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異次元の革命者  作者: 頴娃伺結有
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【06】永遠の戦争Ⅴ


学校をサボって家に帰った惣次はまず最初に手紙を開いた。「この身体の前の意識」それは、九条結月のモノだと思う。判っていたがそれが確定したと云うなれば嬉しくない訳が無い。

その手紙の内容は至極簡単な物で、これが最後の手紙になるなんて考えていない、と云うふうな書き出しであった。


『こんにちは、こんばんわ。毎度どうもの結月だよ。今回は何日もやってなかったゲームを解禁して、面白そうなやつをしちゃいたいと思って手紙を書きました。説明文には二度と帰れない、と書いてあったので、もしもの為に文章を残すことにします。タイトルは《エターナル・ウォーズ》と云います。何かね、集めてる小説にスートリーが全く一緒でさ、それもサイトのスクリーンショットやばいしさ、ゲーマーの僕はやりたくなっちゃって。頑張って参ります。二○一四、四月十九日』

なんて、何処の動画サイトの実況だよと思うくらいに簡単に。

「《エターナル・ウォーズ》ね。関係性は大。ていうか、確定だし。でも、PCが無い。もう、手出しは出来ないな。」

呟いて、ベッドに倒れる。バッグを上に置いていたので背中に教科書など、硬いものに衝突してしまい肺のなかの空気を無理矢理吐き出されてしまったが、バッグを蹴落として寝転がる。

「あー。もう僕は何をすれば良いんだ」

机の上のスマホが震えた。何かと手を伸ばし、掴んで画面を見ると、『モーメントバーチャルゲーム』通称『モバーゲー』で運営されている《ディアボロス》のボス攻略の誘いであった。

