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エロゲーは当倍速で  作者: 美海秋


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ゴミじゃねえか

 朝目が覚めたら、思う。

 現実に戻っていないかと……


 何度考えても、現実は変わらないと、この姿を見ている人がいれば言うだろうが、何度も確認してしまうのは仕方ないことだった。


「今日は何をするのがいいかだな。やっぱり昨日倒したキメラのドロップアイテムを売ったり使うべきか?」


 昨日倒したキメラからは多くのドロップアイテムを取ることができた。

 あの序盤で倒したからか、それともキメラの動きなどがゲームのときとは違ったからなのかはわからないが、ゲームをしていた時には見たことがなかったものも多くあった。

 その一つがこれだ。


「他種族の睾〇に、他種族の性なるものか……」


 最初は普通に読んでしまったが、後半のほうはさすがに名前を伏せておく。

 後、言っていいかはわからないが男の俺が見てもモザイクがほしいほどには、生々しさがあるものだった。


「どう考えても男の俺には必要ないだろ。どうやって使えってんだよ」


 さすがに、これを実装した製作者には悪意を感じてしまう。


 まあ、約一人だけはこれをあげれば喜んでくれそうな気はするものの、逆に考えれば喜ぶ人間が少なすぎる。

 もう一つに関してはどう使えばいいのかすらもわからない。


「ゲームだったら、アイテムには説明があるから便利だったよな……」


 少し遠い目をしてそう思う。

 ここまでくれば、完全にゲームを再現してくれればよかったのにと思うばかりだ。


「ごちゃごちゃと独り言を口にするのはどうにかならないのか……いや、連日こうも意味のわからないことばかり起こっていれば、愚痴りたくなるのも当たり前か……」


 こんな世界でなければ、愚痴をこれほどまでに口にすることもなかったはずだと、自分に言い聞かせて俺は今日の予定を決めておく。

 さすがに昨日戦ったことにより俺の体は疲れのピークが来ていた。


 もっというと、倍速のせいで移動すらも疲れる状況になってしまっているのが、一番よくないのはわかっているものの、どうすれば倍速から元に戻るのかわからないため、どうしようもない。


 それでもいいことは少しだけある。

 一つは武器についてだ。

 今は盾を装備しているし、今後も盾を装備をするのだが、キメラを倒したおかげでレベルが二も上昇した。

 少しではあるが、さらに能力が上がったおかげで片手で盾をもてそうだ。


 よって、片手には盾。もう片方には武器をというスタイルができる可能性があった。


「もしできるのなら、少しはやりやすくなるよな」


 俺が考えていることが可能であればにはなるが、こうなるとまず向かう場所というのは、武器などが買えるお店だ。

 面倒なメインヒロインたちに出くわすことがないように警戒をしながら俺は進むが……


「ん!」

「リーヤか」

「そう」


 一番出会ってもマシなヒロインにはなるものの、どうして出会ってしまったのか?

 それは、見つからない場所を進んでいくということは、イコール隠れて寝ているリーヤがいる場所を通ってしまうことになるということをわかっていなかった自分のミスではあった。


「昨日ぶりだな」

「ん。あなたはどこか行く?」

「昨日のキメラのおかげでレベルが上がったのと、お金もあるからな。また、装備を見ようと思ってな」

「そう……」


 俺は会話を終えると他の奴らに見つからないように、進もうとしたとき、服を掴まれてうまく前に進めなくなる。

 リーヤが服を引っ張っている。

 これって、どう考えても一緒に連れていけということだろう。


 エロゲーなり、いろんなゲームの展開で見たことがある。


「一緒に行くか?」

「ん!」


 俺の言葉によって、リーヤは嬉しそうに頷くと隣を歩く。

 なんだろうか、昨日よりも距離が近い気がする。


 それに、キメラと戦っていたときのようなまるで男性に入れ替わったかのような違和感は全くなくなっている。


「なあ、昨日のことを聞いていいか?」

「昨日?」

「覚えてないのか?」

「ん?わかってない」

「そ、そうなのか……」


 確かに言われてみれば、全く違う存在……いや、表現するのなら違う人格に変わったようだった。

 そこから一つの可能性があるとすれば……


 なるほど多重人格か!


