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エロゲーは当倍速で  作者: 美海秋


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26/35

俺以外もエロゲーが最高だと気づいた

 面倒なモンスターが出てきたところで、俺たちの攻略が停滞するということはなかった。

 それも当たり前で、ここには一応歴戦の猛者である俺がいる。


 ま、エロティックタワーに限ってになるが……


「よし、いい感じだ」

「はあ、最初からあんたにもっとやってもらってれば楽できた」

「いいじゃないか、今は楽ができているならな」


 ナオに文句を言われながらも、指示の通りなのでうまくいっていた。


 このエロティックタワーに出てくるモンスターというのは、全て弱点というものが存在している。

 よって倒す武器によって与えられるダメージというものが変わってくるのだが、そのことをわかっているのは俺だけだ。


 よって、俺がどの攻撃がいいのか指示していた。

 さらにいえば、モンスターのおびき寄せる方法についても、わかっていたので、同じモンスターだけをこちらに呼び寄せることができていた。

 これによって、なかなかどうしてうまくいっている。


「面倒なモンスターが出てきても、攻撃ができないんなら意味ないからな」

「本当にそうね!」


 ナオは俺の言葉に同意しながら、短剣を投げる。


 モンスターに当たると、そのモンスターは少し怯みんだ。

 完璧なタイミングだ。

 後は弱点であるヒロインの攻撃で倒す。


 これで安全に処理をできている。


 少し面倒ではあるものの、確実に倒すという意味ではしっかりと役割を果たしているため、時間がかかってもやるべきことだ。

 問題は多くあるが……


「ねえ……」

「言いたいことはわかるが、だからこそ進むしかないな」


 そして、問題というのはすでに起こっていた……

 というのも、俺たちがいるのは現在四階だ。

 三階にいたネーリが何故か四階にいるということから、もっと慎重に行動すべきだった。


 どこからネーリがやってきたのかを普通に考えればわかることだったのに、失念していた。


 下からやってきていたあいつらは、俺たちが帰るときに通るための階段からやってきていたのだ。

 うん、当たり前である。

 本当に忘れていた自分を殴りたい。


 こうなってしまえば、向かうのは五階だ。


 エロティックタワーというのは、確かに面倒な場所ではあるが救済措置といえばいいのか、少しちゃんとしているところもある。

 それは、五階ごとにある転送装置だ。


 一階の入口近くにある今はまだ使うことができない転送装置というものに、繋がっているものだ。


 今日エロティックタワーに入ったときに、ナオから「今更なんだけど、これって何?」と聞かれて、俺の目が点になったのは言うまでもない。


「元々五階までは行く予定にはしてたけど」

「ああ、誘われてる気がするよな」


 俺たちが気にしているところは、そこだった。


 ここまで誘導されているようにして、行かないといけなくなるということは、最初から仕組まれていたことなのではと考えてしまう。

 もしくは、ゲームのときからバランス調整がへたくそだったので、そういうものとなっている可能性もあるが……


「さっさと行くわよ」


 方向音痴なナオが勝手に前を進んで行く。

 待てよとは思うものの、大きな声を出してモンスターを引き寄せるのも嫌なので、仕方ないのでついていく。

 他のメンバーも同じだ。


 だが、方向音痴とはいえ、運が悪いということではない。

 よって、予想外のことも起きたりする。


 今回でいえば、やみくもに突き進んでいたはずなのに、階段を見つけることができたというところだ。


「まじかよ……」

「ふふん、さすがは私ってところね」

「まぐれだてええ……」

「何か言った?」

「いや、何も……」


 どうしてこう暴力的なんだ、こいつは……

 俺は蹴られた尻を抑えながらも、ナオについていく。


 階段に差し掛かったところで体が言うことをきかなくなる。


 あー、きたか……

 すぐにこれがイベントであることを理解する。


「なんとかここまで来れたな」

「は……ちゃ……」(はい、坊ちゃま)

「じゅ……は……こと……く……いが……ね」(順調とは言い難いことでしたが、苦労したかいがありますね)

「たく……たこ……よか……」(たくさん斬れたことだけはよかったぞ)

「ま……もん……」(ま、こんなもんだよな)

「ん……あた……」(ん、まあまあ大変)


 ここまでくることに苦労したことを個々に話しているのだろう。

 そして、見えてくるのは装置だ。


「ぼ……これ……」(坊ちゃまこれは……)

「これは、一階のものと似ているな」

「たし……そう……」(確かにそうですね)

「ふれ……なに……んじゃ……」(触れれば、何かわかるんじゃないか?)

