第1話 プロローグ
「今日のデートも楽しかったね♪また、明日のバイトでね・・・おやすみzzz」
家に帰った私は、子供の寝顔を確認しながらメールを打ち終わった。
隣の部屋では、夫が高いびきをかいて眠っている・・・
もう、何年になるだろう・・・夫の隣で眠らなくなって。
夫と結婚したのは、15年前。私が20歳のときだった・・・
高校を卒業して社会人となった私は、先輩社員の夫と入社後まもなく付き合い始めた・・・
当時、夫は28歳。自分より10歳も年上の彼は、とても大人で頼もしく思えた。
そんな夫に夢中だった私は2年後、結婚した。
両親は、結婚は早い!と反対したが、夫のプロポーズに舞い上がっていた私は、耳を傾けなかった。
奥手だった私は、付き合ったのも初めての相手だったのも夫だった。
ある意味、それはそれで幸せなことだったのかもしれない・・・カズヒロと出会うまでは。
結婚して、翌年に子供が生まれ子育てに追われる毎日・・・
一人息子に夢中になった私は夫に関心がなくなり、いつしか寝室も別になっていった・・・
その息子も中学生。親バカな私が言うのも何だけど、素直ないい子に育ってくれて、自慢の息子。
中学に入るまでは、私に甘えていた息子も勉強と部活に忙しくなり、私との会話もずいぶん減ってしまった・・・。
上手に親離れしていく息子に寂しさを覚えた私は、隣町のスーパーへパートに出ることに・・・。
そして、基本的に時間の自由がきく私は、店長に重宝がられ、2年経った今では主任を任されるまでに・・・。
もともと人と接する仕事が向いていたせいか、毎日が楽しく充実していた。
そんなある日のこと、アルバイトの面接でカズヒロがやってきた。
あいにく店長が急用で、急きょ私が面接をすることに・・・
「・・・カズヒロさんですね。年齢は・・・22歳で学生さん?希望の勤務時間は・・・夕方から・・・ですね。いつから、勤務できますか?・・・わかりました・・・」
ひととおり、必要事項を聞いた私は、最後に連絡先を確認した。
「・・・では、2〜3日中にこちらから連絡致しますので、お待ちくださいね。」
そう言って、面接を終わろうとする私に、彼がこう言った。
「・・・すみません、あなたの連絡先教えてくれますか?」