チュートリアル
「チュートリアル?」
「はい。異世界は剣と魔法の世界。あなたには想像も出来ない世界です。それに、ゲームの仕様を真似ているんですよ。だから、チュートリアルです」
なるほど。まあ、説明してくれるんならいいが。
「ここも異世界のシステムと同じに出来ますよ」
ふーん。まあ、境目らしいからな。
「主なシステムはウインドウですね」
ウインドウ? ゲームだから……ステータスウインドウみたいな?
「ウインドウは主に二つ。ステータスウインドウとアイテムウインドウです。ステータスウインドウはその人のステータスを示すウインドウで、アイテムウインドウは所持アイテムの一覧などを見ることが出来るウインドウです」
思ったとおりだ。
「ゲームの仕様を真似ているとしたら、装備もあるわけだよな?」
「はい。装備、スキルなどはステータスウインドウに分類されます。他にも、ギルドカードや戦績も見ることが出来ますよ」
総じてステータスウインドウと呼ばれるんだな。
「システムはゲームと同じだと思ってください。レベルや経験値など、ギルドやクエストなどもです」
……やけに説明はしょったな。
「職業は後で説明しますので、魔法とスキルでしょうか」
それはゲームによって少し違うからな。
「魔法はご存じだと思います。詠唱をして様々な効果をもたらします。攻撃、防御、補助、回復。種類は様々ですが、発動する場所に魔方陣が出るのが特徴です。中には魔方陣を消したり、詠唱を破棄したりする人がいますが」
ほうほう。
「魔法には属性と階級があります。属性は主に、火、水、氷、木、風、雷、光、闇の八つからなります。上位になると炎や火炎、などといった属性もあります。次に階級ですが、下から初級、下級、中級、上級、最上級、超級、殲滅、古代です。攻撃以外には殲滅はありません」
結構数が多い。覚えられないぞ。
「スキルの説明は簡単です。MPを使って放つ技。補整があって、気軽に使えます」
魔法を使わない剣士のためにあるんだよな。
「次に、最重要事項の職業とパートナーです」
職業はわかるが、パートナーってのはわかんないな。
「職業はわかりますね? 戦士や魔法使いといった、ジョブのことです」
それはわかる。
「パートナーとは、魔物の相棒のことです」
「相棒? 魔物を連れて歩けるってことか?」
「はい。何かしらの動物を連れている人がいたら、召喚リストに載っている人間だと思ってください。パートナーの数は人それぞれです。職業も一人でいくつも持てる人もいますね」
ふーん。俺はどうだろな。
「あなたの制限は……あっ」
何かのウインドウを開くと、驚いたような声を上げた。
「……?」
「……まず職業ですが、一種です」
一種?
「はい。進めると他の職業もゲット出来ますが、あなたにはそれが出来ず、一種です」
……それは、悪いんだろうか?
「魔法も武器も使えず、術式というオリジナルの力しか使えません」
おぉ、特別っぽくていいな。
「……使い方ですが、私の知識にはないので、ぶっつけ本番で試してください」
「は?」
何それ。上手く使えなかったら死ぬんだよな? なのにぶっつけ本番って、厳しくないか?
「……すみません、神様が勝手なことを……」
さすがに申し訳なく思ったのか、お姉さんが頭を下げて謝った。
「いや、お姉さんが謝ることはないけど……」
神の野郎、やっぱ一回殴ってやる。
「ありがとうございます。……パートナーですが、上級の魔物でも三体はパートナーに出来ます」
おっ、こっちはいいな。
「こちらが魔物の一覧になります」
お姉さんは俺の前にウインドウを開く。ザッと見ると、オーガやフェニックスなど、俺も聞いたことのある名前もあった。
「タッチすると詳しい説明が出ますよ」
それを聞いて、ワイバーンをタッチする。
ワイバーン:俗に言う飛竜。小柄で人を乗せて飛ぶことができ、主に竜騎士が乗り、ランスなどで攻撃する。鎧や銃器などの装備も使える。
ほうほう。竜騎士とはカッコいい。
「説明の右下に決定、とありますので、それにタッチすれば選択完了です」
ふむ。
俺はとりあえず、片っ端から説明を読んでいく。
「どれが強いとかがよくわからないんだが?」
「大丈夫ですよ。説明の左上にアルファベットがありますね? それが魔物のランクになります」
ランク付けされてるのか。有り難いな。
「ランクは下からF、E、D、C、B、A、AA、AAA、S、SS、SSS、Z、XZ、XY級とあります。英雄レベルになりますと、S級は固いですね」
Fから上、か。比較的覚えやすいな。
「冒険者やギルドのランクも同じになっているので、覚えてください」
重要ってことか。
「パートナーにする魔物は決まりましたか?」
「だいたいは。下級の魔物なら五体とか出来るのか?」
「はい。大丈夫ですよ」
「じゃあ、この四体で」
決定をタッチして、パートナーリストが表示された。それをお姉さんに渡す。
「……この四体ですか。わかりました。それでは、パートナーにする魔物の召喚を行います」
少し真剣な顔でお姉さんが言った。
三日以内には次の話を更新したいと思います。