【第一回】デンモクらじお【システム①・ワールド】
第6部分『2018年 7月末 アルマゲドン』まで読んだ人向け
「はい、というわけで始まりました!」
「まずはタイトルコールから!」
「ケロちゃんとー」
「シトリーのー」
「「デンモクらじおー!」」
「本作『電脳戦線黙示録~War of The Apocalypse~』が完結してからはや一年……今更ながらに設定の解説のために会話形式でお送りいたします!」
「本当に今更ながらだねぇ……。これって必要?」
「おさらいみたいな形だから! むしろこれを機会に、抜けていた説明部分を埋めるつもりだから!」
「気の遠くなるような話じゃないのさ!?」
「とりあえず、ゲームのシステムから説明しないとだよね。というわけで、今作で舞台となっているMMORPG【War of The Apocalypse】――WoAの設定から!」
「はいはい、それじゃあこれはボクが説明するよぉ」
「作品のあらすじにある通り、WoAは“『天使』と『悪魔』が長を取り合って戦うゲーム”! 毎月末に行われる陣営vs陣営の戦争イベント『アルマゲドン』に勝つことがとりあえずの目標なんだけれども――」
「なんだけれども?」
「このゲーム、キャラクターを作った時点で陣営も、どの天使・悪魔になるかも、全部“勝手に”振り分けられちゃうんだよねぇ」
「あー、だねぇ……。私が始めた時は【エリゴール】だったよ。すぐ【ケルベロス】にしたけど」
「陣営は課金ないし、一定レベルまで上がったときに貰えるアイテムでしか移動できないけど、【グループ】はいつでも変更できるからねぇ。流石に戦闘中とかは無理だけど」
「それに、ゲーム開始直後や月末にあるアルマゲドン後のリセットのタイミング以外だと、それまで溜めていたスコアも全部失っちゃうから注意!」
「天使や悪魔、グループやスコアの関係についてはまた別の機会に話すとして――次はボクたちの活動するエリアについて!」
「天界と地獄界については私から!」
「ケロちゃんこういうのに詳しいもんねぇ」
「WoAは大きく分かれた三つのワールドと、その他こまごまとしたエリアで構成されています! 天使陣営の拠点となる天界と、悪魔陣営の拠点となる地獄界。そして――NPCが生活していて、主に戦いの舞台となる現界!」
「天界に悪魔は入れないし、地獄界に天使は入れないし。必然的にドンパチやらかしちゃうのは間に位置する現界の街々、巻き込まれるNPCにはドンマイとしか言いようがないってハナシ」
「天界も地獄界も作りは同じで、大きな一つのワールドにいくつかのロビーがある感じ。ロビーはプレイヤーたちの出入り口みたいなもので、ランキングの順位によって使える場所が変わってきます! ランキングについてはまた後ほど!」
「ショップだったりオークションだったり、一か所の施設をプレイヤー全員で共有したりとか。景色を楽しむための高台もあるし、一つの街みたいになってるよぉ。地獄界は地下の街って雰囲気だねぇ」
「それぞれのロビーにも名前が付いていて、ちゃんと元ネタがあるんだけど――長くなるけどいい?」
「どんどんいっちゃえばいいんでない? GOGO!」
「先に地獄界の方から説明すると――
第一層≪辺獄≫
第二層≪邪淫地獄≫
第三層≪大食漢地獄≫
第四層≪貪欲乱費地獄≫
第五層≪憤怒地獄≫
第六層≪異端地獄≫
第七層≪暴虐地獄≫
第八層≪悪意地獄≫
第九層≪氷結地獄≫ってなっていて――その中でも更に≪カイーナ≫≪アンテノーラ≫≪トロメア≫≪ジュデッカ≫の四層に分かれてるんだよ! 凄くない!?」
「むしろ詰まらずにすらすら言えるケロちゃんの方が凄くない!?」
「というわけで、1~8、9-1~4という計12層――12個のロビーがあって、階層が深くなるほど、高ランクの人が利用できるわけなのです!」
