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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
106/150

106、お遣い行脚 其の1

またまた遅刻で申し訳ありません_:(´ཀ`」 ∠):

サブタイトル、苦手ぇorz

 

 あれだけ気負ったのにも関わらず、ギデオンへの同行要請はエルフ達への通達から戻ってからという話だった。

 確かに態々ギデオンが先方に出向く事で、先程レオナルドと仔猫直々に『赦す』とされた件をややこしくする必要は無い。


 それに彼らエルフはドワーフ族が作り出す創作物には美しさや価値を見出すが、ドワーフ本人に対しては種族的な外見の相違であるにも関わらず、明らかに軽視している様子が常に滲み出ていた。


 かつてギデオンにも実体験として、エルフからそんな視線を受けた覚えがある。


「まぁ、コイツが成長した先はお前ら次第だが‥‥修行中に関して、ゾロゾロ引き連れる道行にはしない。同行はお前(ギデオン)だけだ。通達が終わるのもそう時間はかからないだろうし、それまでに色々身内で話し合っておけよ?」

「そう、だな‥‥承知した。元より儂が居なくても、技術も腕っぷしも一定以上持ち合わせた奴らばかりだ。留守にする話と、儂等の咎に対する、尊いお方の温情‥‥きっちりと言い聞かせておこう」

「おぉ、頼んだ。お前とは長い付き合いになる事を、オレも楽しみにしてるぜ?」

「‥‥‥ああ、重々‥‥肝に銘じるとしよう」


 真剣な、覚悟を決めた漢の顔をしたギデオンを見つつ、レオナルドはつい足元の義息子に念話を送る。


『生真面目なヤツ‥‥ちょっと悲壮な雰囲気も混じってて笑える』

『あっというまに、みなさんでわるふざけしてそう』

『賑やかになるだろうな!あいつ絶対後で、この覚悟した自分を恥ずかしくなるぞ?しっかり見とけ?』

『‥‥‥きりとりとほぞん、するべき?』

『誰得?一応、機密側の魔導具にしとけよ?』


 そんな会話を密かに交わしつつ、ギデオンに不審がられない程度の時間差でレオナルドが一度咳払いをする。

 一見治療を受けた他のドワーフ達の動きも表情も、不自然な部分は無さそうなのは確認出来た。


 メイヴィスとレオナルドも、そろそろ撤収すべきタイミングだと判断する。保険としてギデオンの手に余り、尚且つ青ひよこにもグランジエールにも頼れない状況が生まれた場合用に、レオナルドの手持ちの最低ランクの小粒の魔石をギデオンに預ける事にする。


「これは念の為に渡して置く。コイツらでもどうしようもない場合に一度だけ、オレを()び出せる魔石だ。身に付け易い形状に加工するなり、好きにしてくれ」


 一度だけこんな非常識な規格外の塊を召喚出来る魔石と言われたギデオンは、手の震えを懸命に抑えながら両手で件の青く輝く魔石を受け取るが、極小とはいえ掌に伝わる魔力や内部に細かに描かれた魔術式に目眩がした。


「か、かたじけない。必ず、身に付けておく」

「ん。では帰るぞメイヴィス。グランジエール、頑張って(目にもの見せて)こい」


 ギデオンの動体視力では追えなかったが、レオナルドはとても良い笑顔で義息子に向かって右手親指を立てた拳を突き出し、首の高さで一瞬それを動かしていたと、後に青ひよこが震えながら語っていたとかいないとか。







 * * * * *






 遺跡内の拠点でギデオン達ドワーフやレオナルドとメイヴィスと別れたグランジエールは、青ひよこに土属性魔術の高等魔術である『地脈』を辿った移動を見せて貰い、あっという間に帝都へ到着した。


 ただ、ここで現摂政を担うロートリンデンの氏族は権威主義な雰囲気がとても強い事から、幼子設定のグランジエールは若干威圧するように豊かな魔力を纏った状態で大人しく、しかし足元から鋭い視線で相対するエルフ達を睨み、そのまろい頭の上で青水晶の大精霊である青ひよこが前面に出て、今回の調査で国境の山中に点在する無人の集落を見つけたと伝える。


 その上でロートリンデンが最終的にヴァインウィステリアの氏族の所在を明確に認識していた時期を吐かせ、改めて客観的な彼の氏族の特性や特徴、国内での評判や同族(エルフ)内でのそれについて報告を受ける。


