕様ではある。


 そしてこの場所を創り出したのがアレンハワードとレオナルドの過保護の集大成であると一応解釈する事で納得をしているが、どうしても学び始めた魔術の枠を大きく超えている感は否めないだろう。


 だがレオナルドに至っては力の大部分を封印している状態らしいけれど、その実態は『有翼の黒獅子』と呼ばれる終焉と再生を司る超常の存在であると、図書室の資料で当たりをつけたグランジエールは賢明なので何も言及はしないでこの環境を甘受している。


 この場所に戻って来て見て改めて、外界での一般的な力量とアレンハワードの実力は明らかに何段階か次元が可笑しいのだが、ルーナエレンを護る為の分かりやすい目標とも言えるので改めて気合が入るのも仕方が無かった。


 そんな想いを新たに起き出した訳だが、まだ薄暗い時間帯であり互いの高めの体温が心地良い微睡を誘われるものの、それらの未練を断ち切ってルーナエレンの腕の中から彼女を起こさないようもそもそと抜け出す。


 辛うじて東の空の端のみが白み始める予兆を見せる時間帯、恐らく闇の四刻終わり頃位。

 すぐ横ですやすやと落ち着いた寝息を小さく溢している女の子をじっと見詰める。

 また何事も無ければ、週末の安息日には会えると理解しているけれど、それまでは会えないし触れられない。


 グランジエールは無意識ながら喉をクルクルと鳴らしつつまろくて柔らかな白い頬へ、己の頬を擦り付ける。


 甘やかな香りと魔力にくらりとする。


 柔らかな青銀と柔らかな薄紫がかかった前髪が乱れ、顕になっている可愛らしい額にそっと口を寄せる。


 これくらいならギリギリでお説教とまではならないと判断した親愛の愛情表現を残し、軽い足音だけでベッドから降り立ち部屋を出る。


 二階の共用スペースに出るとコニーが待っていたのか、音もなくルーナエレンの部屋の扉を閉めるとグランジエールを促すように先を歩いて階下に向かった。


 今までは時間が許す限りほぼルーナエレンと一緒に居る事を許されていたのだが、詳しい報告や話はあまりしていない。

 上映会で概ねの経路から取った行動も予測が出来ただろうし、お土産ならぬ提出物という成果物も届けている。


 勿論、昨日の朝からアレンハワードはきちんとグランジエールを労ってくれたし、ルーナエレンと良く似た柔らかな表情で接して褒めてくれた。

 レオナルドに関しては、「後でな」と念話で伝えられてから接触が余り無かったので、この出発の際になるのだろうと予想している。


 そしてコニーの後ろをトテトテと歩きながら、導かれた先に居たレオナルドを見つけたグランジエールは、思わずコニーを追い越して養父に走り寄った。


『ちちうえ』

「おう、おはよう」

『おはようございます!』


 甘えている自覚は余りないものの、グランジエールは無意識ながらレオナルドが当然受け止めてくれると思って飛び付いていた。


 予想通りにひょいと空中キャッチで抱き止めてくれたレオナルドが、朗らかに笑いながら義息子の額から頭に掛けて大きな掌で撫でた。


「さて、出発だ。今週の指針や目標は、送りがてら話そうか」

『わかりました、おねがいします』


 短く言葉を交わした二人は、その場から一瞬で外界へと転移した。







 * * * * * 






 レオナルドが転移した先は青ひよこと別れた場所より僅かながらも先、マルティエの東の果。

 南部は一つの海岸以外は崖と急な山脈が淵になっているが、東の果てもほぼ崖ばかりの丘となっており、視界の先すぐ近くの海には切り立った岩の小島がいくつか点在している。


「ここの景色もエレンの為に撮っておくといい。それと、この丘の下だが洞窟になっている。まぁ、ひよこならどこに繋がっているか知っているんじゃないか?」

『きろくします』

「ああ、それとギデオンを正式に従えたらもう一度ここに来ると良い。きっと面白いぞ?」

『そう、なんですか?』


 小首を傾げて見上げる義息子の言葉にニヤリと端正な口の端を上げる事で返事をしたレオナルドは、腕の中の小さく丸い顔の顎下へ手をやり、優しく撫でる。


『ゴロゴロ‥‥うっ!ちちうえ‥‥ボクねこじゃないです』

「エレンには有効な仔猫ぶってる癖に良く言う〜。後は申し送りとして今週の課題を出すぞ〜?心して聞け〜」


 グランジエールの反応に上機嫌で返しながら、レオナルドは顎下を撫でていた手を仔猫の顔の前で指折りしつつ話し出す。


「まず第一課題。魔力に頼らない筋力強化の継続。第二課題、ひよことギデオンを正式に従える。第三課題‥‥」

『え、こんかいおおくないですか??』

「第一課題は継続だからな、有って無い様なもんだろ?第三課題は、火の精霊を捕まえてこい」

