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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
108/150

108、『収納』の課題

最近遅刻魔ですごめんなさいイィ_:(´ཀ`」 ∠):

 

 元より、無人のヴァインウィステリアのものらしき集落が山中にて発見されたという伝達の為だけの別行動であり、ギデオン達が暫定で主と仰ぐ事となった仔猫?と別れた時の雰囲気として、再会するには半月以上時間が掛かるという心算だったかも知れない。


 だがグランジエールも青ひよこもドワーフ達が考えにも及ばない程、格の高い龍種の始祖と大精霊。ロートリンデンが居を構える帝都もウィカーエバニの国のほぼ南端に位置する集落にも、実質一国の北西部と南という物理的距離をものともせず、同日の内に両氏族へと伝達を終えていた。


 地脈を利用した移動を使用せずグランジエールが本気で陸地を走ったとしても、両氏族の拠点を辿って再び北の国境中腹の遺跡に戻るには数日程度だったと当人には想像が付くが、それでもやはりギデオン達ドワーフが考えてているであろう帰還の期間とは雲泥の差があるだろうと、冷静に青ひよこが忠言をする。


 そこで当初からの予定でもあった、マルティエ限定でしかも権力と実力が伴わなければ手に出来ないタイプのアイテムの収集や貢物を回収すべく、グランジエールはレオナルドに相談をして何か収納に近い術を自前で習得もしくは模倣するという課題に取り掛かろうかと話し合う。


 まだ物質体(マテリアルボディ)の定着が完璧でないグランジエールは、あまり現状の姿を弄らないよう養父であるレオナルドに言われているので、不本意ながら獣型ではあるが映像記憶の魔導具である小型のイヤーカフスと浄化の腕輪以外は特に身に着けていない。


 物の出し入れをする場合、仔猫がそんな行動を取る事自体がまぁ不可思議ではあるのだが、それによって他者がこちらに向けて来るであろう様々な思惑の籠った視線など、気にする必要もそれに遠慮する必要もない。

 今後ルーナエレンが外の世界に晒された時集めるであろうあらゆる注目が、今の自分によって少しでも逸らせる為の下地になるのだと考えれば、寧ろ世間に対しての配慮はグランジエールには要らない。


 彼が持って産まれた剥き出しの性質も技量も質量も、ただそれだけで加減をしなければ大抵は『壊して』しまえるだけのものを既に持っている。だが、壊してしまったらきっと喜んで貰えない事くらい容易に想像出来るから、事前に自分なりに調整を覚えて、もっと側で寄り添える様になりたい。


 その為の外遊であり、下見であり、修行。


 それら諸々の事情を引っくるめた上で、今青ひよことグランジエールはウィカーエバニの集落から然程離れていない南部の森で、適当な品質の高い素材を少し集めてから課題に取り組む時間を持つ事にした。


 レオナルドから課されていた課題は『収納』の解析再現若くは模倣。

 その上で「マルティエ固有種の希少な素材や植生の収集をしておうちへ送れ」なのだが、現在グランジエールが気負いなく自由に使える空間属性はほぼ『隔離』のみ。


 軽々とアレンハワードやレオナルドが使っている空間の拡張は、高度過ぎて理解も魔力も足りない現状なのだが、有難い事にレオナルドの義息子として深い絆を得られた為、魔導ポシェットこにたんともかなり強い親和性がある。

 その絆からコニーを辿ってヒントなり模倣なりを試すのは許可が降りているので、まずはコニーのポケットの情報を参照して見たが、青ひよこには理解不可能と言われてしまった。


『若さま‥‥手に負えないですピヨ‥‥お馬鹿さんなひよこで、申し訳ないのですピヨぉぉ』

『ええ、あきらめるのはやくない?じゃあ‥‥たとえばココとか。じょうげにだんずつのたなを『かくり』して。そのひきだしに、さらにそれぞれ‥‥ココの『あっしゅく』かな?それかさきに『じょうたいほぞん』?いや、『じょうたいほぞん』はだしいれのときには、もう‥‥』


 共有したコニーのポケットに詰め込まれた魔術式の数々を少しずつ読み解き、なるべく単純な一先ずのオリジナル『収納』を考える。


 まだ何もない空間だけでそんな高等魔術をホイホイ使えない為、浄化の腕輪の裏側に浄化の魔術に干渉しない場所を見つけて試す事にした。


『そうだ!せいれいやようせいもだけど、じぶんのりょういきからなにかをだしいれするよね?』

『ピヨ?そうですピヨ、高位で魔力量もあって、魔力操作も熟練である事が条件なのですピヨ。物質を自分の魔力で変質させて自分の領域に適した状態にしてから、持ち込むのですピヨ』