「ボクらグループ一位でも、よくいって下から二番目の≪トロメア≫までだからねぇ。最下層≪ジュデッカ≫を使いたいなら相当課金しないと。ま、メリットなんて殆どないんだけど」
「どのロビーもできることは変わらないしね。そして天界の方も似たような感じでロビーが用意されてます! いくよー!」
「まさか天界もいけちゃう感じっ!?」
「第一天 ≪月天≫
第二天 ≪水星天≫
第三天 ≪金星天≫
第四天 ≪太陽天≫
第五天 ≪火星天≫
第六天 ≪木星天≫
第七天 ≪土星天≫
第八天 ≪恒星天≫
第九天 ≪原動天≫
第十天 ≪至高天≫! さぁどうだ! 褒め称えなさい! 崇めなさい!」
「うわぁぁぁぁ言えたぁぁぁぁ!? ……で、なんで読み仮名が英語表記?」
「だってカタカナだとカッコ悪いし……。フィクストゥスターズとかさ、プリームムモバイルとかさ……エンピレオはちょっと気持ちいいけど」
「別に聞いた上では変わらないじゃない……」
「いいの! 気分の問題だから! あと、これは補足情報なんだけれど、両方ともダンテ・アリギエーリの『神曲』から来てるらしいね。地獄篇、煉獄篇、天国篇だっけ」
「『だっけ』ってそれだけ詳しいのに読んでないの? ま、ボクも読んでないんだけどさ。でも後々で出てくるNPCの名前だったり、それぞれのグループの《奥義スキル》だったり、このWoAには深い関係があるっぽいねぇ」
「――ケロちゃんの≪This gate divides hope and despair≫も、その『神曲』の地獄篇から来てるんだよね?」
「もちろん!」
『我を過ぎれば憂いの都あり
我を過ぎれば永遠の苦患あり
我を過ぎれば滅亡の民あり――』
『義は尊き我が造り主を動かし
聖なる威力、比類なき智慧、
第一の愛、我を造れり――』
『永遠の物のほか物として我よりさきに
造られしはなし、しかしてわれ永遠に立つ――』
『汝等ここに入るもの、一切の望みを棄てよ!』
「おー(ぱちぱちぱち)。『神曲』地獄篇第三歌! 流石は地獄の門番!」
「美術の授業で見たオーギュスト・ロダンの『地獄の門』でも有名だし、拍手までされると恥ずかしいんだけど……。でもでも、詠唱とかそういうのって覚えて言えるようになったりしない?」
「ケロちゃんだけだと思うよ……? でもそこまで長い文章を暗記できるのに、なんで学校の成績は悪いのさ」
「……ぐむ。そこはなんといいますか……使ってる脳の領域が違うというか……」
「ケロちゃんの場合、未知の領域を使ってそうだよねぇ……」
「そ、そんなことを言うなら! シトリーの《奥義スキル》にも詠唱とかあったり!」
「しないんだよねぇ。ボクの≪The secret of the strength watch reality≫は、なんてことない地獄篇の一文だからさ」
「へー……って。シトリーもちゃっかり、自分の奥義名の由来を調べてるんじゃない」
「ま、まぁ? 別に暇だっただけだし? 詠唱っぽいの無くてがっかりなんてしてないし?」
「あーあー、よしよし。【シトリー】ってあんまり名前聞いた事ないもんね」
「むしろ、【ケルベロス】が特別有名すぎるしさ……」
「というわけで、そろそろ第一回デンモクらじおも終わりの時間が近づいてきました!」
「この切り替えの速度っ!」
「次回はランキングだとかスコアに付いて話せればいいねー」
「なんで希望的観測みたいな言い方してるのさ……。話せばいいじゃない」
「いやぁ、もしかしたら『こんなことが聞きたいです』ってお便りくるかもしれないじゃん?」
「まっさかぁ、こんな物置から発信されてるような葉末のラジオなんかに」
「そんなことありません! エンドコールでそんな消極的なこと言っても良い事なんてないんだから!」
「まぁ、『次回もご期待ください』ぐらいは言っておこうかな、うん」
「それでは! ケロちゃんと!」
「シトリーの!」
「「デンモクらじおでしたー!」」