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エロゲーは当倍速で  作者: 美海秋


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止まるんじゃねえぞ……って止まれないだけか!

 昨日あれだけ疲れたというのに、連日のようにエロティックタワーに入る。

 はたから見ればバカとしか思われないだろうが、この世界をクリアするためには必要なことだった。


 そして、俺たちは現在高速でエロティックタワー内を移動していた。


 すげえ、これは!


 どういう技術なのかわからないが、靴を履いてダイヤルの速度を入れ、ダサいが走るポーズをとることで勝手に動き出す。

 スピードがそれなりに速いというのも、むしろプラスでポーズをとり続けていれば体も特には疲れることがなかった。


 そこまではよかった。

 問題はそこからだ。


 止まるためには、走るポーズから姿勢を戻すことで可能になるが、それなりの勢いで進んでいるのに、急ブレーキがかかる。

 すると起こることというのは……


「ぶべら……」


 そう、前のめりに倒れるというものだ。

 ゆっくり元の体勢へ戻せばゆっくり止まることが可能とはいえ、モンスターがいるエロティックタワー内では、モンスターが出てきた。

 倒そうとしたところで、前にこけるという……かなりダサい結果になっていた。


「使えないじゃない!」


 俺と同じようにつんのめって倒れたナオは、怒りでそんなことを言う。

 こういうことを思ったらダメかもしれないが、少し面白い。


「ねえ、今何か失礼なことを考えたでしょ」

「そんなわけないだろ」


 いつものように鋭い指摘をされながら、俺たちはモンスターとの戦闘をしようとしたのだが……


「うそだろ!」

「なにやって……きゃあああ」


 俺とナオは武器を構えたところで、それが靴の何かに触れたのか先ほどと同じように体が勝手に動きだし、モンスターに向かっていく。


 くそ、結局こういうことになるのかよ!


 せっかくうまくはいかないなりにも使えるアイテムだと考えていたのに、いざこうやって使ってみると、戦闘のときにも思い通りじゃなく動く。

 こうなってしまうと、急に止まるのは余計にまずい。


 俺はすぐにその判断をすると、盾を構えたままモンスターに向かって速度を保ちながら突っ込んでいく。


「うおおおおおおお!」


 しっかりと気合を込めながら俺は盾をモンスターを突き抜ける勢いで向かっていき……

 弾かれた。


「ぐはあああ……」


 おかしい。

 こういうとき、よくあるものならモンスターに弾かれることもなく貫いてしまうはずなのに、うまくいかなかった。


「何をバカなことをやってんのよ、せい」


 そんな俺を笑うかのように、弾かれたモンスターに向かって勢いよく突っ込んできたナオはというとスキルをうまく当てると、突っ込んだ勢いによってモンスターは簡単に倒れる。

 その光景を見て思う。


 おかしいだろ……

 どうしてこういうときですら攻撃力がないんだよ。

 それに対して、あっちはむしろこの靴によって威力が上がっているというバグ……


「理不尽だ」

「何を言ってんのよ」

「だってよ……」


 こうしている間にも、リーヤやチカ、カナ、ヤンはこの靴をうまく使って攻撃を……

 リーヤ以外はうまく使えていなかった。


 これに関しては予想していたからよかったものの、ここから出てくる新しいモンスター。

 ネオレント、ネオウサも見た目と名前は少し変わっているものの、下に出てきたモンスターのトレントとウサギに少し改良を加えただけで、強いかと言われれば言葉を濁すくらいだ。


 よって、モンスターは簡単に殲滅される。

 特に二つの槍を構えて突撃していくリーヤはかなり強い。


 これまで戦えていたチカも、まだ靴に慣れていないということもあり、移動しながら撃つことで外すこともあって少し頼りない。

 他の二人は……


「うりゃりゃりゃ、連続剣!」

「酔いました……でも、いい」


 乱暴に振り回すものの、全くモンスターに向かっていっていないカナと、口元を抑えながらも恍惚な表情を見せるヤン。

 戦っているところを見たが、俺のようになんとか戦っている俺に対して、こいつらは正直戦ってすらいないように思う。

 完全に使えない子たちである。


 最終的には、二人とも壁の目の前で止まるというある意味では高等テクニックを披露していた。


 そんな全く使えないものたちではなく、リーヤとチカは武器を見ながら会話をしている。


「くそ、弾がもったいねえな」

「でも、撃たないと当たらない」

「わかってっけどよ」


 チカは銃を構えながらも、ため息をつく。

 言いたいことはわかる。


 弾は無料ではない。

 特にゲームの時のように、簡単に当たるというものでもない。

 よって、高くはないとはいえ弾にお金がかかってしまうチカからすればかなりの問題だ。


「ねえ、どうするわけ?」

「どうするってなあ……」


 他の四人を見て、ナオが声をかけてくる。

 わかっている、靴のことだ。


 エロティックタワー内で練習すれば、すぐに使えるようになるだろう。

 俺は呑気にもそう考えていた。


 だけど実際には、確かに使えはするがかなり限定的というべきか扱うのが難しく、これを使えると言っていいのかわからないものだ。

 でも、そうなると残された選択というのが、ここから歩いてエロティックタワーを攻略していくというものだが……

 さすがにしんどいというか、どれほどの日数かかるのか正直わからない。


 こんなゲーム内に長くはいたくない。

 そう考えているからこそ、この靴をうまく使うしか俺たちに手段はない。


「ふ……ここで諦めたら、ゲーマーとして恥だぐほ……」

「何やってるのよ」

「く、くそ……」


 かっこよく立ち上がろうと片膝立ちのような体勢になり、そこからさらに体を起こそうとしたところ、走る体勢だと靴が誤認をし、バランスを崩しすぐに俺は倒れる。


 本当にうまくいかない。


 だけど使うしかないことをわかっている俺は、どうするべきかを考え、結果……


「一階に戻るか」


 練習するという選択をしたのだった。

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