表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/82

天空獣医師について

(天空都市群グングニル・中央島南西地区沿岸部:排水パイプ内)


 俺の怪我が治る?


 まさか。ありえない。


 あのキーロとかいうやつ、かなりのペテン師だ。


 さて、あの苦学生のことは一旦、閑話休題にしよう。


 そして少し『天空獣医師』という職業について説明しよう。


 今後の物語にかなり密接に関わってくることだから、詳細な説明の時間を割いても、差し支えないはずだ。



 『天空獣医師』。略して天獣師。


 簡潔にいえば、アニマ―ガス専門の医療関係者だ。


 アニマ―ガス専門の医者、という表現が、最もピンとくるかもしれない。


 アニマ―ガスは、変身前が人間、変身後が飛行能力のある人間以外の生物になる。


 この双方の形態を視ることができるのが、天空獣医師である。


 つまり、変身前の医者としての技術と知識、変身後の獣医師としての技術と知識、この両方をもった天空都市隋一の医療スペシャリスト。


 更に、高度な天空術を使う患者(この場合はアニマ―ガスのことだ)のために、最上級天空術の知見すら持っている。


 それが、天空獣医師である。


 無論、医者と獣医師、さらには高度な天空術に対する知識をもったこの専門職は、医者や獣医師をはじめとするあらゆる医療関係者よりも、格式高い存在である。



 まあ、当然ではあるだろう。医師免許と獣医師免許、そして最上級天空術の知識と腕まであるのだ。



 そこらへんのエリートとは訳が違う。頂点の中の頂点。理系職のゆるぎないトップである。


 理系職どころか、ワイバーンタイプのアニマ―ガス、高級官僚・政治家と並んで、天空都市ヒエラルキーのトップだろう。



 いわば、皆が上流階級の祖先を持つ天空人の中でも、際立って優秀な存在ということになる。



 この職業は天空世界独自の専門職だが、その数は多くない。



 患者であるアニマ―ガスの数が少ないし、学べる大学の学部学科も、非常に限られている。


 それに、天空獣医師の質を確保するため、天獣師でつくる全天空都市天空獣師協会(※略して天獣会)が、まず学部の新設を認めない。


 そのため、俺のいる天空都市群グングニルでは、中央島にあるグングニル大学にしか、天空獣医師の免許をとれる学部はない。


 その定員は四十名。


 グングニルの総人口は約百万人で、平均寿命は約百歳ほど。


 少子高齢化などの人口問題は、先人たちの偉大な英知により克服され、各年代層に満遍なく人口が分布しているため、毎年大学入試の試験(これをバカロレアという。ローマ好きの天空都市で、何故かフランス語の名称だ。なんでも、初代文部科学大臣がフランス系の移民だったとか)を受けるのは、浪人生などを含めて約一万五千人。


 その中で、上位四十位までに入らなければ、天空獣医師になることはできない。


 四十位以下の成績優良者が、グングニル大学の天空獣医学部同学科に入ったことはない。


 四十位以上になれば、皆、天空獣医学部に入るからだ。


 皆が憧れ、尊敬し、社会の屋台骨を担う存在。


 それが、天空獣医師である。


 こう言う風に説明すると、なんだか俺が手放しで天獣師を褒めているようだが、人の価値なんて職業だけで決まるもんじゃない。


 持っている能力と、それを社会に還元しようとする思い。


 この掛け算によって、人の価値は決まると、俺は思っている。


 天獣師の中にも、出世欲の塊みたいな奴はいるし(俺も人のことは言えないが)、天獣師じゃなくても立派な人物だっている。


 無論、ほとんどの天獣師は、人格的にも優れた先生が多いことは、事実だ。


 特に、俺の怪我を視てくれた天獣会の会長殿なんて、道徳的にも技量的にも抜きん出た存在だった。


 俺はあんまり学がないし、知識人よりは競技人のほうを好きになりやすい。


 それでも、天獣会の現会長殿は立派な人物だといえる。


 彼の名前は、クラウン・サーマルカドラといって、元インペリアルリーグの七帝でもあり、俺がプロになるきっかけを作った選手でもあるのだが……。


 まあ、この話はまた今度にしよう。


 いずれにせよ、天獣師が社会的に大きな影響力を持っていて、かつ難関の試練を潜り抜けなければなることのできない職業だと、分かってくれればうれしい。




 それにしても、あのキーロとかいう薄幸女、天空獣医師志望だとかいってたな。


 たぶん、未来のお医者さんごっことして、俺をからかってるんだろう。


 いくら精密なサーチ技術を持ってたって、天獣会の会長が匙を投げた怪我を直せるはずがない。


 クラウンは、グングニル一の天空獣医師だ。


 その彼が無理といった怪我を、まだ大学にすら入学していない子供が、どうこうできるものか。


 創作話も、ここまでくると馬鹿馬鹿しい。


 笑えてくるね。



 ……閑話休題は、これくらいにしよう。



 物語の続きを、楽しんでくれ。


 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