#17 アンハッピーバースデー
今日は茜の誕生日。
22歳になった。
あたしは茜の欲しい物を知らない。
前もって編み続けたマフラーを渡した。
雪「はい、茜。誕生日おめでとう!」
茜「お姉ちゃん!ありがとう!嬉しいです!私お姉ちゃんにこんな物貰えるなんて夢にも思ってませんでした!」
雪「ごめんね、実は茜の欲しい物とか分からなくて聞くに聞けなかったからこれしか思い浮かばなかった。」
茜「ううんっ!お姉ちゃんに貰える、それだけで嬉しいよ!」
雪「マグカップのお返しね。コレも。」
茜「なぁに?開けてもいい?」
雪「いいよ。」
茜「わぁ~可愛いハンカチだぁ!お姉ちゃん!ありがとう!」
雪「気に入って貰えたみたいだね。」
茜「うんっ!」
過去にもあげていたがそれは本人にとって良い物なのか分からない物ばかりだった。
コップやらハンカチやら小物ばかりあげていた。
そのコップやハンカチは今も使っているけど。
嬉しいのか興奮して少し頬が紅揚してる。
上機嫌だ。
まだ冬と言うには少しばかり早い季節だ。
マフラーを巻くには急ぎ足。
そんなに嬉しかったんだ。
隠しながら作るの結構大変だったよ。
雪「ちょっと、暑くないの?」
茜「ぽっかぽかだよ!」
雪「あんまり飛び跳ねると首締まるよ?」
茜「これでお姉ちゃんの首も一緒に締めちゃうぞ⁉」
雪「きゃーっ!!こらふざけないの!危ないでしょ?」
茜がジョークを言うようになったとは。
茜の顔は輝いていた。
初めて見た茜の本当顔。
見てるこっちも笑顔にしてくれる。
しかし、今日と言う日は幸せだけの日ではない。
あたしたちの両親の命日でもある。
雪「茜、行こうか。」
茜「うん……。」
雪「こら、また自分がとか考えたでしょ⁈」
茜「ううんっ、そんな事ないよ⁈」
ぺちっ
茜「痛いっ!」
雪「茜の嘘見抜けないとでも思ったの?二度と自分を悪いように考えたらいけないからね⁈そんな事したら本当に絶交よ⁈」
茜「分かったよぉ…でこぴん痛い……。」
あたしがデコピンした所を摩りながらお墓に行った。




