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英雄、やります(仮)  作者: 星長晶人
アンドゥー教編

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15/85

覚醒とアンドゥー教殲滅方針

「主!」


 ディメスはまずシューヤを助けるため、シューヤを食らっている口を切ろうとする。


「ギギャ」


 ペッとシューヤをあっさり捨ててしまう。


「主!」


 ディメスはシューヤをキャッチして化け物から離れる。


「はっ!」


 フィネアが珍しく余裕がなさそうに攻撃する。それは化け物に防がれるが。


「……おい」


「っ!?」


 ディメスが一瞬寒気がする声が聞こえた。


「主! 目覚めましたか!? 今回復させますから、動かないでください!」


 ディメスはすぐさま魔法を使おうとするが、


「……止めろ」


「えっ? し、しかし……!」


「……いいっつってんだろ」


「は、はい」


 ディメスはシューヤらしくない声音に圧された。


「……おい。お前らは下がれ」


 シューヤは立ち上がって言う。


「シューヤ! その怪我では死ぬぞ! 大人しく休んでろ!」


 グランは化け物の攻撃を避けながら叫ぶ。


「いいから下がってろよ。俺の前にいて巻き込まねえ自信はねえよ」


「……わかった」


 グランはシューヤの雰囲気が変わったのを読み取って大人しく下がった。他の四人も下がる。


「……てめえ、俺の左腕返せよ。じゃねえとーー殺すぞ?」


「「「っ!?」」」


 その殺気はフィネアでさえも畏怖させた。


「……ご主人様にこんな濃い殺気は出せないわよ? アーティアの殺気で恐怖してたのに!」


 フィネアは目を見開いて言う。


「ウマイ、ニンゲン。ウマイウマイウマイ」


「じゃあ、もっと食わせてやるよ。ーー第四術式、発生」


 シューヤがそう言った瞬間、シューヤの左腕と傷は治っていた。


「そんな! 超高速自己治癒能力!?」


「第一術式から第七術式までの発動を許可。まずは、第一術式、発動」


 シューヤの身体に黄色い筋が入っていく。腕から顔、全身に。


「てめえはこれでも食ってろ」


 シューヤは左腕に雷を溜めていく。


「おらぁ!」


 それを化け物に向かって放つ。


「ギイィ!」


 半分が吹き飛んだ。


「ーー死ねよ」


 シューヤは雷の力なのか、一瞬で化け物の上空に移動し、殴った。


 すると、雷が化け物の全身を切り刻んで、焼き尽くした。


「はっ! 俺の左腕食った癖によえぇな。ただの雑魚かよ」


 シューヤは術式のようなモノを解く。


「……」


「ご主人様!」


 シューヤがフラッと倒れそうになり、アーティアが疾走して抱き止めた。


「どう?」


「……寝ているだけです。あれは知ってたのですか?」


「……いえ。主は自身の力に詳しくありませんでしたし、先程は雷を連発しました」


「……覚醒、みたいなモノですか」


「そうね。じゃあ、とりあえず家に行ってご主人様を休ませるわよ。……化け物とご主人様のことについて話し合いましょうか」


 フィネアが真剣な顔で言って、空気が重いまま家に向かった。


 ▼△▼△▼△▼△


「……主は死の危機に瀕して覚醒した、と」


「そうなりますね。……まず、化け物の方から話しませんか? 何かが起こっているかもしれませんし」


 シューヤを買ったベットに寝かせて、六人で会議中だ。


「……ゴブリンが死にかけると覚醒するようなものよね? まあ、群れ全体だったのかは消し飛ばしちゃったからわからないけど」


「グチャグチャに混ざったような、不確定な形をしてましたよ? 不完全に生まれちゃったんですかね?」


「……お前らは何年生きてる?」


 各自が自分の考えを言う中、グランが五人に訪ねた。


「まだ全然若いわよ。百単位で生きてないのってアーティアぐらいでしょ?」


「人間界《こっち》で言うと百年前か。人工魔物が魔物に寄生している事件があったな?」


「それなら私も見ました」


 メティが思い出すように言う。


「私も、聞いたことくらいは」


 アーティアも一応は知っているようだ。


「あの時と似てないか? 弱い魔物に寄生し、死に際に内から食って外に出る」


「……確かに。しかし、言葉を話すような、知能を持った魔物はいなかったハズですが?」


「百年もあれば、それくらい進歩していてもおかしくない。……人工魔物の研究は凍結されたが、秘密裏に進められていた可能性もある」


「……人間は何も学ばないのね。あれで魔物にも人間にもどれだけの被害が出たと思ってるのよ」


「……人工魔物。それなら、アンドゥー教が関わっているかもしれません」


「どういうこと? だって、凍結されたんでしょ?」


「アンドゥー教は裏の顔が多いと言われています。第一、身分差社会を確立させようとするのが間違っていますが。……それに、アンドゥー教の洗礼は身に覚えがあります」


「……詳しく聞いていいか?」


 アーティアが暗い顔をするが、グランは聞く。


「……アンドゥー教は人工魔物、のようなものを飼っています。知能はよくわかりませんが、力だけで言うならヴァルキリーやアスラバハムートでは足元にも及ばない程、ですね。……フィネアさんはどうかと思いますが」


「私でも無理でしょ、それ。いくら私が千年以上も同族から逃げ続けたって言っても、無理よ」


「……全然無理だと思っているようには見えませんが」


 アーティアは呆れて言う。


「だって、戦ったことがないもの。やらなきゃわからないわよ。それに、これだけの戦力がいればどんな敵でも倒せる気がしない?」


 フィネアは五人とシューヤを見渡して言った。


「……確かにそうですが。言いたいことは、アンドゥー教と人工魔物、今日の件が関係ある、ということです」


「それなら、余計にアンドゥー教は滅ぼすべきね。ご主人様が目をつけたのは正しかったわけだし」


「ふむ。ギルマスにこの件は報告しておくか。明日にはいこう。……いや、俺が直接今行こう」


「ご主人様をあんなに傷つけて、仕返しはたっぷりしてあげようね」


「……シューヤ様はアンドゥー教を壊滅させたいらしいし、シューヤ様がやるなら私も」


「主の敵は全て倒せばそれでいいんです。アンドゥー教は壊滅させます」


 六人の方針がアンドゥー教を滅ぼす、という方向に確定し始めた。

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