 結果、まぁ自氏族の自慢話や対象氏族に対する誹謗中傷が出るわ出るわで、青ひよこもグランジエールも予想通りとは言え気分が悪くなる話ばかりだったので、去り際には非常に不愉快ですと言わんばかりの表情を隠さないまま早々に次へ向かう事にした。


 次の目的地はウィカーエバニの氏族の集落があった、帝国の南部『龍の寝所』の頭部と言われるなだらかな丘陵地帯だが、流石は『龍の寝所』の頭部なだけあり『地脈』とも関係が深く繋がった場所だったので、帝都の時と同じく青ひよこの力で移動を行う。


 ただ今回は使用する魔力はグランジエールが供給し、その魔力を利用しての術の行使となったので帝都を出る前よりも大精霊はツヤツヤした毛艶で心持ち福々した外見になっている気がした。


『‥‥もうすこし、ボクのまりょくあげたら、おにくつくかな?』

『ピィっ!?たたたた食べないで下さいピヨ??まだまだ骨ばっかりですピヨ!!わたしを食べても、土属性の強化には全くならないくらい、若さまお強いですピヨぉ!!!』

『そっか。じゃあやめておこうか』


 全力で縦に首を振るひよこを横目に、グランジエールはモルガン領や帝都よりも、現在地の気温が高い事に気が付いた。

 そして他の『龍の寝所』とされる魔の森よりも緑の密度が低い点についても気付く。


『この辺りの木材はとても密度が高く、重量も質感の独特さもとても人気なのですピヨ』

『そうなんだ。まえもちょっとみただけだからわからないけど、あまりゆたかなかんじがしないね?』


 グランジエールの地中で見てきた長い永い記憶にも、人気のある木材として扱われている樹木に纏わる感情についてはチラリと濁ったものがあったが、その中にエルフの該当する氏族の悪感情は思い当たらない。


『それはこの樹木は成長がとっても遅いからなのですピヨ。我ら精霊や妖精種であれば何とも無い時間の長さでも、地上に住まう獣人や人族からして見ればかなり焦ったいみたいなのですピヨ。まぁ、ウィカーエバニは氏族の特徴としてもややのんびりしているし、美しいには美しいのですが持って生まれた色合いが‥‥』


 すこし躊躇うように言葉を切った青ひよこの言葉に、グランジエールは可愛らしく首を傾げる。


『どういうこと?なにか、ダメなの?』

『ええと、肌がとても浅黒いのですピヨ。そして瞳は逆に白銀に近い淡い灰色で、見慣れないものからすれば少し、ええと、畏怖されるという話なのですピヨ』

『あぁ、たしかにかなりくろいはだだったね。でもいふ?ん?そういえば、くろは‥‥ちちうえの‥‥‥』

『しぃぃぃっ!!!!!』


 面白いくらいに青ひよこがブルブルと震えながらグランジエールの言葉に被せて止めてくるが、初対面の時以降の畏怖の対象であったレオナルドは、存外面倒見も良く楽しい事が好きな、慕わしい存在として現在落ち着いている。


 勿論これは自分がレオナルドの眷属として迎えられ、義理でも息子として絆を得たからこその関係性であると理解している。


 だが、地上にて現在までレオナルドに『黒』を許される存在は皆無だった筈。


 悪意の黒とは美しさがまるで違うのであの呪いや怨嗟は関係ないが、青ひよこが言うウィカーエバニの『黒』に興味を惹かれる。


 もしかしたら、レオナルドが意図しない部分で彼らは関係があるのだろうか?


 一度は対面したが、その時はレオナルドの艶やかで美しい黒髪や毛艶と彼の氏族の肌の色は、結び付かなかった。


 未だに目前で立ち竦んで震えている青ひよこを、グランジエールも立ち止まって眺めつつ考えていたが、取り敢えずそれらの確認は本人(レオナルド)に会った時にしようと考え、ゆっくりと巨木に囲まれた目の前の集落へと脚を向けた。


 後に、ウィカーエバニ氏族の肌の色について、レオナルド本人からは「ただの日焼け」だとあっさりと告げられたのだが、それはまた、別の話。





お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


あるぇ?

あんまり進んでないぃ?

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