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英雄、やります(仮)  作者: 星長晶人
アンドゥー教編
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ギルド申請

「入国許可証を見せてください」


 リンナにそう言われて、俺達四人は入国許可証を出す。


「……はい、いいですよ。名前を書き込んでおいたので、あとは特技、ですね」


 特技、か。


「使える魔法もお願いします」


 そうか。


「じゃあ、俺は術式、だな」


 それしかないし。


「私は治癒魔法、光系魔法、防御魔法です」


「……あっ。えーっと、どの難易度まで使えるかの詳細をどうぞ」


 俺じゃなく、ディメスに向かって言う。


「古代治癒魔法、聖白光せいびゃっこう魔法、古代防御魔法です」


 古代って何だ?


「古代から存在する高度な魔法のことです」


 ディメスが説明をくれる。へぇ。そんなのが使えるのか。凄いな、ディメスは。


「……さすがですね」


 リンナは少し呆れたように言う。


「私は、古代宇宙魔法が使えるんですけど、細かく言った方がいいですか?」


 メティまで古代使えるのか。


「レックスで古代が使えるんですか? 凄いですね。……はい。詳細をお願いします」


 レックスは使えないのが普通なのか? メティはかなり凄いってことか。


「重力魔法、星魔法、星座魔法、銀河魔法、地球魔法です」


 ……結構あるな。地球魔法ってのが一番気になると言えば気になるが。


「……結局、全古代宇宙魔法ということですね」


 はぁ、とため息をつきそうなリンナ。メティの言った五個を総じて宇宙魔法っていうらしい。


「俺は言わなくていいのか?」


 グランが人前で喋った。……まあ、リンナは正体を知ってるし、他のヤツにも聞こえないだろうしな。


「……いえ。シューヤさんの相棒、というような位置ですが、ギルドカードは発行しておきます。お名前と特技をどうぞ」


 グランも一応パーティーだしな。


「グランディアだ。無限弾丸インフィニット・バレットと魔法銃弾、古代機械魔法と天空魔法だな」


 グランの銃系らしい二つはガトリングのためにあるんだろう。


「……はい、わかりました」


 ギルドカードに全て書き込んでいく。


「私はかなり数あるわよ? それでもいい?」


 フィネアが余裕たっぷりに言う。


「はい。構いません」


「戦剣技、殲滅剣技、戦乙女剣技、波動剣技、覇剣技、流麗剣技、天空剣技、暗黒剣技、錬武剣技、戦舞いくさまい剣技、古武剣技、無限剣技、羽翼剣技、破砕剣技、斬裂剣技、絶剣技」


 ……俺じゃ到底覚えられん。


「……はい。その十六つでよろしいですか?」


「いいわよ」


 ……すげえな、リンナ。さすが受付嬢。あれを全部聞き取って書き込んだのか。


「はい。これであなた方のギルドカードは完成ですが、よろしいか確認してください」


 リンナは俺達それぞれにギルドカードを渡す。


「っ!」


 こ、これはーー。


「……すいません、字、読んでもらっていいですか?」


 全然読めねえ。異国の文字だよ。……まあ、異世界だけど。


「……はい」


 何でこんな人のパートナーなんだろう、というような表情のリンナ受付嬢だった。


 ▼△▼△▼△▼△


「……う~ん」


 俺はリンナにギルドの説明を受け、依頼状の貼り出された掲示板を見る。


「何を悩んでいるんですか?」


 ディメスが俺の横に並んだ。


「いや、無一文だからな。とりあえず金額のいいクエストを受けようと思うんだが、何分モンスターの難易度がわからん」


 俺で倒せるかどうかがわからないんだよ。


「蛇の道は蛇と言います。モンスターのことなら、人間より私達の方が詳しいですよ」


 それもそうか。


「まあ、お前らがやったらどんなクエストでも出来ると思うんだが、俺が術式を使って勝てる相手がいいんだよな」


「そうですか。では、グロウウィングフォレストより少し下の難易度でどうですか? グロウウィングフォレストは直接攻撃はしてきませんが、獲物を森から出させずに仕止めるので厄介です」


 確かに、俺一人だったら倒しきれなくて死んでたな。


「直接攻撃をしてくる相手に慣れてもらうには、ゴブリンが妥当ですね。次はオーガかと」


 なるほど。ゴブリンからやるか。


「これはどうだ?」


「……これは嫌な予感がしますね。上級のゴブリンが出てくるかもしれません」


 そんなこともわかるのか。まあ、生態系や何かを知ってればわかるか。


「じゃあ、これにするか」


「危険ですよ?」


「いざとなったらお前らが参加してくれれば大丈夫だろ」


 俺はそれをはがしてリンナに渡す。


「はい。期限は三日です。健闘を祈ります」


 ぺこりとリンナが頭を下げる。


「……あっ。一つ聞きたいのですが、グロウウィングフォレストが発生したという報告があったのですが、様子を見に行くと戦闘跡があり、グロウウィングフォレストは討伐されていたらしいんですが、知りませんか?」


「……そいつが発生したのってどの辺り?」


 俺らかもしれないが、違うかもしれないので聞く。


「方角ではわからないと思いますが、あちらの方です」


 ……俺らが来た方を指差してるな。


「戦闘跡はどうなってるかわかる?」


 メティのグラビティはわかりやすいからな。


「中心から円状に陥没していて、その外側に焼け焦げた跡などがあったということです」


 ……。

 …………。


「それ、俺らだな」


「当たり前よ。グロウウィングフォレストの討伐が出来る人間なんて多くないわよ」


 ……俺らだったとは思わないじゃん? まあ、そういう予感はしてたけど。


「……あなた方でしたか。それなら納得です。ギルドに加入する前なので報酬は出ませんが、謝礼金が出ます。……こちらになりますが」


 リンナはカウンターの奥にいって、革袋を取ってきた。なかなか中身が入っていて膨らんでいる。


「謝礼金の金貨百枚になります」


 金貨? この世界の硬貨だろうな。どれくらいの価値なんだろうか?


「グロウウィングフォレストごときで金貨百枚? 謝礼金多すぎない?」


 あの森の化け物をごとき呼ばわりとは、頼もしいね、ヴァルキリーさん。


「はい。ですが、グロウウィングフォレストは場合によっては国を滅ぼすので、早急に討伐して欲しいということです」


 なるほど。


「……金貨ってどれくらいの価値があるんだ?(ボソッ)」


 こっそりディメスに耳打ちする。


「……ゴブリン討伐が金貨一枚手に入れるのに百回以上必要、と言えばわかりますか?」


 すごっ。ゴブリン討伐は石貨七十枚だったか。


「んじゃ、金稼げたし、何か買うか」


 俺は革袋を受け取って、三人を連れて外に出た。

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