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第百八十三話~暗殺の実行~

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第百八十三話~暗殺の実行~



 播磨国の西にある大聖寺山城、此処は先の【佐用河原の戦い】の後に兵を退いた毛利勢の本陣がある。 その城に、軍使の一行が訪問していた。

 軍使の正使を務めるのは京極高吉きょうごくたかよしであり、副使を務めるのは山名堯熙やまなあきひろである。 つまるところ、彼らを派遣したのは白旗城に居る義頼であった。

 さて義頼が何故に軍使を派遣したのかと言うと、別に降伏を促す為の使者ではない。 毛利両川として毛利家を支える吉川元春きっかわもとはる小早川隆景こばやかわたかかげが降伏するなど、義頼は微塵も思っていない。 彼らが派遣されたのは、別の理由によるものであった。

 彼らは始め駒山城により、そこで守りを固めている口羽春良くちばはるよしを訪問している。 そこで、軍使として派遣された彼らの事情を伝えた。 そこで告げられた内容だが、とても無視できるものではなかったので、春良は軍使の要望通り大聖寺山城へと送っている。 無論、怪しげな行動を取られない為に護衛と称して監視の者達を付けてであった。

 なおこの春良によって付けられた者達が同行する事など、高吉たちにとっても想定内である。 特段、嫌がる様子など見せずに彼らは同行を了承していた。

 やがて護衛なのか護送なのか分からない者達と共に高吉達は、大聖寺山城へと到着する。 待つこと暫し、彼らは城の広間へと通されていた。 その広間の上座には、まだ治りきっていない怪我を押して元春が鎮座している。 そのすぐ脇には隆景もおり、広間の中にも毛利勢の主要な家臣が揃っていた。


「お初にお目に掛る。 拙者は、正使を務める京極中務少輔高吉と申す。 そしてこちらは、副使の山名右衛門佐堯熙殿にございます」

「そうか……拙者が吉川治部少輔元春だ。 して使者殿、そなたらが春良に伝えた事は真か?」

「無論」


 そう言うと、高吉は目配せをした。

 彼からの目配せを受けて、同行した者が大事に抱えていた物を静かに置く。 それらは、幾つかの首桶であった。 広間の床に置かれた首桶は、全て毛利家の者の手によって元春の前に運ばれて行く。 その首桶の一つ、名が掛かれた紙が付けてある首桶を開けた。

 当然だが、首桶の中には首が入っている。 夏という季節柄、塩漬けにされている首だがその顔は見覚えがある物であった。 それも、当たり前である。 何と言ってもその顔は、つい先日まで当たり前のように見ていた顔なのだ。


「……くっ……元長っ!」

『うくくく……』


 首桶から出されたその首、生前は吉川元長きっかわもとながと呼ばれていた者の首である。 彼は元春の嫡男としてこれからの行く末を切望されていた男であったが、先の【佐用河原の戦い】で殿しんがりを務め義頼に討ち取られたのであった。

 義頼はその後、敵味方問わずにできるだけ遺体を集めてから鎮魂を込めて仮ではあるが碑を建立している。 しかしその際に彼は、元長など幾人かの者達の首を取ったのであった。

 本来であれば遺体から首を取りたくはなかったのだが、前述した様に今は夏である。 遺体はすぐに腐ってしまうので、とても遺体の全身を残すなど出来ない。 その為、仕方なく首を切り取り塩漬けにして保管したのであった。

 なお他の首は、国司元蔵くにしもとぞう児玉元良こだまもとよし益田元祥ますだもとよし。 それから、元長と共に残った毛利の兵の首であった。


「我らの総大将からの伝言です、治部少輔(吉川元春)殿。 「彼らは真の武士もののふ、故にそなたらへ返還致します。 首だけですが、それはご容赦いただきたい」以上にございます」


