ジミジミ菌
海斗「ボピくん。今からとても不思議なお
話しを聞かせてあげよう」
ボピ「はい。お願いしまちゅ」
海斗「令和〇年の大相撲5月場所で奇妙な
ことが起きたんだ」
ボピ「と言いまちゅと?」
海斗「この場所では平幕力士の遠慮山が絶
好調で初日から10連勝となっていた。
だが、不思議なことに誰も彼に注目しな
かったんだ」
ボピ「それは変でちゅね。マスコミはイン
タビューとかしなかったんでちゅか」
海斗「うん。それどころか14連勝しても
誰も彼のことを気に留めなかったんだ」
ボピ「え、えーっ?」
海斗「遠慮山は千秋楽も勝って15勝0敗
という成績でその場所を終えたんだ」
ボピ「では、優勝でちゅね」
海斗「ところが、彼は優勝したとは見なさ
れず、14勝1敗の横綱・土佐の王が
優勝ということになったんだ」
ボピ「エーッ!それは変でちゅよ。断固、
抗議すべきでちゅ」
海斗「でも、遠慮山は文句を言ったりした
らクビになるかもしれないと思って、
遠慮して何も言わなかったんだ」
ボピ「随分、控えめな人なんでちゅね」
海斗「だが、不思議なことはこれだけでは
なかったんだ」
ボピ「まだ、あるんでちゅか」
海斗「プロ野球で、ある選手が5打席連続
ホームランを打ったのに新聞の見出しに
もならず、誰も気が付かなかったんだ」
ボピ「そ、そんなことありえまちゅか?」
海斗「他にも小学校の児童がすごく上手に
絵を描いたのに先生がほめてくれないと
か、こういう奇妙なことが一般大衆にも
広がっていったんだよ」
ボピ「ますます不思議でちゅね」
海斗「そして、遠慮山が15勝した5月場
所から半年が過ぎ11月となり、ようや
く人々は5月場所で優勝していたのは本
来、遠慮山だった、ということに気づい
たんだ」
ボピ「気づくのが遅すぎまちゅ」
海斗「5月に5打席連続ホームランを打っ
ていた選手がいた、ということにも半年
立って気づいたんだ」
ボピ「なぜ、記録を作ったその日に気づい
てやれなかったんでちゅか」
海斗「こういうことは日本だけでなく世界
中で起きていたんだ。そして、多くの学
者が原因を究明しようとしたが、わから
なかったんだ」
ボピ「ク、クピ~」
海斗「ところが、野川英五郎という細菌を
研究している学者が、これは細菌のせい
ではないかと考えたんだ」
ボピ「ほ、ほおー」
海斗「そして、遠慮山を始めとして、活躍
したのに評価されなかった人達から血液
を採取して色々と調べてみたんだ」
ボピ「何かわかったんでちゅか?」
海斗「うん。大発見があったんだよ。彼ら
の血液からは今まで発見されていなかっ
た新種の細菌が見つかったんだ。そして
この細菌に感染すると、どんなに活躍し
ても世間から注目されなくなってしまう
ということがわかったんだよ」
ボピ「クピー!これはノーベル賞レベルの
大発見でちゅよー」
海斗「野川博士はこの細菌による被害を防
ぐために論文を学会に発表し、ワクチン
の開発を世界に呼びかけたんだ」
ボピ「素晴らしいことでちゅ」
海斗「マスコミにも積極的に手紙を送り、
この細菌による社会的混乱を防ごうとし
たんだ」
ボピ「立派な人なんでちゅね」
海斗「野川博士はこの細菌のことを人々に
覚えてもらうために、ジミジミ菌という
名前をつけました」
ボピ「派手な活躍をしても地味になってし
まうからでちゅね」
海斗「ところが、博士がどんなに努力して
もマスコミも学者も一般の人達も彼の声
に耳を傾けなかったんだ」
ボピ「えーっ!こんなに立派な研究をした
のに、どうちて誰も認めてくれなかった
んでちゅかー???」
海斗「それはね・・・」
ボピ「ちょ、ちょれは???」
海斗「野川博士自身もジミジミ菌に感染し
てしまったからなんだ」
ボピ「ク、クピーーーーーーーーーー!」
ージミジミ菌ー完




