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英雄、やります(仮)  作者: 星長晶人
アンドゥー教編
5/85

冒険の夜明け

「主」


 ……っと。ボーッとしてた。


「悪いな」


 声をかけてくれたディメロウスに礼を言う。


「いえ。それより、ここはどこですか?」


 ディメロウスに言われて辺りを見渡す。


「……さあ?」


 俺にはさっぱりだ。周りは木々ばっかで森らしいし。


「……私は人間界に来たことがありません」


 ディメロウスがきっぱりと言う。


「俺は王として皆を納めていたからな」


 グランディアも知らないようだ。


「私も群れから離れたことはないです」


 メティラティが少ししょんぼりして言う。


「私は元仲間から逃げ回ってたわよ」


 フィネアが何でもないことのように言う。


「要するに、誰もここがどこだかわからない、と」


 異世界に来ていきなり迷子か。幸先悪いな。


「グランディアが空飛んで街を探せばいいんじゃない? ご主人様の居場所はなんとなくわかるから帰ってこれるでしょ?」


 フィネアが提案する。


「確かに。俺が適任だと思うが、シューヤ?」


 ふぅむ。


「そうだな。じゃあ、俺らは森から出られるようにその辺うろちょろしてるから」


「了解した」


 グランディアはバサッと俺の肩から飛んでいった。


「……どっかで情報収集しないとな。何かいい案ないか?」


 出来ればパーティーに入ってくれる人とか。


「パーティーを組んでくれる人がいればいいのですが、後ろから刺される場合もありますし、私達が魔物だとバレても他言無用で、欲に眩んで裏切らないとも限りません」


 ディメロウスが説明してくれる。


「なるほど。軽々しく人を信用しちゃダメだよな」


 となると、微妙だな。


「私は、情報屋でもいいと思いますよ。……情報を売っているお店らしいんですけど、ニセ情報を売られる場合もありますしね」


 情報屋も無理、と。


「用心するに越したことはないだろ」


「……他人が信用出来ないなら、身内にすればいいんじゃない?」


「身内?」


 俺は意味がわからず聞き返す。


「そうよ。この世界は奴隷制度があるわ。それを利用するのよ」


 ……。

 …………。


 奴隷制度か。嫌な言葉だな。


「確かに、奴隷なら主人に従いますから」


 俺はちょっと遠慮したかったが、ディメロウスがフィネアに乗っかった。


「そうですね。確実性ならそれが一番だと思います」


 さらにメティラティも乗っかる。


「……まあ、そうだよな」


 仕方なく肯定する。……あわよくば性的方面でも! と思う俺はバカだろうか。いや、男だな。


「シューヤ!」


 グランディアがかなりのスピードで滑空してくる。


「どうした?」


 その鬼気迫る声に雰囲気が引き締まる。


「この森はグロウウィングフォレストという魔界きってのモンスターだ!」


「モンスター?」


 この森自体がか?


「グロウウィングフォレストはずっと成長し続ける森だ! 早く出るか倒すかしないと出られなくなるぞ!」


 マジか!


「周辺に街があったりとかは?」


「ない。本性を現して討伐も出来る」


「……じゃあ、いっちょ戦うか。初陣だぞ、皆。張り切っていこうぜ」


 術式も試したいし。


「了解しました」


 ディメロウスが言って、全員戦闘態勢になる。


 ディメロウスとグランディアは本来の姿に戻り、フィネアは服装が和服から黒い鎧に変わる。頭にも軽い兜があって、背に黒い鳥のような羽が生えていた。右手に両手剣を持っている。もちろん黒。


 メティラティと俺は特に何もしない。


「この辺の木を一蹴するので、宙に逃げてください!」


 メティラティが両手を前に突き出す。


「俺は?」


「誰かに乗ってください!」


「私は?」


「羽があるでしょう!」


「それもそうね」


 フィネアは飛翔していく。


「グランディア、頼めるか?」


「承知した」


 俺もグランディアの背に乗って、宙に逃げる。


「グラビティ!」


 無造作に魔法を使う。詠唱破棄ってヤツだろうか。


 まず、メティラティの正面の森が地面ごと潰れる。重力による攻撃だろうか。


「ーーっ!」


 メティラティはそのまま、一回転する。


「……スゲェ」


 辺り一面が陥没していた。


「グラビティでこれほどの力を持つのか。場合によってはドラゴンより強いな」


 マジか。さすがメティラティだな。


「出来ましたよ」


「おう、サンキューな」


 俺達は地面に降りる。


「地面が壊れてるわね。グロウウィングフォレストどころか、草木一本生えないわよ」


 何つう恐ろしい。


「まあ、こっからグロウウィングフォレストをボコボコにしようぜ」


「了解した」


 ンバサッと豪快に羽ばたいて、グランディアが飛翔する。


「私もいきますね」


 バサッとディメロウスが飛ぶ。


「前線に出てくるわ」


 ヒュン、と神速でメティラティの作った円の端まで一気に走った。

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