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英雄、やります(仮)  作者: 星長晶人
アンドゥー教編
8/85

ギルドと他プレイヤー

「……」


 第一関門発見。


「……中に入れるのか?」


「私達モンスターに聞く時点で間違ってるわ」


 だよな。


 俺達は街を囲む塀、その入り口である門の近くの草むらに隠れているんだが、門にはもちろん門番がいる。


「入れなかったら入れなかったで、別の街を探せばいいわ」


 ……仕方ない。


「よしっ。門番に聞いてみよう」


 とりあえず草むらを出て、門番に近付いてく。


「すいません、中に入りたいんですが」


 思いきって声をかける。


「……入国許可状を発行する。何人分だ?」


 あれ? 意外とすんなりいったな。


「四人分だが、鳥っているのか?」


「いらないな。では、四人分の入国許可状を発行する。名前を言ってくれ」


「シューヤ」


「ディメロウス」


「メティラティ」


「フィネア」


 自分の名前を言っていく。


「……出来たぞ。なくすと不法入国で捕まるからな」


「ああ、ありがとな」


 自然と普段の口調に戻ってるな。お偉いさんだっているだろうし、気を付けないと。


「ーーようこそ、レリナイア王国へ」


 門番はそう言って、敬礼して通してくれた。


 ……日本よりかなり小さい。この世界の国はこんなもんなんだろうか。


 巨大な城が奥にあって、城下町がある。貧困そうな人は見当たらなく、豊かな国のようだ。


「大国、なのか?」


 ゲームの世界だと、国は日本より小さいのが多いしな。


「……そうですね。レリナイア王国は世界有数の奴隷国。魔物から人間まで多種多様だと聞いたことがあります」


「……奴隷国ね」


 よく見ると、首や足に枷を嵌められている人もいる。あれが奴隷だろう。


「奴隷の下見とギルドの申請、どっちを先にする?」


「う~ん。まあ、ギルドの方からでいいだろ」


 奴隷の値段の問題もあるしな。


「俺が上から見てギルドを探してやろう」


「頼んだ」


 グランが空に飛び立っていき、戻ってからギルドに向かった。


 ▼△▼△▼△


「すみません。冒険者になりたいんですけど」


「ギルド申請の方ですね? ……私、受付嬢のリンナと言います」


 受付嬢の美人さんがぺこりと頭を下げるので、俺も軽く会釈する。


「……とりあえず、マスターと会談をしてくれますか?」


「……えっ?」


 どゆこと?


 ▼△▼△▼△


「……」


 受付嬢の美人さんは俺達を二階へ案内した。


「マスター。連れて来ました」


「ああ。悪いな、お前ら。魔物には、俺から話をする決まりなんだ」


 しゃがれた渋い声でマスターは言う。巨体に立派な髭を生やしたおっさん、だろうか。


「私は魔物と人間を見分けることが出来ます。ですから、マスターの下に連れて来ます」


 危険な魔物もいるだろうしな。


「ーー人間」


 受付嬢の美人さんは俺を指差す。


「ーー騎竜・ワイバーン」


 俺の肩に乗るグランを指差す。


「ーーメテオグラビトンレックス」


 俺の左側にいるメティを指差す。


「ーー白皇竜・カイザードラゴン」


 俺の後ろにいるディメスを指差す。


「ーー戦女神・ヴァルキリー」


 俺の右側にいるフィネアを指差す。


「……メンバーの強さが半端ねえな」


 マスターは苦笑して言う。……俺だけ人間っすもんね。


「冒険者になるのはいいのですが。何分強さが強さですので」


 あー。フィネアなんか、魔物の最高ランクだもんな


「モンスターの冒険者はランクが冒険者のランクになります」


 じゃあ俺だけ最低ランクからだな。……空しいぜチキショー。


「……その中に一人だけ人間がいるのは、異例の事態です」


 ああ、見た感じ武器持ってない若い少年がね。


「ご主人様だもの」


 フィネアが平然と言う。


「「ご主人様!?」」


 マスターと受付嬢が驚く。


「ま、まさか、戦女神・ヴァルキリーを従えてるのですか……!?」


「い、いや。パートナーだから」


 誤解されそうなので入る。


「ご主人様は私達を奴隷のように扱うと言ってたわ」


「本当ですか!?」


「いや、扱わないから!」


 フィネアがからかいすぎなのと、受付嬢のノリが案外いい。


「……」


 受付嬢に睨まれてしまった。ヴァルキリーが人間と行動してることもあって、信用されてないんだろうか。


「リンナとりあえず害はなさそうだ。ギルドに入るのを許可しとけ」


「はい」


 マスターが言うと、リンナはお辞儀して部屋を出ていった。


「一つ聞きたいんだが、パートナーとは何だ?」


 わからずに聞いてたのかよ。


「パートナーってのは、まあ、相棒だな」


 ……あっ。早速敬語使ってねえ。


「相棒、か。この国にもパートナーを連れたヤツは四人いるが、彼氏、奴隷、相棒、仲間。人それぞれだったな」


「……」


 この国にも俺と似たような境遇のヤツがいるのか。


「異世界人らしいな。情報が共有出来るように同じ異世界人にはこの国にいる異世界人の情報を伝えている。……会いたいならリンナに聞くといい」


 異世界人だってことを言ってるのか。


「彼氏だと言った女は、街外れの古い木造の家に住んでいる。パートナーと……子作り、というか……に励んでいるが、邪魔すると殺されかねない。一週間に一度は食料を買いに出てくるぞ」


 ……何やってんだよ。毎日ムフフしまくりってか?


「奴隷と言ったヤツは、ドSだから気を付けろ。パートナーは首輪をしていて、四つん這いで歩かされているからすぐに見つかるだろう。ニヤニヤしながら、金髪の美人が四つん這いで歩いていたらそいつだ」


 ……パートナーと好き勝手しすぎじゃねえ? ペットプレイしてんじゃねえよ。


「相棒と言ったヤツは、傍にパートナーの象を連れているからわかりやすく、基本一般的で結婚している。ただ、筋肉バカだから気を付けろ」


 ……やっと変態じゃねえヤツがきたか。


「仲間と言ったヤツは、男女混合の五人パーティーだ。パートナーが二人、あと二人は街で会った冒険者らしいが、一番普通だ。特に恋人同士というわけでもなく、戦闘好きというわけでもない。ギルドにも適度に貢献していて、本当に普通だな」


 ……普通か。ありがたい限りだ。


「……言い忘れていたが、仲間を傷つけられると怒り狂って国一つ滅ぼしかねないから気を付けろ」


 ……仲間想いにも程がある。


「……一回、顔合わせとくか」


 俺らだけでも余程のことがなければ死なないが、協力してくれるヤツは多いに越したことはない。


「ギルドについての説明は下のリンナに聞くといい。もういっていいぞ。……時間を取ってすまないな」


 マスターがそう言ってから、俺は一礼して一階に降りた。

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