情報屋
ザインに抱えられ、頭にラズをのっけて夜の町を探索する。
あ、そう言えば説明してませんでしたかね。召喚獣はレベルに関係無く、同時に9体まで召喚可能である。5体でなく9体なのは、元々このゲームのパーティー上限が10人だから。この情報、以外とプレイヤーは知らなかったりする。先入観ってコワイネ。
ちらちら向けられる視線に、冷や汗をだらだら流している気分になりつつザイン号の行くまま景色を見る。夜であるからか店がほとんど閉まっているので、看板を見ているだけだが。
「ブモ」
「うん?」
急に裏路地へと入っていくザインにどうしたのかと思ったが行く先にぼんやりとあかりが灯っているのでそこへ連れて行きたいのだろうと予想をつける。
……ほんとなんでザインは道に詳しいんだろうか。実はこの世界の人間の転生体だったりして、なんて。ないか。
「…………情報屋?」
オレンジ色のランタンが入口の横に置いてある古びた家。情報屋の看板がなければ入ろうとも思えないその店にザインは私を抱えたまま入っていく。
「おや?異界人が入ってくるのははじめてだねぇ。いらっしゃい」
目の前には黒いローブの女性。老婆の姿をしているが何故か違和感を感じる。……うーん?まぁ、今はスルーしてもかまわないか。
とりあえず、質問かな。
「こんばんは。情報屋さん。ここはなにをするお店ですか?」
「情報屋の看板内容そのまんまの店さ。情報の売り買いをしてる。さて、嬢ちゃん。情報、売るかい?買うかい?はじめて異界人が手に入れるなら一番安い情報は100、次点が500、その次が5000、最高額が500000だ」
「えーと、値段でなにか違うことって?」
「5000以上は広めれば金額が上がったりするね」
「たとえば?」
「ここでアイテムが売っています、という情報を嬢ちゃんが買ったとしよう、そのアイテムははじめは100だったが情報を掲示板に載せたら次の日100倍に値段がはね上がっていました、かね?」
ようするに5000以上で買った情報はまわりにバラ撒くと金が必要以上にかかると。……レアなドロップアイテムの率も確率変動があるらしい。ナニソレ鬼かよ。
「こんな情報を買いましたっていうのを載せるのは?」
「その程度ならかまわないよ。ま、5000以上は、気になるなら買いに来いってとこかね」
「なるほど……」
少し考えていると情報屋はニヤリと笑って言う。
「そのミノタウロスの情報ならかなり高値で買うよ」
「情報っていうと……」
「初期ステータスと称号だね」
それってレベルアップで変化するから教えても問題ないやつだよね?じゃあ売ってしまおうか。ちら、とザインを見れば頷いた。よし、売る。
ザインのステータスを見せれば情報屋は笑って金を渡してきた。…………ってファッ!?
「こ、れは貰いすぎなのでは!?」
「いやいや、黒星個体はそれだけの価値はあるさ。更に言うならそのミノタウロスは黒星の中でも上位個体だからってのもあるね」
て、手の震えが止まらないよ。うう、PKとかに会ったら怖いから今ここで使っちゃおう。




