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呪われ魔導師と秘密の至宝  作者: 七縁ささみ
二章
101/150

101、内部の異変

遅刻しました_:(´ཀ`」 ∠):申し訳ありませんんん!


そして今回若干短めです。

 


 ギデオンが訥々と語った内容は、以下の通りだった。


 彼はこの『龍の背骨』部分に遺った遺跡内各所にある、未だ解明されていないカラクリや今では継承されていない技術や文字など、調査を代々請け負っていた一門だったという。

 本来好奇心が旺盛なドワーフという種族柄、すっかり調査や再現に没頭し、遺跡内で拠点を作りながら転々と移動し、ついでにマルティエ側の豊かな森の資源も得られる為、故郷からも若干存在を忘れられた逸れドワーフなのだそうだ。


 そしてこの場所は拠点の内の一つであり、過去地上で火の精霊に関連した鷹が巣を掛けたエリアの地下で、工房や暖を取るのにとても適した環境なのだという。

 但し、上記の内容はどれも研究に没頭する余り、自国に報告などもしていないそうだ。


 現地で研究開発および資源の調達が叶うそうなので、国の禄を喰むという概念も忘れているのかも知れない。


「え、不法の入国と滞在って事?出身国と所属は?」

「‥‥出身国はオクリウェートだが所属は‥‥当初儂の放浪癖に都合良く名ばかりのものを賜ったもの」


 まだ本調子ではないのは当然としてもどうにもはっきりとしない言い回しに、レオナルドは僅かに首を傾げてギデオンを始めとする助けられたドワーフ達に視線を巡らせる。


 元より少人数の集落だった印象だがギデオンの他は十名程度、しかもほぼむさ苦しい髭面の如何にもドワーフ然とした成人男性しか居ない気がする。

 集落を形成していた割に、女性や子供がいないのだ。


 その状況に気付いたレオナルドが、改めてギデオンに青い眼を瞬かせながらポツリとこぼす。


「え、お前、何かしら脛に傷持つ身だったりとかする訳‥‥?」

『‥‥‥‥たべるべき?』

『お待ちください!!生食なんてダメですよっ!?』


 思わずといった風に呟かれた内容を一瞬理解出来ず、そして続いたグランジエールの言葉も聞き取れないのに鋭く入ったメイヴィスの慌てたツッコミの声にも、ギデオンは益々混乱する。


「冗談だって。まぁ国境地帯の難しい地域にどうやら長年不法に集落を作って占拠してた、立場持ちのお前とそこに集まった愉快な仲間達ってとこだろ?」

「‥‥‥‥」


 ニヤニヤと嗤う黒髪の美丈夫は腕を組んでそう告げると、俯いて黙り込むギデオンを見る。

 青い瞳は表情とは裏腹に冷ややかで、何処までも相対する者の内側や心の奥底まで見透かしている様な気がしてくる。


 ギデオンは何と答えて良いものかと、必死に脳内で考えを巡らせていたのだが、この返答に沈黙で肯定した形となってしまったのは、致し方ない。


「そうだな、ギデオンといったか。オレと取引、しないか?」


 取引という言葉に反応して顔を上げたギデオンが見た美丈夫の瞳は、今度は如何にも愉しげな彩を讃えていた。







 * * * * *





 せっせと負傷したドワーフ達を治療していくメイヴィスをよそに、今回の状況をギデオン達の視点から聞き取りをしていく。


 遺跡内の洞内で火の精霊の気配がある場所はいくつかあるが、この工房や集落があるエリアは特に扱い易かった為、割に長く使用していたそうだ。

 遺跡の上部というか外側に当たる山脈の山肌は、きちんと比較調査をした事はないがマルティエ側はある程度の樹木が森を形成しており、山頂手前からオクリウェート側に向かっては少し低木と岩場が多くなっている。


 山脈を吹き下ろす北からの風は、火山地帯の多いオクリウェートが大陸の北側にありながら気温が低くなり過ぎない環境にあって、そこまでの乾燥や冷気を伴わないらしい。


『龍の背骨』の山脈自体が比較的温暖な為、鳥の渡りもそれ以上大きな距離を伴わずにマルティエの南部の奥まで渡る必要が出ないのだろう。


 今回のグランジエールがごっくんした鷹の一種と言われる蜂を好んで餌とする火の精霊の恩恵を預かった末裔の鷹も、ギデオンが拠点にしていた遺跡の上部に比較的多く生息していた。


 ただ、ここ最近は通気孔を設けた付近の山肌の木々が広範囲で枯れ始め、巣を何故か通気孔の出入り口付近に構える事が増えたのだとか。


 それから何年か周期で拠点で火の精霊の様子が不安定になった事があったので、拠点は燃えやすい素材を排して作り替えたり、熱の伝導を断つカラクリを組み込んでみたりの改装を施して回ったそうだ。


 今回の異常はそれでも燃え広がった。

 更にそれが通気孔と繋がった拠点であり、自然の火ではなく火属性の魔素の影響が強かったのだろう。


「儂等ドワーフでも、火の属性より土の属性の方が強い者が大半だ。幾らか耐性があったとて、精霊の揺らぎや異常を察知するのは容易くは無い。土地柄としても、火よりも土の方が支配力の強い場所だけに、暴走してしまった魔素を多量に含む火は、制御不可能だったのだ‥‥」

「耐性は持っている?それにしては、お前らの有様は酷いもんだったぞ?」

「偶然かは分からないが、このところ折悪く体調を崩す者が多かったのだ。斯くいう儂も、身体がだるく発疹も出来ておって‥‥魔力を巧く扱えんかった」


 ギデオンが項垂れて語る内容を聞きながら、レオナルドは体調不良故の魔力制御の問題なのかとも考えたが、先程精霊自体も揺らぎがあったという発言も気になった。


「その身体の不調は、よくある事なのか?」

「いや、元来の儂等ドワーフはほぼ病気などとは無縁と言える。まぁ、極々稀に飲み過ぎて潰れる事はあるにはあるが」

「ん?飲んでた訳では無いんだよな?」

「今年の酒は仕込んだばかりだ。皆、旨い酒になるのが分かっているのに、途中で開けたりはしない」


 項垂れていた筈のギデオンが、キリッとして言い切っている。


 仕込んだ酒を開けて飲んだりしないと言われた時点で、在庫はほぼ飲み切ってしまって既に無いのだろうと察せられた。


「ふぅん。取り敢えず持病とか風土病的な雰囲気は無いって事だな」

「ああ、儂以外はもうちっとばかり若い世代だから、益々体調不良等とは無縁のひよっこばかりよ」

「そうか。もうちょっとしたら、上の調査報告が入るだろう。グランジエール、迎えに行ってやってくれ」

『はい、ちちうえ』


 事情聴取をしている間に、集落をちょこまかと走り回っていた筈の青ひよこの姿が無くなっていたらしい。

 グランジエールは気付かない間に地上の調査に出たひよこを迎えに、立ち上がった。







お読み頂き、有難うございます٩( 'ω' )و


あれ?グランジエール君が食いしん坊キャラになってきた???


じゃあ、舎弟は非常食扱いの動物の姿がいいのかしら。。。

火の精霊の扱いをどうしようか、悩み中です_(:3 」∠)_


次回は、外部の異変の予定。

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