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#15 素直な妹

家の奥にも皐月の姿はなかった。

彼女は本来の家族の元に戻ったらしい。

どう言う訳か茜は皐月からあたしの病気の事を知ったのだと。

そして皐月から手術の事を勧められた。

なんか訳ありっぽいな。


そして


話し合いの結論は姉妹揃って過ごす事。

何かあったら私を呼べって百合が話をシメてくれた。


およそ1年と半年ぶりの茜との日常。

最初はギクシャクしてた。


茜「あの…お姉ちゃん…良かったら…私と…あの…手繋いでくれませんか?」

雪「もう昔みたいにする事にないのよ。」


あたしはその手を取った。

茜が凄く驚いていたがすぐに照れ笑いになった。

あたしに顔を隠してる。


もっと素直になっていいんだよ。


あれから月日が経った。



昔と違って茜は凄くあたしに甘えて来た。

んもぅすんごく可愛い。


茜「お姉〜ちゃん!」


と言って腕を絡めて来る。


雪「もう、甘えん坊さんなんだから。」

茜「ねぇ今日はお姉ちゃんと一緒に寝てもいい?」

雪「いいよ。」

茜「それとお姉ちゃんの背中流してもいい?」

雪「うん。」

茜「私がお姉ちゃんの身体綺麗にする!」




茜「お姉ちゃん。あの…ココア淹れてもらえますか?」

雪「いいよ。……………はい。」

茜「わぁ!頂きます!」


茜の表情は益々綺麗になった。

もう、鬱陶しいくらいあたしに引っ付いで来る。

あたしはその笑顔が堪らなく好きだった。


ちょっと嬉しい事があった。


茜「お姉ちゃん…今ちょっといいかな?」

雪「ん?」

茜「あのね…お姉ちゃんに渡したいものがあるの。マグカップなんだけど…受け取ってもらえるかな?」

雪「あたしにくれるの?」

茜「はい。親戚の人たちよりもお姉ちゃんの方が私の面倒見てくれてたし私にとってはお姉ちゃんである上にお母さんであって友達みたいな存在なの。今まで迷惑かけてごめんなさい。これは本の細やかな感謝とお詫びを込めた物です。私お姉ちゃんに何もしてあげられなかったから。」

雪「ありがとう!嬉しい。でもこれ高そうだね?いくらしたの?」

茜「………980円です……安物でごめんなさい。」


デザインは骨董品と言うかなんと言うか。

見た目が陶器のような艶がありシッカリしてて重い。

しかし、どこか可愛気のある小さ目なマグカップだった。


雪「えっ⁈これで980円⁈意外と安いんだね。

でも嬉しいよ。気持ちに値段は関係ない。あたしこれ気に入ってるから。」

茜「私もそう言ってくれると嬉しいな。えへへっ。」

雪「そろそろ3時だし、お茶にしよ?」

茜「うん!」


こうしてあたしたちはティータイムを楽しんだ。

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