表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

頼もしい二人

タイン王子にぶっちゃけてしまったわけだから、もう隠れてコソコソする必要もない。


翌日から早速私は調査に没頭した。


タイン王子は「自分も調査する」「君だけの問題じゃない」なんて食い下がってくるけれど、今のところはうまいこと言って、毎度お引き取り願っている。


だって、困るじゃない。


一緒にいる時間が長くなればなるほど、隠し通すのは難しくなるわ。


私が前世の記憶をそっくりそのまま持っているだなんて、タイン王子に知られたら、きっと彼は罪悪感を持ってしまうだろう。


それはイヤだし、タイン王子を危険な目に合わせるのもまっぴらごめんなの。


こんな強力な呪いをかけることができるほど凄腕の魔女だもの。もしかして300年経った今でも生きてるかもしれないし。


調査の過程で新たな呪いをかけられたなんてことになったら、目も当てられないもの。なんせタイン王子はこの国でたった一人の王子様。絶対に危ない目にあわせたりしない。


私は今日も、自邸の資料室にひきこもる。


今はとにかく情報が欲しい。


呪いを解く本をあれこれ探して、書いてある方法を試したりもしてみたけれど、本に書いてある解呪くらいでなんとかなるようなヤワな呪いじゃないらしい。


だから今は、300年前のあの頃のことをできるだけ調べている。


解呪の本に書いてあったの。オリジナルな呪いは、呪いをかけた本人にしか解けないものが多いって。ただ、その血縁者や一門のものなら、解呪できる可能性があるとも書かれていた。


だからまずは、テールミオン様が依頼した魔女が誰かっていうのを特定するのが喫緊の課題だ。


ただねぇ、当時だって魔女の話題なんてタブーだったのよ。


私はメイドだったから、もしかしたら上流階級のお嬢様たちは闇ルート的ものでそんなブラック情報が流れていたのかもしれないけれど。



「そろそろお茶になさいませんか? 根を詰めすぎですよ」


「デイル」



私の執事、デイルがティーセットを持って現れた。言われて窓から外を眺めてみれば、もうずいぶんと日が傾いている。


確かに夢中になり過ぎたみたいだわ。



「ありがとう、ああなんだか体がバキバキだわ」


「もう、昔っからお嬢様は何か始めると際限がないんですから!」」



首をコキコキと鳴らしていると、苦笑するデイルの後ろから、ぴょこんとイルマが顔を出した。


淡い紫の髪と瞳が特徴的なこの兄妹は、私付きの執事と侍女だ。子供の時から一緒に育って、いまだに幼馴染みたいに仲良くしてくれている。


もちろん、前世の記憶もちの私からみたら、可愛い甥っ子、姪っ子のようにも思えていたのだけれど、今となってはこの二人の協力なくしては呪いの調査だってままならない。


本当に頼もしい二人だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