 高吉は義頼から託された伝言を一言一句、違わずに元春へと告げる。 そしてこれで役目は終わったとばかりに、押し黙った。

 また高吉の一行が持ち込んだ首だが、先ほど述べた様に元長だけではない。 他にも幾つかの首が持ち込まれており、それらについても確認が行われていた。

 国司元蔵の首は父親である国司元相くにしもとすけが確認し、益田元祥の首は彼の妹婿に当たる宍道政慶しんじまさよしが確認している。 それから児玉元良の首は彼の嫡子である児玉元兼こだまもとかねが、戦で負った怪我を押して首を検めていた。

 無論、全ての首は本人に間違いはない。 首を検めた彼らは、元春と同様に涙を流していた。

 それから暫く、広間には毛利家の面々からの嗚咽だけが流れていく。 やがてどれくらいの時が経っただろうか、何時の間にか嗚咽は鳴りを潜めていた。 その間じっと目を瞑り身動ぎすらしなかった高吉達は、そこで目を開ける。 すると、元春が見詰めている。 その様な視線を向けられた京極高吉と山名堯熙であったが、彼らは視線に怯む事無く見返していた。


「ところで使者殿。 息子達の体の方だが、どうなっているか聞いておるか?」

「右少将(六角義頼ろっかくよしより)殿からは、我らと毛利勢の別々に碑を建立し葬ったと聞き及びました」

「……そうか……相分かった。 使者殿」

「では、これにて」

 

 そう言うと、高吉達は立ち上がった。 

 そして大聖寺山城へ来た時と同様に、軍使には口羽春良が同行する。 ただ来た時と違うのは、首を届けた礼かそれとも碑を建てた事に対する物かは分からないが、元春以下主要な毛利家の将からの見送りを受けた事であった。

 これは元春が言い出したのであるが、その際隆景は反対してる。 それでなくても怪我を押して、軍使と会っているのだ。 総大将として、また肉親として今は休んでいてもらいたいのである。 しかし、元春は首を振りその言を拒んだ。

 この見送りは、息子の首を届けた事に対する彼なりの礼である。 それ故、隆景の言葉に従う訳には行かないのだ。 それでも隆景は翻意しようと試みたが、まるでこれが返答だとばかりに見送りを行ってしまう。 こうなっては隆景も諦め、せめてとばかりに元春の隣で高吉ら軍使の一行を見送ったのであった。

 


 錚々たる面子に見送られながら大聖寺山城を出た高吉一行は、春良に駒山城の麓を流れる千種川まで送られる。 そこで別れると、彼らは川を越えて白旗城へと戻ったのであった。

 やがて城へと到着した高吉達は、その足で役目を果たした事を報告する。 すると彼ら二人へ、義頼はねぎらいの言葉を掛けたのであった。

 その後、義頼の前より辞した高吉と堯熙であったが、廊下で声を掛けられる。 その声の主は、本多正信ほんだまさのぶである。 そして彼の隣には、沼田祐光ぬまたすけみつも居た。

 すると、高吉と堯熙は二人して頷くと彼らに近づく。 両者が近寄ると、正信と祐光は近くの部屋に案内した。 計四人となった彼らは、思い思いに座る。 全員が着座をすると、正信が高吉と堯照へある事を尋ねた。

 実は軍使として毛利勢へと赴く際、二人は正信と祐光に声を掛けられている。 その内容とは、敵陣の調査である。 とは言え、つぶさに調べる訳ではない。 大まかな情報が得られれば、それでよかった。 既に敵の情報は入手済みの為、いわば裏付けを欲したのだ。


「そなたらも、大変だのう」

「これが我らの役目故」

「うむ」


 高吉とて、この戦国乱世を生き残ってきた男である。 正信と祐光がやろうとした事を、理解しない訳ではない。 それ故、彼らの依頼に協力したのだ。

 問われた高吉は、己が見て来た様子をつぶさに話していく。 隣では同行した堯熙が相槌を打っている事から、彼の言葉に嘘偽りはないと判断できた。

 無論、頭から得られた情報を信用する気はない。 もしかしたら隆景も、敢えて見せる事で罠に掛ける可能性もあるからだ。 しかし高吉や堯熙が齎した情報と、甲賀衆や伊賀衆などの忍び衆が収集した情報に殆ど齟齬はない。 であるならば、この情報は信用に値すると言える物であった。