ギルドはサービス開始からぶっ飛ばしている課金集団【脱法ゲーマー】で、平均レベルはサービス開始現在で半年なのに二百。

このゲームはソーシャルカードゲームで最高がSSR。ギルド【脱法ゲーマー】には、手持ちカードが十枚中七枚以上そのSSRが無いと参加できない。

というか、このギルドは越えられないし本当に脱法しているかもしれないゲーマーだったりと、噂立っているのは課金者を増やすための策略だったりしそうだ。

そのギルド【脱法ゲーマー】の副マスターが自分であるのはひそかな自慢だったりする。

副と云っても、ギルドの貢献度は僕が一番で、敵の戦滅数ランキングも一位を外した事はない。

そのゲームからの誘いだ。

気晴らしに参加してみたかった。新ボスイベントのLv九百だったからだ。

画面の必殺技アイコンをタッチする。


午前零時。ずっとやっていた《ディアボロス》の定期メンテナンス時間になってそこで終了する。

惣次は、手紙を再び読んで見ることにする。《エターナル・ウォーズ》んみついても情報が欲しかったが、以上に情報が確認できない。

そして、エアコンの電源をオフにして電気を消した。

関係ない。結月は帰ってくる。…多分。

手を蛍光灯に重ねてみる。豆電球のオレンジの光りが手の間からほんのりと漏れて見える。

「お休み。結月」



時間はまだ夜は明けてないと思う。

でも、耳にセットもしていない目覚まし時計のアラームのような音が聞こえてきてうるさい。

耳を塞ぐと、それは頭のなかから聞こえて来ているんだと判る。なので、それを打ち消すように

「うるさいんだー」

と叫ぶが、何処かに聞こえた様子はない。というか、僕の声は反射してやまびこの様に響くだけだ。

そこで、決心して目を開いた。もう、悪い方に進む妄想はし終えた。恐らく、何が起こっても対応はできると、そう思っていた。

しかし、僕は宙を浮かんでいた。感覚はほとんど無い。唯、気になるのは、視界の右上に不自然にある何かのゲージ。

スマホ用のオンラインゲームはやったことはあるが、時間にすれば、ソーシャルカードゲームの何分の一割になるか判らない。

何処かでみた宇宙のようなその景色は、光る何かを僕の中心に作り出す。

○○○○○


「ハッ!!?」

目を開けるよりも早く状態を起こした。

「?どうした、ソウジよ」

少し深い森の奥の川沿いで火を炊いていた幼女プレイヤー、名前は九条結月と云う女の子を向いて「嫌な夢を見た」と応える。

「いきなりプレイヤー反応があると思ったら、君だもんな。凄い驚いた」

「この世界の方が僕にとっては驚いたさ。突然に起きたらこの世界の住人でさ。どんなに運が悪かったか」

ため息をつくが、結月と偶然にも出会えたので、プラマイゼロだ。と心のなかで付け加えておく。

「第二チュートリアルね。面倒なものばかりで二度びっくりだ。手伝って貰って助かったよ」

結月は微妙に頬を赤くするが、すぐにそっぽを向いた。

第二チュートリアルとは、町で買い物をすると云うものだったが、NPCと思われる骸しか無いこの村で買い物なんて出来なかった為に、隣町に連れて来てもらった。

その近くの森のダンジョンの川で野宿している僕らは、ホントにゲームだなと思わせるモンスターの近寄って来ないスプレーを使って夜を過ごすことにした。

中二まで一緒に寝ていた位なのでこの状況で別々に寝るのは考えなかったが、結月は

「ねぇ。何で今日来たの?この世界に」

なんて、答えが永遠に続きそうな質問をされる

「話したら夜が明けるよ」

「別に良いの」

姿、声は違うが笑顔は結月のモノだなと、僕は直視出来なかった。


いつの間にか朝日が昇っていた。ずっと話していたので結月はもう寝ている。熱中すると周りが見えないと云うが、時間が経つのはこんなにも早いのだと云うのは初体験で。

まず、此処に来た理由を確かめる方法は無いので諦める。考えて今の自分ができる事とは何かを考えてみるが、何も考えつかないのはいつも大事な場面をスキップしているからだ。

惣次はもたれ掛かっていた岩を蹴っていきよいよく立ち上がる。それから、消えかけている焚火を踏んで消すと自分の上着を結月にかけて川に歩いて行く。

眠くなったので顔を洗いたいと思った。でも、此処が何処か判らない状態のまま水に手を触れて死んでしまったらどうしよう。とも考えた。

少なくとも日本では無い。先ほどの町の建物、町並みを観てそう確信した。なので、管理されていない水など毒が混じっていても不思議では無いと、そう思ったから。

「ま、いいか」

小さく呟いて手でその水をすくった。冷たい氷水のように冷えていた。

それを、屈んで顔に擦りつける。

木々の揺れが大きく感じられた。嵐とか何かが近付いているんだろうかなんて考えるが、多分違う。

顔を上に上げて上空を見回す。木が邪魔でよく見えない。

だから、魔剣アルバーン・ブレイクを具現化させた。多分敵だろうから。この身体の持ち主がそう云っている気がした。

「ソウジ、【月影の太陽】の軍団が攻めてきてるよ。この近くの領土を奪うつもりだ」

起きていたのか、惣次のコートを肩に掛けた結月は焦った様子で走ってきならがら云った。

「【月影の太陽】?領土ってなんだよ」

「えっ?説明を聞いてないの?【月影の太陽】は、メンバー数三百の中規模クラウド、この近くのアガレス帝国に所属してるの。アガレス帝国は、古代日本武術連合を併合しようとしてる」

よく判らないが、この町に危険が迫っているのは判った。

なので、僕は

「対抗するクラウドは無いの?武術連合は僕が拠点に選んだ都市なんだ」

それに、呆れた顔で結月はため息をついて

「あたしが所属してたのがそれだけど、あたしでやっと入れたのだ。ソウジは勝てないし、どのクラウドにも断られるに決まっている」

「じゃぁ、一人でどうにかするさ。行ったことも無い国が消えるのは悲しいんでね」

「わかんない!!。此処で死んだら生き返れないの。しかも、平均レベル四十の三百人と戦って勝てる訳無いのだ。君はまだレベル一でしょ」

少し悲しげに云われたので、無謀に突っ込もうとする考えをやめた。判っていたが、僕に比べてベテランの結月が生き返れないといえばそうだ。

ソーシャルカードゲームは死ななかったと思うが、それにロールプレイのジャンルが付くと、有名なあのゲームに近づきそうだ。

「でも、行くならガチャしてってよ。十連してないでしょう」

「ああ、何かそんなの貰ったなぁ」

思い出して惣次は座りやすそうな石に腰掛ける。結月はその場に座るが、僕は視線をガチャと書かれたアイコンに向ける。

「ガチャね。あ、違うのに変わってる」

昨日がTR聖剣エクスカリバーの排出率アップのイベントで、当たりだとしたら今日はハズレのSR三倍のイベントと。

下にスクロールして十連ガチャ券の使用欄を見つける。

「あ、今日はSRが三枚当たれば良い方と思うの。どうせ、初期の運のパラメータは三程度しか無いんだから」

「運パラメータって何だよ」

「後で教えるから早く引きなさいよ。何が出たのか気になるのだッ!!」

どんなゲームでも、ガチャと云うのは自分が引かなくて人が引いたのを見ていても何か興奮するよな、なんて同情(?)をしながらおそろおそる、引くを押す。

金色の盾が十個位現れて、内三つが少し半透明なクリスタルのような盾だ。確定と云う言葉がまたも出てくる。

同じように盾が廻り始めて、止めるとも出てきた。


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