107、お遣い行脚 其の2
息子どもの嘔吐下痢(風邪)最後に頂きましたぁ_:(´ཀ`」 ∠):
なんでこう、子供経由の風邪って、凶悪になってるんでしょうね。。。。。
夜中2時間置きでトイレに駆け込む辛さよ。
でも何とか当日中に更新出来ました!大遅刻、申し訳ありませんんんん囧rz
グランジエールと青ひよこの二度目の訪は、ウィカーエバニの集落に住むエルフ達に既に察知されていたらしい。
早々に中央の広場に大勢が出迎えに集まり、どの顔も歓迎の意を表現していた。
ただ、この裏のなさそうな歓迎の雰囲気は、外の世界初心者のグランジエールにはどんな状況なのか今一把握出来ないし、同行している青ひよこに至っては大精霊にしてはまだまだ年若い上引き篭もり気質だった事もあり、彼らの真意は理解し切れていない。
漠然とだが、この氏族はアレンハワードが苦手とする『エルフ』とは根本的に違うのではないかと感じたけれど、それを自分達が勝手に判断して密に接するのは早計だろう。
通達というお遣いついでに少しだけウィカーエバニ氏族だけではなく、一度エルフの三氏族について出来る範囲で分析をしようとグランジエールは考える。
確認をした上で実質この土地の支配を自分が敷かなかったとしても、「彼らの性質を知らなかった」では後々グランジエールの根幹を為す、大切なあの女の子に欠片でも憂いをもたらすかも知れないのだから。
それらの思考を一瞬きの間に巡らせ、威厳と愛らしさを両立させながらしっかりとした足取りで広場へ向かう。
青ひよこにもグランジエールの纏った雰囲気と敢えて滲ませた魔力の密度に感じるものがあったのか、ゆったりと広場の歓迎の輪に入り顎をしっかりと上げて姿勢良く座った主のまろい頭上にふわりと浮き上がり、観衆を睥睨する位置で停まった。
『其方らの歓迎、受け取ろう。再び若さまと我が訪った理由、其方らから前回奏上があった藤の蔓と関係しておる可能性がある話である。氏族長よ、場所を用意せよ』
滞空している上に、いつもの青ひよことは似ても似つかない、お仕事モードの上司バージョンらしい。
驚くと同時に、グランジエールには口調がどうしてもむず痒く感じてしまう。
『語尾がピヨではないのは無理をして偉そうにしているのか、それとも普段があざとさ全開の演技なのか?』だとか『ひよこの姿でも実は飛べたんだ』等と、念話でツッコミを入れるのは敢えてしないでおく。
本来ならば自分がきちんと話をしなければならない立場なところを、会話が不可能な為代理を務めてくれているのだから、今は青ひよこを尊重してやらねばならないのだ。
なのでなるべくグランジエールは滲んでしまう愛嬌を引っ込め、代わりに濃い魔力を身体の内部で練りながらお澄まし顔で氏族長が案内する後を、滞空したまま続く青ひよこの小さな後ろ姿を見ながら後に続いて歩を進める。
その分レオナルドが今この場に居ればきっと、青ひよこを見つめる花緑青の瞳が若干生温い事と、滞空している青ひよこの残像すら残さない根性の高速バタ足どちらにも、盛大に忍べていない笑いを溢した事だろう。
* * * * *
氏族長の屋敷のしっかりした黒い家具が多数配置された応接室に招き入れられ、グランジエールと青ひよこの前のローテーブルには人よりもやや小さめサイズのカップに、やや花の匂いがする爽やかなお茶が出されていた。
籐椅子の座面にしっかりクッションを敷きつめ、そこに二匹横並びで座ってもてなされる姿は絵面だけならとても幻想的で微笑ましい光景である。
給仕をする使用人が丁寧な礼をして退室してから、氏族長に向かって青ひよこが通常よりやや低い声で話の口火を切った。
『前回の訪問時、其方らウィカーエバニから音信が無いと心配の声を聞いていたヴァインウィステリアについてだ。先日此処に座す若さまと、北の『背骨』の山中にて無人のまま状態保存となった、それらしき集落を幾つか発見した故、その話を伝えに来た。少し見た限りではあるが、何の生体反応も無かった事も併せて述べておこう』
「なんと‥‥誰一人、にございますか‥‥」
『左様。周囲の森も枯れあまり命の気配は無かったが、唯一集落を囲む木々は藤が組み付いて咲いておった』
『龍の背骨』の山中といえば、普通の同程度の山の標高や温度といった環境とは違って、比較的豊かな緑に恵まれた環境の筈である。
にも関わらず、木々が枯れて生き物もあまり周囲に居なかったと告げられ、氏族長は困惑の彩をその目に浮かべてしまう。