 十分と言える情報を得られた二人は、頭を下げて礼を言う。 そんな二人に対し、気にするなと声を掛けてから高吉と堯熙は己の陣へ戻っていく。 そんな彼らの背を見送った正信と祐光の近くに、男が一人現れる。 それは、伊賀衆筆頭の千賀地則直ちがちのりただであった。  

 彼は正信と祐光に近づくと、ある報告をする。 それは、播磨国へ出陣した織田信忠おだのぶただについてであった。 どうやら彼と彼の軍勢が、姫路城へ到達したらしい。 そこで一日休息を挟んでから、此方へ来る旨が伝えられた。 義頼が軍勢を率いて毛利両川と対峙した事と今は白旗城に駐屯している件は、信忠にも織田信長おだのぶながにも報告してある。 だから、信忠が白旗城へ来る事はむしろ自然の流れであった。

 則直を下がらせた正信と祐光は、連れ立って義頼の元に向かう。 そこで、姫路城に入った信忠の件について報告をした。


「そうか。 殿が来られたか。 ならば到着の際は、出迎えねばならぬな」

『御意』

「うむ……そう言えば話は変わるが、大砲が届いたそうだな」

「はい。 して、どの辺りに据えまするか?」

「何処にか……」


 ふと漏らされた言葉に対し、義頼は深く考えていた。

 何故にその様な態度となったのかと言うと、大砲の射程が大きく関わっている。 例えば、白旗城に設置した場合、駒山城までならば届く。 しかし、その後方に存在する防塁陣や毛利本陣のある大聖寺山城となると、届かせる事は不可能であった。

 となれば、距離を詰めるしかない。 しかし防御の事を考えれば、大砲を何処に設置するかという問題が出て来る。 だから義頼は、悩んだのだ。

 辺りの地図を見ながら、何処がいいかを考える。 距離的に言えば、筒井順慶つついじゅんけいらを派遣した苔縄城跡がいい。 しかし苔縄城跡は縄張りが広い訳でもない上に、城のある愛宕山には岩場などが存在する。 有り体に言えば、護りは堅いのだが過大な重量物である大砲を持ち込むには全く適しない場所なのだ。

 その時、思案に耽る義頼の目にある場所が写る。 その場所とは、赤松家菩提寺である法雲寺であった。 この寺が建立されているのは、苔縄城跡の麓である。 つまり距離的には、大砲を苔縄城跡に設置した場合と大して変わりがある訳ではないのだ。

 最も高低差の分だけ射程は短くなってしまうが、その事を鑑みても駒山城であれば問題とならない。 大聖寺山城や防塁陣は大丈夫と言い切れないかもしれないが、義頼の見立てではまず問題ないとしていた。 そして大砲の護りに関しても、苔縄城跡へ派遣した順慶らに任せればいい。 それでも不安ならば、増援してもいいのだ。


「法雲寺か……よし! そちらに大砲を設置する」

『はっ』


 義頼は、法雲寺へ姫路城より移動させた大砲を据える事を決めたのであった。



 その頃、播磨国へ潜伏した浮田家久うきたいえひさはと言うと、悩みを抱えていた。

 と言っても、別に彼が何かしたとか取り返しのつかない事をしたと言う訳ではない。 家久が悩んだ理由とは、偶々掴めたある情報であった。

 その情報とは、織田信忠が数日のうちに白旗城へ到着するという物である。 日程は兎も角、信忠が播磨国に現れると言う話題は以前よりあったのでその事自体は驚くに値しない。 だが、具体的な日時が分かった事で義頼と信忠のどちらを標的とするかで家久は迷ってしまったのだ。

