チュートリアル、話
運営を待っている間、何故かザインが私のことを片手で持ち上げる。片手だっこと言えばいいのか。……やめて年齢考えて。
いや、誰も見てないけど。
顔を覆おうとした瞬間、目の前にコール画面が出た。若干ビビりつつもタップしてみると掌サイズの妖精が現れた。
『チュートリアル中の仕様です。……っとゴホン。カヤ様、どのようなご用件でしょうか?』
「あっ、ハイ。召喚魔法て召喚したモンスターのステータスがオカシイのですが」
『召喚獣?少々お待ちください』
数分の停止の後、妖精は再び喋り出す。
『カヤ様はステータスをマイナスにされましたよね?』
「はい」
『その上でそのステータスポイントを他のスキル取得に使用せず、全て召喚魔法へとポイントを注ぎ込んだ為に発生した為に初回限定で高個体の召喚獣が召喚されました』
「初回、限定……」
『はい。一応カヤ様には条件を全て開示させていただきますね』
いわく、
・ステータス振り分け開始から30秒以内にステータスをマイナスにする
・ステータスをプラスしない
・召喚師であること
・召喚魔法以外のスキルをとらない
・召喚に使うポイントは100以上
『マイナスにできるのは一度目だけですからね。リセマラしてしまえば次はありません』
「じゃあ、チートとかでは、ないんですね」
『勿論です。ですが、カヤ様が叩かれる可能性もありますので、情報の一部を公式ホームページに開示します』
「よろしくおねがいします」
にこりと笑う妖精にほんわかする。中の人はおっさんかもしれないが……
それに、と言葉を続けた妖精の言った内容に驚く。
『βで召喚師を選択したかたは周知の事実なのですが、召喚獣ははじめから懐いているわけではありません。カヤ様のミノタウロスは見事にミノタウロスの好感度を上げる項目を全て達成しているので、はじめからその有り様です』
「え、と……項目がひとつも合わなかった場合はどうなるんですか?」
『ステータスが高ければ高いほど反抗的になります。……そうですね、カヤ様のミノタウロスを他の方が召喚した場合は、男性プレイヤーでしたら一度目の死に戻りを経験することでしょう』
!?!?!?なにそれ物騒。
「召喚獣の攻撃で死ぬんですか?」
『当ゲームはフレンドリーファイアもプレイヤーキラーも可能となっておりますので、召喚獣の攻撃でも死にます』
更に詳しく聞いてみれば、二度と召喚出来なくなる可能性もあるらしい。うわぁ、ポイントの無駄遣い……
その後、少しの時間話をしてから妖精は帰っていった。