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英雄、やります(仮)  作者: 星長晶人
アンドゥー教編

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リベンジ開始

 俺はアーティアと共闘するのは意外と初めてだったな、と思いアーティアの横顔を見る。するとアーティアも何故かこっちを見ていて。


「……これが初めての共同作業というヤツですね、頑張ります!」


 気合いの入れ方がおかしかった。


 だがやる気に満ちているのはいいことだ、と思い直し、カオスを見据える。……共同作業というよりは協力戦闘だと思うが、口には出さない。


「……まあ、正直言って俺結構本気で戦ってたからもう残された手が少ないと言うか……」


「……だから結構硬かったんですね。以前の私ならもっと苦戦して攻撃を受けてたかもしれません」


 アーティアは少し呆れたように言う。……どこまで硬くなるか分からない今、迂闊に攻撃して硬度を上げるのは危険だ。口を全て破壊し続ければ何とかなるかもしれないが、さすがにそれは俺とアーティアだけでは心許ないだろう。下手に仕掛けて速度までアーティアを上回るくらいに上げられれば俺達の死は決定事項となる。


「……ですが、私を倒すには些か役不足ですね」


 アーティアはフッと微笑んだ。……その自信がどこから来るのかは兎も角、かなり頼りになる。俺はすっかり頼もしくて安心し、いけるんじゃないかと言う気さえしてきた。


「……ブレス攻撃を組み合わせたらカオスを消し飛ばせませんかね」


「……無理だろ。いくらブレスでも、この巨体を消し飛ばすのは」


 アーティアはモンスターが使う広範囲攻撃、ブレスでカオスが倒せないか聞いてくるが、無理だろう。いくら組み合わせたとしても、ブレスは口から放つモノだ。消し飛ばし切れない可能性も方が高い。もし失敗してどの属性にも強くなったらいよいよ負けるしかなくなるしな。


「……ですよね。でもこのまま攻撃していてもジリ貧ですし、どうしましょう?」


「……とりあえず、回避に専念するか回避と攻撃を繰り返して時間を稼ぐしかないんだよな。その間にカオスを消し飛ばす大技を考えないといけないし」


 俺の術式にそんな便利なモノがあったかどうかは分からないが、何とか考えるしかない。


「……いけますか?」


 アーティアは真剣な表情で聞いてくる。……アーティアが出来ないから俺が何とかカオスを倒せるような大技が出来るか、と言うことだろう。


「……やるしかないだろ。一から四まで術式使って負けた訳だし、五や六も視野に入れて考えれば何とか……」


 俺は自信たっぷりに頷いてから、不安要素を並べていく。……やっぱり無理かも。術式を全身に纏う第一、術式の効果を格段に上げる第二、身体能力を究極的に上げる第三、超高速再生が出来る第四と使ったはいいが、それでも勝てなかった。魔力切れを覚悟でもっと術式を重ねるしかないのか。


「……別に無理はしなくてもいいですよ?」


「……無理しなくて勝てる相手か?」


「……」


 俺がアーティアに応えるとアーティアはむぅ、と唸ってしまった。……だよな。


「……ま、死ぬような無茶をする訳じゃないから大丈夫だ。それに、アーティアもいることだしな」


「……ご主人様。はい、私がいる限りご主人様には指一本触れさせません!」


「……そこまではしなくてもいいんだが」


 俺が言ってアーティアに笑いかけるとアーティアは些か以上にやる気満々な様子で闘志を燃やしていた。俺が苦笑してもアーティアは燃える闘志に流されてステータス画面を開き、何やらブツブツと呟き始めた。……おそらく身体能力強化とかのモノを発動させているんだろうが、戦闘中にステータスを確認するとは何事か。


「……終わったら、合流してくれよ」


 俺は言って、カオスと正面から向かい合う。……カオスにとって俺は一度倒した相手。警戒すべきはアーティアであって俺じゃないって感じだな。目がどっちを向いているかとかはないので分からないが、注意しているのがアーティアだけだってことぐらいは察知出来る。


「……俺も嘗められたもんだな。第一術式、発動! 第二術式、鼓動! 第三術式、駆動! 第四術式、発生! 闘鬼術式! 雷電術式! 火焔術式! 氷雪術式! 流水術式! 樹木術式! 大地術式! 旋風術式! 閃光術式! 闇黒術式!」


 第一から第四までと気を使う術式、そして九属性全ての一段階上の術式を発動させる。するとカオスはさすがに俺を見た。……ここまでされて無視する程バカじゃないか。


「……刀剣術式」


 さらに俺はアーティアから貰ったオリハルコンの短剣を持ち、初めてその術式を使う。……刀剣術式は刀剣の効力を最大限まで引き上げるだけの術式だ。剣術が使えるようになる訳じゃない。武器に頼り切るだけの術式ってことだな。


「……いくぜ」


 俺は言って、アーティアがブツブツ呟いている中、一人でカオスに突っ込んでいく。……アーティアの邪魔にならないようにはしたいのだが、無理だろう。ブツブツと何かを呟く毎にアーティアのステータスが上がっているのが分かる。俺とは桁違いの上がり方だ。モノが多いからだろう。それ以上に効果が色々あると言うのもあると思うが。


「……っ!」


 俺は一気に駆け出す。邪魔がなければすぐにカオスの懐に入れるんだが、カオスの反応速度は俺に合わせてきているので間に触手を挟まれる。その触手から無数のトゲを伸ばしてきて、俺を突き刺そうとしてくるがアーティアに貰ったオリハルコンの短剣はかなりの切れ味なので刀剣術式も使ったことだし、一振りで全属性の斬撃を放ち触手ごと斬り刻んでやった。


「ウイウィィィ!」


「……叫ばせるかよ、くらえ!」


 俺はカオスが呻いたのでまた叫ぶのか、と警戒し、風で足場を作って大きく跳躍し、オリハルコンの短剣を両手で持って全属性を刃に集めると、真上から思いっきり振り下ろしカオスを真っ二つにしてやる。


「……へっ、どうよ」


 俺は一気に後退して言う。……だがその頃にはくっついて元通りになってしまっていた。


「……ご主人様、準備完了です」


 何かと色々使ったのか、虹色以上の多色彩に覆われたアーティアが言った。……ちょっと怖いぞ?


「ウイイイイィィィリイィィィィイ!!!」


 奇怪な叫び声を上げてさらに硬くなったらしいカオス。


「……んじゃ、いっちょやるか。共闘」


「はい!」


 俺が言ってオリハルコンの短剣を左手に構えると、アーティアも両手にオリハルコンの短剣を構えて応えた。

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