 主である宇喜多直家うきたなおいえの言った通り義頼を狙い命を奪えれば、先ず播磨国へ派遣された軍勢は退く事になるだろう。 そうなれば播磨国の国人は、その後に毛利家や宇喜多家を頼るのはまず間違いない。 しかしそれは、所詮は一時凌ぎの可能性もあった。

 織田家は巨大であり、義頼しか大軍を率いれる将が居ない訳ではない。 他にも柴田勝家しばたかついえを筆頭に、丹羽長秀にわながひで明智光秀あけちみつひでなどと言った義頼の抜けた穴を埋めることが出来るであろう将は居るのだ。

 翻って、信忠であればどうか。

 確かに織田家の実権は、織田家家督を譲った筈の先代に当たる信長が握っているのは間違いはない。 しかし例えそうであったとしても、信忠は織田家当代である。 もしここで死ぬか、死なないまでも重傷でも負えば織田家は混乱しかねなかった。

 なんだかんだ言っても信忠は、あの信長が認めた嫡子である。 信長は身内に甘いところがあるが、見る目までが曇っている訳ではない。 少なくとも、己の後継者たる器があると判断したからこそ織田家の家督を譲ったのだ。


「……やはり、信忠を狙うべきか? しかし、殿の命は義頼の狙撃だ。 何と言っても、あの殿が信忠の到着を見逃していたとは思えない。 ならば、与えられた命にはやはり意味があると考えるべきか……」


 暫く悩んだ後で、家久は当初の命通り義頼を狙う事にした。

 どの道、多数の兵を率いて進軍している信忠を狙うのは相当に難しい。 ならば、当初の目的を優先しようと考えたのだ。 そう決めてしまえば、後は迷う事はない。 彼は直家の命を実行させる為、行動を再開する。 そして数日後、浮田家久はある場所にて忍んでいた。

 それはどこかと言うと、何と白旗城のある白旗山の麓である。 何故にそんなところで家久が潜んで居るのか、その理由は彼にではなく寧ろ義頼の方にあった。 と言うのも、今日にでも信忠の軍勢が白旗城に到着する予定なのである。 そして義頼だが、白旗山の麓にて信忠を迎えるつもりである。 なれば狙えるのではないかと、家久は潜んでいたのだ。 そしていざ潜んでみると、思いの外敵の将兵が少ない。 その事を不思議に思いつつ、家久は好機を狙っていた。

 ところで、何故に将兵が少なかったのか。 実は、他でもない信忠が到着する事にその理由があった。 信忠を迎える立場にある義頼としては、この時を狙って毛利の軍勢が攻め寄せてきては堪らない。 そこで彼は、白旗城と毛利勢の前線に当たる駒山城を結ぶ道筋に軍勢を展開させていた。 

 その上、義頼は毛利勢の動きを警戒して忍び衆の大半をそちらに向けていたのである。 無論、全員ではなく最小限の人数は残してはいた。 しかし逆に言えば、最低限の人数でしかない。 その為、どうしても警戒網が薄くなってしまったのだ。

 これは家久にとって、正に千載一遇と言える好機である。 通常より敵将兵が少ない事も勿論だが、何より此処で狙撃を成功して混乱を起こせれば逃げ延びる確率も格段に増えるからだ。

 上手くいく未来を想像した家久は、笑みを浮かべつつゆっくりと火縄銃を構えて狙いを定める。 その先には、鎧を脱いで正装をして信忠を最初に出迎える為に一番前で佇んでいる義頼が居た。 そんな彼を照星に捉えた家久は、慎重に引き金に指を添える。 だがその時、義頼がまるで何かに驚いたか様な仕草をした。 その行動に一瞬訝しげな顔をするが、今の好機を逃す訳には行かない。 家久は、躊躇せずに引き金を引いたのであった。





