ベンガク・ベンガク 1話
偏差値36以下、西川高校。
この学校に入ったら終わり。
そう小さい頃から思っていた。
・・・が、入ってしまった。
この西川学校に。
この俺が。
高橋 井村、15歳。
今日から俺は馬鹿になった。
この学校は本当に馬鹿が多く、近所では有名な馬鹿学校だ。
ここに入ったら大学に入ることはまぁ、無理だろう。
クラス表を確認する。
1-Aだ。
教室に入ると、それはすごい光景だった。
クラスの半分が私服、黒板はびっしりと落書きが書かれていた。
俺は薄々感じていた。
この学校にいたら頭がおかしくなりそうだと。
席は一番後ろの席。
気が狂いそうな教室。
偏差値36以下。
まさに最悪の学校ってところか。
こんなひどい教室にいてたまるか。
俺はこの居心地の悪すぎる教室を後にし、部活動の掲示板を見に行くことにした。
部活はいろいろとあった。
まぁ、俺の趣味的に「ゲーム研究会」かな。
・・・ん?なんだこれ?
「ベンガク・クイズ部(ベンガク部)」
ベンガク?勉学のことかな??
この学校で勉学って、かなり舐めてるだろ。
俺は鼻で笑った。
「お、久しぶり」
後ろから肩をつつかれた。
振り向くとそこには見覚えがある男が。
「俺だよ、斎藤だよ」
「斎藤??」
こいつは、斎藤江波。
天才のエバとか言われてて・・・。
「なんで天才さんがここにいるんだよ」
「部活に入るため。」
「え?部活??なんの?」
「ベンガク部にな。」
こいつ、そんなにクイズ得意だったっけ?
「はぁ??ここは馬鹿学校なんだぞ??」
「・・・そうでもないみたい。お前も仮入部しようぜ」
「え?」
「ベンガク部によっ!」
斎藤は俺の手を引っ張って、3Fのベンガク部の部室まで俺を連れていった。
「ついたぞ」
そこはボロボロの物置のようだったが、ドアにベンガク部と確かに書かれていた。
そして斎藤はドアをあけた。
「失礼しやーす」
「お、おい!」
ドアを開けるとそこ物置なんかではなかった。
確かにダンボールなどが端に置かれていたが、ちゃんと木の机が3つ並んでいた。
この学校でまともに机が置かれていたのは初めてだ。
そして女子3人がちゃんと机で勉強していた。
これぞ学校だ。
「こんにちは。仮入部の人?」
3人の女子のうちの1人が聞いてきた。
3人とも体格からして3年生だと思う。
斎藤は元気よく「はい」と答える。
俺は反射的に「はい」と言ってしまった。
「じゃあそこにすわって。」
え?まさか、勉強??仮入部なのに・・・。
「最初は数学から。」