「あ……もき……」(あ、あたいも気になる)

「ん」(ん!)


 無闇に触っていいものなのかどうか、少し慎重な俺、ナオ、ヤンとは対照的に他の三人は興味がかなりあるのか、触りに行く。


「ひか……」(光ったぞ)

「へ……え」(へー、すげえ)

「ぴか……」(ピカピカ)


 すると、転送装置は光出した。

 最初は淡い光だったが、すぐに目を開けてられないほどの光量を持つと、俺たちは目を瞑る。


 そして、光が収まったときにあったのは一枚の扉だった。


「あれ……ま……か」(あれは坊ちゃま、何でしょうか?)

「わからないな」


 急に現れた扉に、驚く発言をした。

 まあ、当然だろう。


 だが、あれは一階へと続く扉だ。


 このゲームの転送装置というのは、おしゃれな感じを出したかったのか、扉が任意の場所を繋いでいる。

 今回であれば、一階とこの五階を繋ぐ扉で、ここから十階の転送装置を起動すればさらに扉が増える……という感じの仕様だ。


 ゲームのときは、扉を選択すれば何階に繋がっているのかわかったが、今回はどうやら扉にデカデカと一という数字が書かれている。


 間違えないようにってことか……


 やりすぎとは思うが、確かにここまでしていれば間違えることはない。


「はい……れば……だろ」(入ってみればわかるだろ?)


 そして、怖いものなどないという感じでカナが扉に入っていく。

 つられるようにして、チカとリーヤも続いた。


「ぼ……ま……」(坊ちゃま……)

「俺たちも行こう」


 三人が入ったことによって、さすがにここにとどまっているわけにはいかなくなり、すぐに決心すると扉へと歩いていく。


「行くぞ」


 すぐに覚悟を決め、扉を開けた。


「こ、これは!」


 俺から驚きの声が上がるが……うん、知ってた。


 予想通り、扉の先には一階だ。


「転送扉か!」

「すご……です……ちゃ……」(すごいものですね、坊ちゃま)

「ああ」


 こうして俺たちは、転送装置を解放するというイベントを終えた。


「なるほど、こんなものがあったんだ」

「ああ、便利は便利だよな」

「そうね」


 体が解放された俺とナオは、二人でそんな会話をする。


 現実ではあり得ないようなテクノロジーが動いている。

 それを見たらゲームの世界に来たんだと思ってワクワクする。

 なんてことは全くない。


 このまま最上階までの扉がバグで出ないだろうか?

 機械を殴ればいけるか?


 思わず物騒なことを考えていると、あることを思い出す。


「なあ」

「何よ」

「今日は結局どこまでの階に行くつもりなんだ?」

「どこまでって、まだ完全には考えてないけど、何かあるわけ?」

「いや、特にはな……」


 実際には問題があるにはあった。

 とはいえ、それは大きな問題ではない。


 このエロティックタワーが実にクソみたいなところだということをわからせてくれるようになるというだけだ。


「じゃあ、戻って少し五階の探索くらいはするわよ」

「了解」


 少し考えた後に、ナオが出した答えは五階を探索するというものだった。

 俺は、何も言わずついていく。

 そして……


「どれだけ歩かせるのよ」

「どれだけって、まだ歩かないとな」

「はあ!?」

「おい、大きな声を出すな、モンスターがさっきみたいに集まってくるだろ」

「ゔ……そうだったわね」


 ナオは文句を、他のメインヒロインたちは肩で息をしていた。


 それもそのはずである。

 このエロティックタワーは五階ごとに規模が倍になるというものだ。

 俺だって思う、バカだろうって……


 エロティックタワーという名前をゲームにつけたからといって、エロゲーなのだから、凝るのであればエロにだろう。

 なのに、どうしてこんな面倒なことをしたのか……


「ねえ、あんた知ってたでしょ」

「なんのことだかな」

「ちっ、蹴ってやりたいけど、そんな無駄な体力すら使いたくない……」


 ナオからはそんな文句が口からでる。

 言いたいことは理解できる。

 だけど、無駄なのだ。

 この世界はエロゲー。

 しかも無駄にダンジョン探索要素に力を入れているのだから……


「ああもう、クソゲーじゃないの」


 ナオがボソッとそんなことを呟く。


「違うな、エロゲーだ」


 だから俺は、ナオに聞こえないよう声に出さずに口だけを動かした。

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