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#14 溶けた氷

雪「茜…茜ぇ‼」

茜「お姉ちゃん⁈どうしたんですか急に…。」

雪「なんで生きてるの⁈」

茜「っ……私死ななきゃいけないほど嫌いなんですか?お姉ちゃんが望むなら私死にます。」

雪「違うの!違うのよ!だって茜あたしの為に心臓を……取り出したんでしょ?」

茜「そうです。お姉ちゃんに死なないで欲しいから私の心臓をお姉ちゃんにあげました。」

雪「なんで……。」

茜「私なんかの心臓じゃ嫌でしょうけどお姉ちゃんを助ける方法が他に無かったの。だからこんな私でもお姉ちゃんの妹だから適合性は他の人よりも高いと思います。他のドナーを待っている時間なんてなかったから。でも…お姉ちゃん…助かって良かった…んっ…死んじゃったらどうしようって思って……お姉ちゃんが…無事で本当に良かった…うっうぇ…


あたしは茜を優しく抱擁した。

嗚咽を吐く茜にあたしも嗚咽混じりに謝った。


雪「茜…ごめんね、ごめんね

茜「お姉ちゃんは何にも悪くないです。前も言った通り悪いのは私なんです…お姉ちゃん…。」

雪「茜‼茜‼本当にごめんね、迷惑かけて辛い思いさせてごめんね…あたし嘘ついたの……茜が大嫌いって言ったけど嘘なの…茜が病気の事知ったら絶対に心配するから…もう茜の事泣かせたくなかったから……。」

茜「えっ…じゃあ私の事嫌いじゃ……ないんですか?」

雪「茜が嫌いな訳ないじゃない‼大好きよ!あたしのたった1人しかいない大切な大切な茜なんだよ⁈」

茜「じゃあまた一緒に…いえ、またお姉ちゃんの家族にしてもらえますか?」

雪「あんな事言っちゃったけど最初から家族じゃない!」

茜「またお姉ちゃんと一緒に暮らせるんですか?」

雪「もちろん!」

茜「お姉ちゃん‼」



そして茜は百合にも謝った。

百合は何も言わず茜を見ながら微笑んだ。

そして一言だけこう言った。


百合「全ては愛故にだったんだよな?」


それを聞いた途端に茜は大声で泣いた。

茜は「ごめんなさい」「ごめんなさい」と繰り返した。

それを優しく抱きしめた。


一旦茜の家でこれからどうするかを相談する事にした。


階段


百合「そう言えば茜ちゃん心臓を雪にあげたって事は茜ちゃんの心臓はどうなったんだ?」

茜「私は人工心臓です。心臓が運動に耐えられないので私は運動とか出来なくなっちゃったんです。走る事も『えっち』な事も出産も負担かかるので。将来お母さんになりたかったからちょっと寂しいかな。」

雪「なんで…態々茜が心臓くれなくてもあたしが人工心臓で良かったじゃない?」

茜「お姉ちゃんの身体は人工心臓の前に手術に耐えられるかの境目だったの。手術に時間かけるよりはすぐにやるべきだって。」

雪「茜…本当にありがとね。今こうしていられるのは茜のお陰だよ。」

茜「だってお姉ちゃんは私なんかよりもずっとずっと、生きる価値のある人ですから。」

百合「それは違う。生きる価値なんて誰も同じだ。私も、茜ちゃんも。雪も。」

茜「百合さん…ありがとうございます。」


話しているうちに家に着いた。

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