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#1 あたしたちの日常

6月。


今あたしは仕事帰り。

愛しの妹が首を長くして待っててくれている。

(に違いない!!)

まぁOLやってます、21歳独身の

年齢=恋人いない歴の凡人女です。


雪「ただいまぁ。ぁあ疲れた。」

茜「お帰りなさいお姉ちゃん。」

雪「茜、お風呂沸いてる?」

茜「沸いてるよ。鞄、私が持つね。」

雪「ありがと。明日は休みだからね。」

茜「はい。」


妹と2人暮らししてます。

どうしてか茜はあたしが怖いのかどこかあたしに怯えてるんだよね。

あたしは茜に変な事したつもりはないんだけど。

んん〜。何故だ?


妹の茜はあたしと正反対であたしの目標でもあり憧れでもあった。

成績優秀でスポーツ万能、しかも茜の顔立ちはカッコイイとも可愛いともとれる。

多分性格が性格だったら姉妹のあたしも惚れたと思う。

バレンタインの日はヤバかったね。

袋ぶら下げて来るんだもん。

でも、甘い物は苦手らしい。

家に帰ってあたしが全部美味しく頂きました。

異性はモチロン同性からも告白されると言う何ともモテモテな。

そいや街でナンパされまくってたな。

でも好きな人がいる訳じゃないのにみんな断り続けてるんだよね。

あたしにもモテ力少し分けてよ。

どうにも周囲の目を引いてしまうのが嫌らしく引きこもりがちになってしまったのが現状。

至極引っ込み思案で友達も少ない。

あたしとだけ外出してくれる。

でも、何かあるとすぐゴメンなさいする。

あたしの頼みとか絶対に聞く。

聞かなかった事ない。

向こうがすぐ折れてくれるから喧嘩した事は1度も無い。仲良し?姉妹なのです。


雪「茜、出たよ。」

茜「お湯…どうだった?」

雪「丁度良かったよ。サッパリ出来た。ご飯作るから待っててね。」

茜「あ、あの…ご飯なら私が…作ったんですけど…」

雪「そうなの?じゃあ食べよ。茜はもう食べたの?」

茜「まだです。お姉ちゃんより先に食べちゃ良くないかなって…」

雪「良いのに気にしなくても。ごめんね待たせちゃって。」

茜「いえ、気にしないで下さい。」


20年一緒に暮らしてるのによそよそしいんだから。


雪・茜「頂きます。」


美味っしい!

天国の味がする。


雪「美味しい。」

茜「そうかなぁ。でも、お姉ちゃんに喜んで貰えたら嬉しい。」

雪「茜、明日どっか行く?」

茜「お姉ちゃんが行きたい所があればついて行くよ。」

雪「あたしは別にこれと言って行きたい場所はないんだけどね。茜最近外に出ないからさ、ちょっと心配で。」

茜「ごめんなさい…」

雪「いや、謝る程の事じゃないよ。明日は茜に付き合うから、やりたい事とかあったら言って?」

茜「ありがとうお姉ちゃん。でも私はお姉ちゃんがゆっくりしていられたらそれで良いです。」

雪「あたしは茜が思ってる程疲れてないよ。まだバリバリ動けるからね!」

茜「…はい……」

雪「取り敢えず食器片そう。片付けはあたしやるから。」

茜「い、いいよ、私がやりますからお姉ちゃんはテレビでも見てて。」

雪「そう?じゃお言葉に甘えて。」

茜「お姉ちゃん。」

雪「ん?」

茜「家事は私が全部やりますからお仕事頑張って下さいね。」

雪「やだ。」

茜「………」

雪「助け合うのが姉妹でしょ。」

茜「でも私は…何も出来ません。」

雪「嘘つき。そうだ!!明日は茜の服買いに行こうよ!」

茜「え?私はお姉ちゃんのお下がりで大丈夫です。これ以上お姉ちゃんに迷惑かけられません。」

雪「迷惑なんかじゃないよ。あたしのお下がりって嫌でしょ?茜にはいつもあたしのお下がりだったから前から悪いなって思ってたの。だからあたしが買ってあげる!」

茜「お姉ちゃん…。」

雪「茜の好きな服でイイからね。」

茜「私は本当に大丈夫です。もう本当にお姉ちゃんに悪くって…私何をしたらいいのか…」

雪「茜が人と話すの苦手って知ってるから大丈夫。あたしに任せなさい。茜はいつも通りに送り迎えしてくれたらあたしは嬉しいから。」

茜「お姉ちゃん…私に出来る事あったら何でも言って下さい。どんな事でもしますから。」

雪「じゃあさ、今日一緒に寝ようよ。」

茜「私とですか?」

雪「いやかしら。」

茜「い、いえ、喜んで。」


と、茜は言ったが全然嬉しそうではなかった。

むしろ嫌そうな顔をしてた。


やっぱあたし嫌われてるのかな。


雪「じゃああたしも食器手伝う。」

茜「い、イイですよ。大丈夫です。」

雪「何よ、あたしが食器洗っちゃいけない理由でもあるの?」

茜「そんな事ないです…でもお仕事で疲れてるお姉ちゃんには楽してもらいたいから…。」

雪「ありがとね。本当に茜は優しいんだね。」

茜「私お姉ちゃんの言う事全部聞きます。だからお姉ちゃんは私にして欲しい事あったら言って下さい。」

雪「さっきも同じこと言った。茜だって自分に素直になっていいんだよ。あたしは茜には幸せになって欲しいから。それがあたしの幸せでもあるし。」

茜「私の幸せ…」

雪「そう。茜の幸せ。」

茜「………。」

雪「どうしたの?」

茜「い、いえ、何でもないです。」

雪「じゃあ、これからは茜に頼りまくっちゃおうかなぁ?」

茜「はぅ?」

雪「茜には明日から背中流してもらおう。いいでしょ?」

茜「は、はい。やります。」

雪「よろしくね。」

茜「はい。」


そして茜はあたしの背中を流してくれるようになった。

またよく一緒の布団で寝る。


しかし、それにも問題はあった。


雪「ちょっと何で端っこに行くのよ?」

茜「だってお姉ちゃんの掛け布団が狭くなっちゃうから…。」

雪「身体の大きさなんて大して変わんないんだから。」

茜「お姉ちゃん……。」


茜はあたしに絡む事は全部気を遣ってる。

あたしは茜と他人行儀する必要なんて微塵もないと思ってた。

それなのに。


茜の一言によりあたしの人生は大きく変わった。

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