『は?それは‥‥ボクがたんじゅんにひのまじゅつをかくじつにおさめる、ではなく。せいれいもしたがえろ、ということですか?』

「そうだ。山の向こうを少し位越えた辺りかな。そこでひよこに火に纏わる逸話を訊ねてみるといい」

『わかり、ました』


 いやに場所を特定した話なので、レオナルドにも心当たりがあるのだろう。


『それにしても、ぐたいてきなしじなのですね』

「まぁ、期間限定というか一番話がし易い時期だったからな。お前にも良い出逢いはして欲しい親心と言っておこうか」


 一番話がし易い時期というフレーズがやや引っ掛かりを感じるものの、グランジエールは素直に頷いて見せる。


『こんしゅうじゃないと、ですよね?』

「うむ。何ならひよこやギデオンは後回しでも良い」

『せいしきにしたがえなくても、そのであいのばしょはおしえてくれるのですか?』

「多分?渋ったりしらばっくれるなら、オレの名前で脅しても良いんだぜ?実際オレの指示で課題なんだから」


 権力者の言質を取ったので、一先ずグランジエールはこくりと頷いて了承を表す。


 この後は青ひよこを呼び出して早速この下にある洞窟を確認し、ついでに北の山脈のやや国境向こうに火に纏わる逸話を聞いてみようと考える。


「さて、エレンのお見送りを我慢したえらい健気な義息子にパパからのエールだ!」


 ゴソゴソと袂からイヤーカフを取り出した。


 それは繊細な細身の銀色の金属が、小粒の魔石を朝露に見做した花の蕾を抱えた植物のデザインで、三角な猫耳には掛けられない少々細身なものだった。


 だがそのイヤーカフからはルーナエレンの香しい魔力を感じるので、もしかしたら彼女の手で造り出された逸品なのかも知れない。


「エレンからの伝言。『おみみのかたち、きをつけてね』だって」


 ニヤニヤと少々意地の悪い嗤いを浮かべて見守るレオナルドが居るのに、咄嗟に両方の前脚で器用に顔を覆ってしまう。


 自分の姿が、特に耳の形状が気分によって稀に変化してしまうと気付いたのは二週間より少し前。


 特にルーナエレンと触れ合って感情が一定以上昂った際に、無意識に大きめな三角耳から獅子や豹の様な丸みを帯びたものに変じてしまったのだ。


 嬉しくて恥ずかしくてムズムズした拍子に、である。


 自分の中のレオナルドの因子に一因がある可能性は高いけれど、何だかそれすら気恥ずかしく感じて瞬時に元の三角お耳に戻していたつもりだったのに、ルーナエレンに知られていたのか。


 きっと未熟だとか気持ち悪いだとか、そんな負の感情を彼女が抱くとは思えないけれど、何故かグランジエールは果てしなく恥ずかしくなってしまって顔を覆った脚を下ろせないでいる。


「あっはっは!気にしなくても、その変化をきっかけに人化もいけると良いな!」

『グゥ‥‥‥』


 羞恥に悶える義息子を大爆笑であっけらかんとヒントも含めて応援したレオナルドは、綺麗な青の眼に薄らと涙まで浮かべて笑っている。


 確かに無意識ながらも自分の姿を部分的ではあるが変化させられているのだから、コツを掴めば部位を決めて練習し、喉を言葉を話せる形状にしたり、発展させれば人化も現実味が出てくるというものだ。


 ゲラゲラと身体を震わせながら笑っているレオナルドの様子に、徐々に平静を取り戻したグランジエールが咳払いをして注意を引く。


「悪い悪い、それな、エレンが頑張って造ってアレンが改めて限定だけど『収納』を付与したんだ。こっちがサリヴァン家からグランジエールへ、腕輪がグランジエールから家へって感じで使い分ければ良い」

『ワカリマシタ、アリガトウゴザイマス』


 恥ずかしさがまだ治まっていないグランジエールのカタコトな返事に、今度は少し柔らかな笑みを向けられる。


「幾つかの魔石は空白だから、お前の好きなようにアレンジしたら良い。じゃあな、何かあったらすぐオレを呼べよ?何もなければ一週間後、な!」

『はぃ‥‥がんばってきます‥‥』


 未だ若干のダメージを引き摺りながら、グランジエールは義父の腕から飛び出して、自らの脚で地に降り立った。







お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


お触りは鼻チューならぬデコチュー(グランジエール→ルーナエレン)までが限界。

それ以上欲張ると、過保護な保護者'sが準備運動を始めます(え


筆者の考えていたより、レオナルドがグランジエールに激甘なパパになってる気がします。。。

きっと下心でも下心やっぱり下心?


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