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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
110/150

110、帰還とお土産

またもや大遅刻で申し訳ございません_:(´ཀ`」 ∠):


青ひよこの魅惑のぷりけつで、ヒラにご容赦をぉぉ囧rz

 

 珠玉の労りの差し入れを受け取ったその翌日。


 砂漠地帯には特に目に留まる希少動植物や固有種が無かった為、風景の映像だけを少し記録して二人は更に北東へと歩を進めていた。


 マルティエの東の最果てはまだだったが、前回の帰還からそろそろ一週間。

 昨日が闇曜日で本日は安息日に当たる為、報告や休息に一度空間魔法(おうち)に戻る頃合いだろう。


 その際にまずはレオナルドへ、ウィカーエバニの氏族の特徴や彼等に抱いた印象について、極短時間での接触であり直感でしかないが伝えておこうと思った。

 報告の後、内容をアレンハワードに伝えるかどうかは、レオナルドに委ねるべきであろうとも。


 既に砂漠地帯の状態から、『龍の寝所』を外れた地域の自然の状態を興味深く確認し、魔素豊かと言われるマルティエ内でも恩寵のやや薄い場所から、東の端まで辿り着くと所謂龍の尻尾の先端に近付くとそれらの差異が殊更感じられた。


『若さま、このあたりの風景も残しておくのですピヨ?』

『うん、こりゅうのえいきょうがボクらのいどうそくどだからこそ、こんなにわかりやすいって、みたらきっとたのしいしきょうみぶかいとおもうんだ』


 昨日の青ひよこにとって一方的に凍えた空気を湛えていたグランジエールだが、今はすっかりその様子を引っ込めて花緑青の瞳を楽しげに輝かせながら記録の魔導具を『収納』に仕舞う。


 そして周囲に人影が無い事を確認し、少しだけ身繕いをしてから顔を上げ、髭をピンと風にそよがせ虚空に向けて呼びかけた。


『ちちうえ』


 呼びかけた先のレオナルドは瞬きひとつも間を開けず、相変わらずの尊大な表情に僅かばかりの柔らかさを滲ませながら、横柄な態度で突如目の前に姿を顕した。


「パパのお迎えが来たぞー!今から帰宅って事で大丈夫かぁ?忘れ物は?」

『わすれものはないはずです。あの、きのうのおかしのおれいって、なにかあったほうがいいですか?』

「んん?エレン謹製の癒しスイーツ?美味しかっただろ??お礼は‥‥そうだなぁ。美味しかったのが本人に伝わって、癒された元気な姿がエレンに分かれば大丈夫じゃないか?」

『‥‥‥じゃあ、あざとぜめコースのほっぺすりすり、きょかおりますか?』

「攻めるねぇ‥‥アレンにはオレから出来る限りの執り成しをお願いしてやろう!当たって砕けろ!」

『え‥‥くだけますか?』

「分からん!ひよこ!お前まだ出入り許可降りてないから、自宅待機な」

『うぅ‥‥畏まりピヨぉ』


 青ひよこのお留守番と到達地点の記録を残し、レオナルドはまず青ひよこの拠点である帝都の地下深くの青水晶の洞穴へひよこを跳ばす。

 そしてその自らの動きに微塵の疑いもない様子で、すぐさまグランジエールを抱き上げると空間魔法(おうち)へと転移する。


 まだグランジエール個人には自力でアレンハワードの空間魔法へ踏み入るだけの力量が無い為、帰省の度にこうやってレオナルドを喚び出している。

 本来ならばそんなお遣いなど頼める気安い存在では無いのだが、義理の親子関係というのがそれだけ近しい関係であり、それ以上にレオナルド自身がそれを許しているという証明でもあった。


 しっかりと義父の腕に抱かれたまま、軽い空間の揺らぎを肌で感じた後。


 緑豊かなマルティエの森よりも遥かに清浄で柔らかな自然の花々の香りが、グランジエールの少し湿った鼻先を掠めた。






 * * * * *






 グランジエールの帰宅についてはアレンハワードがすぐ様把握するものの、義理とはいえ父親の役目として即座の報告をレオナルドが聞き取りをする取り決めになっている。


 コニーは状況によっては同席するが繋がりがあるので、カーターが席を顔を出せない場合のみであり、反対にカーターには進んで報告に参加をしてもらう事になっていた。


 レオナルドが帰還してすぐには邸内には入らず、『収納』に直近で収めた品物の検品や報告を一先ずメイヴィスの管理している庭先へ持ち込んだ。


 植生については彼女が専門家なので分析や処置の有無を選別している間、カーターとレオナルドが記録の魔導具の検閲と補足を入れ、その結果が漸くアレンハワードとルーナエレンの目に届く。


