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鬼だとしても  作者:
1/7

1.プロローグ


 人は何かに縋らなければ、生きてはいけない。

 

 そんなことは理解っていた。


 でも、だからといって何にでも縋って良いわけでもなくて……。

 

 自分が縋っていたものがあんなものだったなんて……。


 ……知りたくはなかった。



 今朝、大好きな祖母が亡くなった。

 私は深夜になっても、静かに眠る祖母の傍らから離れることが出来なかった。

「元気出せ」

 そう言って、そっと肩に手が置かれた。

「……しゅう……にいちゃん……」

 漸く絞り出した声は、掠れていて酷いものだった。

「いつまでもそんな顔をしていたら、ばあちゃんも悲しむだろう。なっ?」

「……うん」

 私は泣き腫らしてそのままの酷い顔を見られたくなくて、俯いた。

「火の番は俺がするから、今日はもう寝なさい」

 優しく頭を撫でられた私は、ホッと安心したのと同時に少しむず痒くなり、後ろ髪を引かれながらも自室へと行くことにした。

「うん、ありがとう。……お休みなさい」

 


 私は布団に入っても、中々寝付けずにいた。

「はぁ、眠れない。やっぱり火の番変わろう」

 そう呟いて布団から出ると、カーディガンを羽織って、仏間の方へと向かった。

 

 仏間に近づくと、中から嗚咽に混じって変な音が聞こえてきた。

(しゅう)兄ちゃんが泣いている?……あとは何の音だろう?」

 不安になりながらも、そっと襖を開けた。

 開けた瞬間、何とも言えない血の臭いが漂ってきた。

 背を向けていた(しゅう)兄ちゃんの存在を確認して安堵したのは一瞬で、「(しゅう)兄ちゃん。」と声をかけ、振り向いた彼を見た瞬間に私の意識は途切れた――――。











お読み下さり、有難うございます。


完結までお付き合い頂ければ幸いです。

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