 俺は自分の中で納得をする。

 確かにそういう設定は多いからだ。


 だが、実際にリーヤが考えていることは違っていた。

(余計なことを言おうとした。ペナルティをもらった。だから、話せないだけ……わかってくれた?)


 自信満々にあなたから笑顔をもらったリーヤは、なんとなく大丈夫だろうと言い聞かせる。

 どちらにしても、今は何もできない。


 俺はそんなリーヤが考えていることもわからず、着いたお店へと入る。


「いら……せ……のを……ね」(いらっしゃいませ、いいものをお持ちですね)

「わかるのか?」

「もち……んた……ろで……ら」(もちろん。なんたってプロですから!)

「そうだな」 


 お店に入ったタイミングで勝手に会話が始まる。

 この状況はなんとなくだが知っている。


 強敵と呼ばれるような存在と戦った後に落ちているアイテムを始めて回収したときに、確定で起こるものだ。

 そして、この後に起こること、それは……


「しな……ふ……ね」(品揃えを増やしとくね)

「助かる」


 会話が終わった後に現れる買い物できる武器などのアイテムが更新される。

 重要なアイテムがいっぱい買えるようになるんだ!みたいなことではないが、これからに役立つことは間違いない。


 あ、そういえばあれを売っておくか……


 買い物の画面を見ながら、俺は一つ思い出し、売る方を選択して、キメラからのドロップしたあの珍品たちを売ろうとするが……


「そち……のは……ませ……」(そちらのものは買取できません)


 なんだよ、買い取れないものなのか?


 売ろうとしたが、店員が高速で首を横に振りながら、何かを言ったことで拒否されたことはわかった。

 ここで、元々ゲームのとき、絶対に売れないものがあった。


 それは大切なものとされ、どこかのタイミングで確実に使うものだ。

 あれだ、持っていなければ、ゲームとして積み物語が進まなくなってしまうレベルのものだ。

 だからこそ、俺は嘆く。


 売れませんって……

 どう考えても、一番いらないものだろ!

 こんなものが大切なものであってたまるか!


 無駄な荷物をいつか使うものとしてずっと持たないといけないのは、ただの嫌がらせだとしか思えないが、今更だ。


 切り替えて、増えたものをいくつか買うか。


 そう、できると思われること。

 盾以外の武器を装備できる可能性がある。


 俺はウキウキとしながら、武器を眺め、いいものを見つけたところで俺はそれを買った。


「うちと同じ?」

「そうだな」


 リーヤが少し嬉しそうにしているのは、俺が買ったものが、槍だったからだ。


 最初は剣もいいかと考えたが、盾を構えてとなると振ったことがない剣を使うよりも、槍のほうがまだリーチがあるぶん使うことができるはずだと考えてのものだった。


「扱いきれるかは、わからないけどな」

「大丈夫、教える」

「頼もしいな」


 これで、少しは攻撃役としても役に立つことができるはずだ。

 俺はそう考えながら、リーヤとエロティックタワーに入り試し突きを行ったが……


「ゴ、ゴミだ……」

「どん、まい?」


 槍は使えなかった。


 一番簡単に使える、盾を構えてモンスターへと向けて突きをしたものの、ダメージが入っている感じは全くといっていいほどなかった。

 だけど、感じがないだけで使えると思っていたが、結局は盾で殴るよりもモンスターを倒すのに時間がかかるという散々な結果だった。


 いいことを思いついたところで、本当に何もうまくいかない。

 ちょっとは、俺にもチートのようなことをさせてくれ!


 使えないとすぐにわかったため、結局槍はリーヤにあげた。

 リーヤはというと、二本の槍を器用に扱っている。


 ゲームではなかったけど、そんなことができるのか!

 思わず感心して見ていると、リーヤは少し考えてから俺に声をかける。


「ん、うちを装備する?」

「装備だと」

「ん、抱えてくれたらいい」


 励ましての言葉だろうが、そんなことをやれば、かなりシュールな光景になるのはいうまでもない。

 想像をした俺は思わず笑ってしまう。


「ふ……必要になったら、そうするかもな」

「ん、いつでもいい」


 そう言葉にしながら槍を構えるリーヤはゲームのときよりも生き生きとしているように見えるのだった。

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