 話を、僅かだけだが戻す。

 それは家久が、義頼へ狙いを付けた正にその時である。 白旗山の麓で信忠の到着を待っていた義頼だったのだが、ふと視線を向けた先で何かが鈍く光った様な気がした。

 その瞬間、彼の背に怖気と言うか寒気の様な物が走り抜ける。 それは嘗て、雑賀衆の鈴木重秀すずきしげひで佐武義昌さたけよしまさに狙われた時に感じた物である。 流石に三度目の感覚となれば、躊躇う事はない。 義頼は迷う事無く、後ろに体を投げ出していた。

 次の瞬間、辺りに銃声が響き渡ったかと思うと、直前まで義頼の体があった場所を何かが通り過ぎる。 受け身を取り即座に立ち上がった義頼は、辺りに視線を走らせる。 その時、彼の視界に先程見た一つの鈍い光が飛び込んできた。


「狙撃かっ!」


 鈍い光が、偶々陽光を反射した火縄銃だと見当をつけた義頼はすぐに行動を起こす。 火縄銃の位置から射線を想定すると、死角か狙いにくくなるところを探して視線を巡らせる。 幸いにも条件に大体合致する場所を見つけた義頼は、急いでその方向へと走り出していた。

 また六角家家臣だが、主のいきなりの行動にその場にいる誰もが反応できずにいる。 しかし義頼が走り出すと我に返ったらしく、慌てて走り寄ってきた。 お陰で、義頼を守る人垣ができ始める。 その中には、小姓の三雲賢春みくもかたはるが居た。 彼を見咎めた義頼は、急ぎ弓を持って来る様にと命じる。 半ば反射的に頷いた賢春は、脱兎の如く走り出した。

 その一方で狙撃をした家久だが、彼は驚きを隠し得ない。 何と言っても、先程の射撃は正に必殺の瞬間だったのだ。 それであるにも拘らず、義頼の命を奪うどころか命中すらもさせられなかったのである。 仮にも銃の名手と謡われていた彼に取り、今の状況は驚愕の一言に尽きる。 その為、思わず回りの状況すらも忘れて呆けてしまっていた。

 その間は長くはなかったが、狙撃された側としては万金に等しい時間である。 意図せずその隙を突いていた義頼は、己の体を物陰に隠す事に成功していた。 丁度その時、義頼の元に賢春が戻って来る。 彼の手には、義頼の愛弓と矢が数本握られていた。

 直後、賢春から弓と矢を受け取った義頼は、物陰から出て矢を番える。 その先には、火縄銃を構えようとしている家久の姿があった。

 その家久の手にある火縄銃だが、実は先程発砲した物ではない。 これは、念の為にと持って来たもう一丁の火縄銃である。 しかし、まさか持ち出す事になろうとは思ってもみなかった。

 直家からの依頼を完遂する為にも、此処は危険を冒す必要がある。 そう判断して危険だと思いながらも予備として持って来た火縄銃を持ち出していた訳なのだが、いざ狙おうとした瞬間に家久は別の意味で固まってしまっていたのだ。

 何と標的のはずの義頼が、弓で狙いを定めていたからである。 弓と銃という違いがあるが、家久も射撃武器を操る男である。 弓を構える義頼の狙いが、寸分違わず自分を狙っていることに気付く……いや気付けてしまった。

 しかもまだ完全に射撃を行える態勢へ己を持っていけていない家久と違い、義頼の弓は完全に引き絞られ何時でも放てる態勢である。 この状況では、どうあがいてもその狙いから逃れられない事もまた理解できてしまった。


「あ、やつは……一体……な「往生しろ! 不埒者!!」に……」


 義頼の声と家久の声がほぼ同時に紡がれ、時を同じくして義頼から矢が放たれる。 彼の矢は一直線に家久の目を、そして頭蓋を貫く。 しかしそれでも威力を消すには足りなかったのか、彼の後ろに立つ樹に深々と突き刺さったのであった。   

 

タイトルの通りです。

以上!!


ご一読いただき、ありがとうございました。

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