プロローグ?
休日出勤のせいで出遅れた。拒否出来ない自分のしゃちく根性よ、とひとりごちる。ついでにその次の日は風邪でダウンという不運っぷり。新作のVRがやりたかったのに、と気落ちしたまま仕事へと向かった。
ウェーブ・オンライン。それが琴田茅琥がやりたかったVRの名前だ。
初期ジョブはシンプルに7つ。剣士、魔法使い、探検者、生産者、召喚師、料理人、遊び人。
初期ジョブに変なのものが混ざっているのもあるが、このVRはどちらかと言えば玄人向けのVRかつ年齢制限が掛かっており、二十歳以上でないと購入出来ない仕様になっている。ついでに付け足すなら、あらかじめ使用者のデータ諸々を販売会社に送らなければならない事になっているので転売も、家族内での共有も不可能である。
ウェーブ・オンラインが玄人向けと言われる理由はなにか?例を上げるなら一つは魔法使いの呪文詠唱。恥ずかしい言葉を言わなければ発動出来ない、と専用板で言われている。
そしてなにより地雷、ゴミ職、ペットを家で飼えない人専用と叩かれている召喚師。召喚するにあたり、必要なのはレベルではなくSP、とどのつまりスキルポイントである。
公式で明らかにされているのは、初期に配布される100ポイントに対し、召喚をとるのに必要なスキルポイントは30である。
しかもそれに追加してステータスも配布の100から、他のスキルも100からとなると雑魚に等しい構成になる。
召喚する時に使うポイントが1や10ではゴミ。かといって残りポイントを全部注ぎ込んだとしてもプレイヤー自身が最弱となるので調整がとても難しい。
ただ、琴田茅琥が選択するつもりなのは召喚師。
彼女が召喚するのは、かなり壊れステータスのモンスターなのだが、それと出会うのはもう少し後の話。