#11 無情な定
医師「今心臓の摘出手術をするところです。これであなたも助かりますね。良かった。」
雪「え、ええ…。」
百合「気のせいだって。」
雪「だよね。茜が知るはずないもの。これで茜と暮らす事も出来るんだ。」
百合「そう。良かったじゃないか。」
百合はその後帰宅した。
雪「あ、あの、すみません。そのドナー提供者のご家族にお会い出来ませんか?」
医師「彼女のご両親は早くに亡くなられてます。他のご家族は姉妹に姉をお持ちだそうですが。」
雪「どこに住んでたんですか?」
医師「確か・・・
雪「手術をやめてぇ‼その子はあたしの妹なの‼妹を殺さないで‼お願いよ‼」
医師「落ち着いて下さい、ご説明しますから。」
雪「説明なんて聞く必要ないわ‼茜を返して‼」
医師「もう手遅れです。手術は始待っています。今更中断するなんて出来ません。」
雪「茜が死んでもいいって言うの⁈医者なんでしょ⁉健全な人1人くらい助けてみなさいよ‼」
医師「そう言われましても家族の承諾はありましたから。」
雪「適当な事言わないでよ‼いつあたしが承諾なんてしたのよ‼」
医師「承諾書もありますし
看護婦「終わりました。準備出来次第です。」
医師「分かった。手術準備に入ります。」
雪「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあ‼そんなの認めない‼茜を…茜を…殺さないでよ…助けてよ…なんでこんな事に…。」
看護婦「麻酔をして良かったのですか?」
医師「彼女は情緒不安定だ。変な野暮を起こされる前に手術をしてしまった方がいい。」
残酷にも手術は施され茜と言う大き過ぎる代償にあたしは一命を取り留めた。
これからが地獄の日々の始まりだった。
あのまま死んでた方がマシだと思えるくらいの。
地獄を。
そしてまた
大切な物を失った。




