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19-2

「はぁ……なんかすごい嫌な汗かいた気がする……」


扉が閉まり、俺が肩をすくめると、レイがそっと俺の腰を撫でた。


「アランの言葉を気にするな」

「気にしてないけど……レイ、ちょっと過保護すぎだよ」

「お前を守るのは当然だ」


レイはじっと俺を見つめたまま、淡々と言う。

その真剣な目に思わずドキッとする。


「うぅ……レイがかっこよすぎるんですけど……」


思わず呟くと、レイは片眉をわずかに上げた。


「何か言ったか?」

「いや、なんでもないです」


アランが去った後も、レイは俺を抱き寄せたまま微動だにしなかった。

その腕の力がさっきより強くなってる気がするんだけど……。


「なあ、レイ……そろそろ離し……」

「いやだ」


即答。早い。俺に最後まで言わせなかったぞ。おい。


「いや、さすがに執務室でずっとこうされてるのも……」

「問題ない」

「問題しかないんだけど!!」


レイは俺の言葉を一切聞く気がないらしい。

困ったな……どうやってこの状況から逃れよう。


「……そういやさ」


ふと、俺は軽く冗談を言ってみることにした。


「もし、俺がアランと浮気したらどうする?なーんて……」

「……」


レイの動きが止まる。

あれ?反応ない?意外とスルーされ──


「……カイル」


レイが立ち上がり、低い声が耳元で囁かれる。


「な、なに?」


レイの手が、さっきより強く俺の腰に回る。

空気が一気に重くなるのを感じた。


「もう一度言え」

「……え?」

「今の言葉を、もう一度言ってみろ」


レイの目がすでに据わっている。

やばい、冗談が通じてない。

てか、これ……地雷を踏んで、ね……?


「いやいや、ほら、冗談だって! こう、レイを試しただけで──」

「……浮気するつもりか?」

「しないしない!! 絶対しない!!!」


即座に否定するけど、レイの視線は鋭いままだった。


「……お前が他の男に靡く可能性があるなら、今ここで確実に“俺のもの”にするまでだ」

「はっ?」


あれ、待って待って、なんでそうなるの!?

俺のものって、そんな意味深な……やつじゃないよな??


「いや、だから冗談……」

「冗談でも、言っていいことと悪いことがある」


言い切ると同時に、レイは俺を抱き上げて。そのままソファに座らせた。

そうしてから、がっと押し倒される。


「レ、レイ!?」

「……お前が他の男を気にする暇など与えない」


ぐいっと顎を持ち上げられ、レイの顔が至近距離に迫る。


「ちょ、冗談って言ってるのに!?」

「浮気を考える暇がなくなるくらい……今日一日、俺だけを感じさせてやる」

「えぇぇぇ!!?」


ベッドじゃなくて執務室のソファですけど!?

てか、うん!意味深な方だッ……!

レイ、場所考えて!!


「お前がアランに靡く可能性があるなら、その芽はこの場で摘む」

「だから靡かないって!! てか、アラン怖いし!!」

「なら、なぜそんなことを言った?」

「いや、ちょっとレイの反応を見たくて……」

「なるほど?試すお前が悪い」


そのまま、唇が近づいてきた。

推しの独占欲って、冗談で刺激すると命に関わるんだな……。

俺はそんなことを考えながら、逃げ場のない甘い唇に飲み込まれていった。



「ま……っ、レイ、それ以上は本当に……っ」


衣服はもはや意味がないくらいにレイによって乱されていた。

キスで騒いでいた今までが阿保らしくなるくらいだ。

色々な場所を触れられ見られ……今は逞しい身体に伸し掛かられている。


「……やめてはやらない……カイル。お前は誰にも渡さない」


そう言ったレイの熱く滾ったものが、俺の中にゆっくりと侵入してくる。

それは見た目からして到底、受け入れるには無理そうだったにも関わらず、俺の身体は当然のように受け入れた。

抗う暇もない。というか、抗う気すらないらしい、俺の身体。

身体ごとレイが大好きってか……。


「あ……あ……っ!レイ……っ」


下半身から伝わる熱が、容赦なく理性を溶かしていく。

脳が焼き切れるって、きっとこういうことを言うんだろうな……。


「……ぁ、レイのが……入って……っ」


多少の時間が空いていても、俺の身体はレイをしっかり覚えてたらしい。

圧迫感はあっても痛みなんかなくて、どんどんと中に楔が埋まっていく。

案じるより産むがやすしって言うけど……いや、これ、産むどころか埋まってるな……!

レイがほとんどを収めた時、俺の瞼にそっとキスを落とした。


「……カイル、俺のことを覚えててくれたんだな……」

「……っあ……っ」


優しい声が、耳元で囁かれる。

なんだろうな……この状況なのに、その声だけで安心してしまう自分がいるのが怖い。

レイは満足そうに微笑んでいる。

それが本当に綺麗で、こっちがぐちゃぐちゃにされてるのも忘れるくらいだった。

──やばい、推しが最高にかっこいい……。

レイにされるがまま、俺は甘さの中でぼんやりと彼を見つめるしかなかった。



翌朝、俺は寝室のベッドで目覚めることになった。


「……あれ……寝室……?なんか体痛い……」

「当然だ」


隣で微笑むレイが、昨夜の出来事をありありと思い出させる。

ああ、そうだわ。

散々と執務室であれやこれやされた後に、寝室に移動して更にあれやこれやと……。


「カイル」

「……なに?」

「浮気がどうとか、二度と言うな。次はもっと手加減出来なくなるぞ」


ひえ。これで手加減……。

俺、今日動けなさそうなのに⁈

レイは笑みを深めながらそんな風に言い、俺の髪を撫でた。

いや、微笑むな。怖いから。


「……言いません」


レイに全力(ではないのか?)で抱かれた俺は、二度と軽々しく浮気発言はしないと心に誓った。

読んでいただいてありがとうございます!

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