 今回の北の国境付近の山麓に至る少し前と、内部の遺跡にてレオナルドを頼る直前までの報告をし、更に別れた後から今日までの流れやそれぞれのエルフの様子や暮らし振りを、グランジエール自身の意見も交えながら話していく。


「‥‥‥ふぅん?現在の執政は、一度きちんとした躾をし直す必要があるようだなぁ。聞いた限りは別氏族へ役職の交代は難しいようだし」

『そうですね、ウィカーエバニはなんともおおらかでしたから』

「おおらか‥‥。カーターさんは、面識は?」


 今は邸内で細々とした仕事を熟しているコニーの代わりに、カーターが近場の東屋へお茶の用意をしていたところでそう声が掛かり、カーターは静かに素早くお茶の用意を終えてから顔を上げた。


「わたくしめがお目に掛かった事があるのは、帝都のロートリンデンの方々でございます。ウィカーエバニの方々は、お話や資料などの僅かばかり聞き齧った程度の知識のみにございます」

「資料、ここにもあるか、後でこにたんに確認してみるか」

「左様でございますね。ただ、わたくしめの印象で恐縮ですが、アレンハワード様の心情としての括りが彼の南の氏族に対しては、当て嵌まらない気が致します」


 忌憚ないカーターの予測と意見に、ガシガシと頭を掻いてから徐に溜息を吐いたレオナルドは唸るように答える。


「だよなぁ‥‥‥でもアレンのエルフに対する苦手意識というかトラウマは、単語すら出すのが難しいし。話すタイミングは、ちょっとオレの方で考えるわ」

『そうですか‥‥‥。あ、おみやげはどうでしたか?』

「ん?あの籐椅子とか、光沢のある深い色合いの木工品か?」

『はい、おなじくにでありながら、かなりおもむきがことなっていて』

「ちょっとあの系統で一部屋揃えてみるのも、良いかもなぁ。てか、オレの部屋の椅子をあれで揃えて、小物もウィカーエバニの木工品で幾つか設えよっかな。コニー!」


 そこまでやや独り言めいた呟きから、レオナルドは勢いでコニーを喚ぶ。


 召し出されたコニーは音もなくふわりとレオナルドのすぐ横に顕れると、可愛らしく首を傾げた。


「これと、これ!メイヴィスと協力して大至急量産体制な!木工品については、そうだなぁ。小さい物から、卓上の小物入れだとかから始めてくれ。椅子もこれ、解析して取り急ぎ一人掛け二組、スツール、長椅子二組で。出来たらオレの個室に運んでおいて」


 レオナルドの注文に一つ一つ、クリクリとした紅いお目目を瞬かせてから頷くと、見本の木工品だけを手に取ってポテポテと徒歩で邸内に戻って行く。


 ある意味自分が司る『黒』を帯びた美しい木材に、グランジエールや青ひよこが思っていた以上の価値をレオナルドは持ったのかも知れない。


『ちちうえ、そのもくざいですが、じゅうこうなそざいでじゅもくもせいいくにじかんがかかるそうですよ?』

「そうなのか?まぁここでは育成時間や環境は、緑の女王が居るからな。問題ないだろう?」

『ええ、そうですね。ただそとではきしょうかちがあるようで、ウィカーエバニのしゅうらくのそとでは、まだめにしてません。ぞくちょうのすまいのみで、ゆずってもらったのです』

「へぇ〜、いいな!益々オレにピッタリじゃないか。良し!アレンに自慢してくるわ!報告はここまでにして、エレンのところに行ってきていいぞ」

『はいっ!ありがとうございます!』


 前回、ルーナエレンは帰還時に持ち帰った記録の魔導具から得られた外の世界の様子を、とても喜んでくれていた。

 きっと今回も楽しみに待っていてくれていると思うと、グランジエールの長い尻尾は無意識のうちにゆらゆらとご機嫌に立ち上がって揺らめいてしまう。


『では、ちちうえいってきます!』


 幼く弾んだ念話の声と駆け出してあっという間に邸内に突進していく仔猫の後ろ姿を、カーターとレオナルドは優しい眼差しで見送った。





お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


執筆をiPad Proの第3世代でやっているのですが、本日第6世代に急遽世代交代を致しました。

データ引き継ぎに手間取り、こんな時間になってしまいましたすみません!


次回は、ちびっ子たちのほっこりが書けると嬉しいです_(:3 」∠)_

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