『へぇ、へんしつ‥‥ちょっとみせてくれないかな?』

『了解ですピヨ!』


 目の前で青ひよこが足元に置いていたウィカーエバニから預かった献上品の黒檀の小箱にてちりと小さな翼を触れさせ、そのままグランジエールがお座りしている反対側へと翼をスライドさせる。


 魔力の揺れを微かに、でもしっかりと目視している間に、青ひよこの無意識で使用された領域への変換した物質の移動の実演が行われ、それを為した術式をグランジエールは記憶に刻み込む。


 そうして幾つか拾い上げた魔術式を、可愛らしく首を傾げながら少しずつ試して行く。


 結果、変質から保護、隔離空間の設定からそこへの変質物質の移動の扉、状態保存と隔離空間の固定までを何とかして一つの魔術式に見えるよう組み合わせ、力技で腕輪の裏側に焼き付けた。


『ふおぉぉぉ‥‥若さま、乱暴ですピヨぉ‥‥素材の強度と腕輪自体の保護魔術が無かったら、コレ鉄屑になってたですピヨ!』

『でも、ちゃんといちおうかききれたし。ギリギリ、じゅつしきのつなぎめ‥‥とぎれなかったんだから、せいこうでしょ?』


 グランジエールが腕輪に魔術式を一発本番で焼き付けている時、浄化を担当する魔石に宿った小さな水の精霊が、膨大な魔力と大雑把に繋げられた複数の魔術式がどんどんと自分に迫って来たと感じたらしく、身を固くして縮こまって震えていた。

 その気配がびしびしと青ひよこには伝わってしまっていたので、心無しか青いふわもこ羽毛がペシャっと萎びて見える。


『せいこうはせいこうだよ?でも、もっとこんごもかいりょうしたりじっけんしなくちゃいけないね』

『はぁ‥‥‥寿命が五百年は縮まった気がしますピヨ。でも、成功おめでとうございますなのですピヨ!改良も、今後いろいろ試すの楽しみですピヨ』

『はは、おおげさだなぁ。そうだね!まだまだがんばるよ』


『収納』というには少々拙い出来かも知れないが、グランジエールが自力で魔術式を多重ではなく並列で無理矢理繋げ、力技と言える魔力量で綴り切った浄化の腕輪。試しに何度か手元にある物を出し入れしていると、ふと前脚に二つ折りにされた紙が触れた。


 不思議そうにそれを取り出して開いてみる。



 ====================


 一応『収納』の自力での構築、おめでとう。

 やるじゃないか!

 パパが課題達成のご褒美とアドバイスをやろう。


 『収納』の使用に慣れてから、魔力を日々腕輪に込めれば後からでも容量を少しずつ増やせるのでオススメだ!

 くれぐれも慣れてから、だぞ?分かったな?


 それから術式というのは構築した当人の癖が出易いので、一緒に入れた教本を参考にするように。

 アレンの家の本だから、汚したり無くしたりは厳禁だ!

 ついでにエレンのお下がりだ。

 舐めたり齧ったりも厳禁だぞ?


 容量が少ない間は、繋がってるパパが都度受け取りをしておくし、稀におやつを入れといてやる。

 預ける先が決まっている荷物の場合は『収納』に入れる際に宛先を念じておけ。対応してやろう。


 では、ギデオンとも相談しながらお前だけの面白い魔導具や魔術を構築したり、見聞を拡めたり、エレンへの貢物(笑)を収集したり絶景を記録したり、楽しんで修行してこい!


 定期連絡での帰還を、皆で楽しみにしているぞ。



 偉大なるパパより



 =====================


 手紙を読み終えると、ふわりと風に綿毛が持ち上げられるようにそれが舞い上がり、紙の端からサラサラと粉雪のように解けて行く。


 雪とは縁遠い温暖な地で見た粉雪の美しさに見惚れているうちに、それはそのままグランジエールの前脚に嵌った浄化の腕輪改めプラス収納の表面に付着し、一呼吸する前に染み込むように馴染んで消えてしまった。


 最近義息子に対して若干親バカが混じりつつあるレオナルドが、手紙の粉雪を通して嬉々として隠し機能を腕輪に追加したのだが、その詳細を青ひよことグランジエールが気付くのはもう少し後の事。



お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


筆が(指が)進まない恐怖!!!

生暖かく見守って頂けると幸いです囧rz

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