「‥‥集落を囲む藤が見られるのであれば、やはりそれはヴァインウィステリアの集落でございましょう。ですが、状態保存の魔術など、ましてや周囲の森も恵みも枯れるなど‥‥我らは、聞いたこともございません」
『それは、其方ら氏族では扱えず彼の氏族なら得意とする何か‥‥という訳ではあるまい?』
ヴァインウィステリアの氏族については外見的特徴も特性も、ロートリンデンの氏族から吹聴された若干悪意に塗れたものしか知らないのだが、青水晶の大精霊としてはあまりエルフの氏族たちと交流も魔力的な遣り取りも、先代の爺様の頃からほぼ無かった為、結局あまり詳しくない。
無知の恥はこの際横に置いておいて、青ひよこは困惑しきりの氏族長へ思い切って尋ねてみたのだが、訊かれた氏族長は少し俯いて考え込んでから、ゆっくりと顔を上げた。
「然程交流が深かった訳ではございません。ただ、認識としては我らがエルフの氏族の内では一番高温の環境を好み、エボニーが育つようにゆっくりと時間をかける事を好み、他の氏族より樹木と土の属性の比率がほぼ等しく共に強いという特徴がございます。我らが樹木を育む魔術を使ったとて、他の生き物を枯らすようなものは持ちませんし、好みません」
『そのようだな』
青ひよこの相槌を受けてから、氏族長は考えを纏めようと少し虚空を見つめ、躊躇いがちに再び語り始める。
「我らエルフの三氏族の名の由来、それぞれがとても縁が深いそれぞれ母なる木でございますが‥‥我が氏族以外、その母なる木と離れて集落を構える傾向が歴史の中で何度か見られました。現在の、ロートリンデンもそう言われておりますが、青水晶の大精霊様の御許に身を寄せている為か比較的出生率も安定していると聞き及んでおります」
『我は別に彼奴らを庇護などしておらんが‥‥』
「そうなのですか。まぁ彼らの瞳の色がまだ薄黄色であれば、ロートリンデンと名乗る資格はまだ続いているのでしょう」
青ひよことウィカーエバニの氏族長の会話を聞きながら、グランジエールは地中深くでまだ恵まれた環境で感じていた様々な地上の種族の興りや感情を思い出す。
余りにも古い記憶過ぎてすっかり忘れてしまっていたが、確かエルフの氏族は確かに彼が「母なる木」と言ったように関する名の樹木の精霊からその花へと受肉し、半妖精族として誕生していた筈だ。
今目の前にいるウィカーエバニの氏族長は、半妖精族というにはかなり魔素の影響が薄まってしまっているが、それでも先日あっさり伝達と面会を終わらせたロートリンデンの氏族の者達より、まだ由緒正しいエルフと言える存在感なのでは無いかと思われた。
ただ、悪い意味で此方の氏族の方が世俗に汚れていないので、脅して動かせる間は摂政業務はアチラに任せようと心に決める。
そんな事をグランジエールが考えている間にも、青ひよこと氏族長の会話は続いていて。
次は彼らウィカーエバニから見たヴァインウィステリアの印象や特徴が、なるべく客観的に語られていたので耳を傾けた。
「ヴァインウィステリアの氏族は、そうですね‥‥社交的で、優しい気質で、そうですね‥‥私が知る者も、一途な者が多かったと記憶してございます。ただ、とても思い込みも強い部分があったので、先程の集落の状況をお伺いしてやはり何かがあったのではと、本当に気掛かりにございます」
『そうだな、まだ詳細は調べられておらんが、可能であればもう少し確認してみよう』
「此処まで直接お越し頂いてお知らせ頂いただけでも、大変なご温情でございますのに」
『あまり期待せず、待っておれ。ではな』
「はっ!お知らせ頂きました事、誠に有難うございました!」
氏族長と青ひよこの会話がそうやって終えられた頃には、グランジエールの中でウィカーエバニの氏族だけエルフとして好印象が残っていたのだが、それは直感ばかりという訳では無くなっていた。
お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و
ロートリンデン:菩提樹の根。薄黄色のお目目。性質は頑固とも情熱的とも。家族主義な部分が強い。
ヴァインウィステリア:藤の蔓。薄紫のお目目。性質は上記本編の通り。ヤンデレ気質?
ウィカーエバニ:黒壇の小枝。白銀に近い灰色のお目目。ややのんびり、気が長い。割とピュアで力持ちで実直。外見ダークエルフ的なイメージ?
エルフ三氏族の設定は、大まかにはこんな感じでございます。




